『二哈和他的白猫師尊』を読んでから、肉包不吃肉さんのこちらの小説『餘汙』も評価が良かったので、読んでみました。
どちら派か分かれるみたいですが、個人的にはこちらの『餘汙』の方がより純粋な愛で、内容もより深さがあり、好きです
物語は、かつて国を裏切り敵国で5年過ごした「顧茫♂」が捕虜としてこちらの国に送り返されてくるところからスタートします。
かつて「顧茫♂」と恋仲にあった「墨熄♂」は、今や名だたる将軍。
国を裏切った彼のことが許せず、彼に冷たく当たります。
「お前がどれだけ ''汚い'' か分かってるのか?」なんて言ってしまいます。
後半、顧茫が国を裏切った背景が明るみになり、
顧茫が払った犠牲の大きさ、墨熄への愛の大きさに、もうただただ打ちひしがれます。
自分が今まで辛く当たってしまったこと、「汚い」と言ってしまったこと、全て自責の念にかられます。
終盤怒涛の伏線回収で、夜な夜な号泣しながら読みました
もう心が雑巾絞りされているような、それぐらい「顧茫」が不憫で可哀想で...
悪役と思われていた人物も単なる悪役ではなく、見方を変えれば立派な統治者であったり、
途中まで絶対悪役だ、と思っていた人物が良い人だったり...
悪役のように立ち居振る舞いしていた背景も明るみになり、もう本当に感情移入の嵐です。
視点を変えれば、それぞれのどうしようもなさがあったり、本当に奥深すぎる
終盤で「餘汙」の別の意味にも気付かされます。
本当に伏線の張り方が上手く、回収の仕方も上手く、ただただ文才に感嘆した作品。
おすすめです