天官賜福、伏線シリーズ第5回です。ネタバレを含む箇所があるので、最後まで未読の方はご注意ください。

①半月関で砂嵐の時に逃げ込んだ岩の洞窟で、謝憐が石板の字を見ながら、''突然''「将軍」と口にした時、南風と扶搖は同時に「えっ?」と聞き返しています。

 

この描写は何を言ったのかが聞き取れなくて、そう返したと思っていましたが、よく考えると洞窟の中は静かだし、「将軍」と呼ばれて、二人とも無意識に反応してしまったんだろうなと思います。二人の正体についての伏線はたくさんありますが、そのうちの一つだと思います。

 

②謝憐が神官になった時の八千近くの宮観は、七日七晩燃え続けて、燃え尽きました。花城が三十三人の神官の神廟、合わせて一万を超えるのを焼き尽くしたのはわずか一晩です。いかに花城がすごいかがわかります。それに、謝憐の八千近くの宮観、八百年、八十八万功徳... 八という数字にこだわられています。

 

③花城は半月関に向かう時に、謝憐に「水飲む?」と尋ねられて、水を一口飲んでから謝憐に渡して、謝憐が飲んでから「まだある?」と尋ねています。(その後色々邪魔が入りますが、)謝憐が飲んだ後のお水をまた飲みます。村人に結婚しているか尋ねられた後の場面でも、花城は謝憐に水筒を渡して、謝憐が飲んでから、受け取って飲んでます。

 

花城は鬼なので、そもそも飲食する必要はないのです。絶対間接キス狙いの花城が可愛すぎます。謝憐が飲んだのを、受け取って飲む時の気持ちを考えると、こちらまで胸が高鳴ります。

 

④半月関の黒衣の女性に関して「まるで全身からうっすらと冷気を放っているみたい」という描写があります。

 

前回の伏線シリーズでも紹介したのですが、明儀が幽冥水府から謝憐と花城を菩荠観に縮地千里で送り届ける場面でも、原文では「扉の隙間から青い気を纏った明儀の顔」(日本語訳では「ゆらりと立ち上る険しい気を纏った」)と描写されています。

 

''全身から冷気を放つ''も''青い気を纏った顔''も、彼が鬼であることの伏線だと思います。

 

⑤明儀が師青玄を兄の監禁から救出する時に、月牙鏟という法宝を使って地面に穴を掘っています。この時、師青玄に「君が全然この法宝を使わないからだよ。暇な時にもっと使って親しんでおかないと。どれだけ不慣れになっているんだよ!」という描写があります。

 

彼がこの月牙鏟に不慣れなのは、元々彼の法宝ではないからなのです。ここも伏線のうちの一つです。

 

⑥謝憐が芳心国師であることが明るみになって、郎千秋が謝憐を追いかけて言った「私は決して貴様のようにはならない!」は、かつて謝憐が白無相に追い詰められた時に思ったことと同じなのです。そのため、謝憐はそれを聞いて少し呆気に取られ、嬉しくなって笑い出したのです。原文ではこうなっています。

 

郎千秋:「もし貴様のように怨恨で心を満たせたいなら、絶対にそうはならない!貴様と同じように自暴自棄になってほしくて追い詰めているのなら、絶対にならない。絶対にだ!私にどんなことをしても、絶対に貴様のようにはならない!」

 

謝憐が白無相に対して思った言葉:「後悔に苛まれたり、自暴自棄になるのを見たいか?絶対にそうはならない!!!永遠にだ!!!

 

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以下、伏線ではないですが...

花城の気持ちを想像すると、幸せな気持ちになるシーン

 

・謝憐と出会った日、 菩荠観に到着してから離れようと思ったのに、謝憐に「私の観に来ない?」と尋ねられた時の嬉しさ。(顔に出せない嬉しさ)

 

番外編で記憶を無くした謝憐に接する花城のお話があるのですが、そのことを念頭に置くと、多分この時花城は一旦謝憐のそばを離れ、また次の日にでも''ばったり''を装って会いに行こうとしたのではないかと思います。

 

・謝憐に「寝床が一枚しかないから、狭いけど今晩は一緒に寝よう」と言われた時の嬉しさ。(顔に出せない嬉しさ2回目)

 

・砂嵐で上空に飛ばされた時に、謝憐と一緒にぐるぐるまきにされて密着した時の嬉しさ。(この時の花城がどんな表情をしていたのか見てみたい)

 

・罪人坑で謝憐を受け止めてお姫様抱っこした時、謝憐が焦ってゴソゴソ胸元や首元を触ってきた時のドキドキ感。(鼓動はないのにきっと高鳴ったはず)

 

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最近コメントを通して、毎日の更新を楽しみにしてくださる方がいると知ってとても嬉しいです。書きたい記事がまだたくさんあり、書いている時間も大好きなので、自分でもできる限り毎日更新したいと思っていますが、お見せできるようなものが書けなくて、更新できない日もあるかと思いますぐすん

 

小説にペン入れしながら読み返しているのですが、伏線の多さに改めて驚いています。

 

青は伏線、赤は後で考察したい箇所、緑は気になった箇所等で分けています。ちなみに本はしっかりペン入れする派です。自分の場合はその方がよく理解できるし、色分けすると用途に合わせて見返しやすいです。

 

ちなみに章ごとにインデックスを貼っているのですが、見たいところをサッと開きたい方には割とおすすめです。