昨日は裴茗と雨師篁について記事を書きました。今日はその続きにあたる部分と、裴茗について少し深めた考察をしたいと思います。

雨師篁が飛昇してからの続きです。

 

裴茗は雨師国主を自刎させて雨師国を滅亡させたあと、雨師篁は彼の心の陰影になりますが、新しい美女を見つけるとともに次第に彼の記憶から薄れていきます。しかし、副将の容廣は気が気ではありません。裴茗がこんなに素晴らしい戦績を残していて、自分たちは毎日あちらこちらで苦労しながら、辛酸を舐めながら戦しているのに、自国の皇帝はただ城で座ってるだけなんて、なんとも呑気なもんだと不満を持ち始めます。そこで謀反しようとしますが、裴茗はもちろん賛成するはずがありません。

 

裴茗が好きなことは戦と美女なので、裴茗にとっては一つの場所で戦し、その間にそこの美女を食べ尽くし、そのまま次の場所に移動して戦することで、美女につき纏われることもなく、逆に好都合なのです。しかし容廣はそうではありません。

 

とうとうある日、裴茗の名義で謀反します。裴茗は女たらしですが、愛国心は本物なのです。彼は自分の明光剣(裴茗の’’茗’’と容廣の''廣''を合わせて、同音の漢字をあてて名付けた)で、謀反を起こした半生自分と肩を並べて戦してきた部下達を惨殺します。もちろんそこに容廣も含まれています。その後、彼は須黎国の門の前で剣を折りました。(この時に容廣の執念が折れた剣に残り、物語の後半でこの剣と容廣が再び登場してきます。)

 

裴茗は自分は謀反をしていないと言っても、皇帝は信じるわけがありません。太古からこういう手の話は、一度疑われると大体逃げられないものなのです。皇帝なんて、人を信用するより疑う方が得意だし、将軍なんて新しい人を就ければいいだけの話なのです。裴茗は憤りと悲しさで一杯になりますが、忠心な部下は全て殺してしまったので、どうしようもありません。あっという間に裴茗は皇帝の軍に囲まれ、無慈悲に皇帝の「容赦なく殺せ!」という声が響き渡るのでした。裴茗が飛昇したのはその時でした。

 

彼も波瀾万丈な人生を送っていますよね。

裴茗は人間の時は仙人のような美女が大好きでした。飛昇してからは本物の仙人の美女に毎日会えてきっと嬉しかったに違いありません。彼にとって唯一気まずいのは雨師篁ですが、雨師篁はあまり天界の集会や行事などには参加しないので、顔を合わせる機会も多くありませんでした。

 

もしかしたら幸福とは、たくさん持っていることではなく、覚えていることが少ないことだという人もいます。裴茗はそういう人間でした。雨師篁は心の陰影でも会わなければ忘れることができるし、他の神官がみんな自分の法器を持っているのに、武神として剣さえ持っていないことを気にすることもなく、(明光剣を折ってから飛昇してからも新しい剣を新調していません。それも彼の性格をよく表しています。)霊文がかつて自分が将軍をした須黎国を滅ぼしたことも気にせず、師無渡と三人で「三毒瘤」として仲良くしていました。彼は、そういう意味では心が広く物分かりが良いのです。花城も彼のことを「陰険な手段を使わない」と評しています。

 

彼は師無渡の事件が起きた後、師無渡の死体を見ながら、「生前は強く尊大だったのに、最後はこんなことになるなんて。立っている場所が高ければ高いほど、落ちる時の落差は大きいものだな。人生には百態あり、神であれ、それは変わらないだな。」としみじみ言っただけでした。

 

誰かの弱みにつけこんで痛めつけることをせず、他人の不幸を喜ぶようなこともせず、自分自身全く関係ないかのように遠く逃げるわけでもない。ましてや、謝憐が余計なことをしたと怒ることもありませんでした。彼はそういう人なのです。

 

 

 

四名景の中でも、「将軍折剣」「公主自刎」はとても深いと思いませんか?

裴茗が女たらしでさえなかったら・・・と思わずにはいられません笑い泣き