全脳活性化コーチのうちやまです。
今回は、前の記事に引き続き、書籍す『フォーカス』(ダニエル・ゴールマン著/日本経済新聞出版社)の内容についてお話しします。
前回は「注意力とは何か」ということで、注意力にはどんな種類のものがあるか、ということについて述べました。
わざわざ『フォーカス』なんてタイトルで本を出すからには、注意力を発揮することはいいことだ、注意力を高めることはいいことだ、という前提があります(災害や犯罪についての本だったらまた別ですけど)。
では注意力を使えるメリットはどんなことか?というと、これは注意力の種類ごとに異なってきます。なので、これからそれぞれのタイプ別にまとめます。
1.ボトムアップ型の注意力
直感的かつ身体的、無意識下で自動的に高速で反応するタイプの注意力です。
これは刺激に反応して素早く身体を動かす動作、すなわちいざという時とっさに動けるか、という注意を司ります。
スポーツの世界では、このタイプの注意力を十全に発揮できるかが重要になってきます。いろいろなスポーツの競技中、目まぐるしく変化する状況下で瞬時に適切な判断を行い、適切に行動することが要求されます。とりわけ、テニスやボクシングといった、対戦相手がいるスポーツでは顕著です。
アスリートでない人にとってもボトムアップ型の注意力は重要です。なぜならば、他の人とコミュニケーションをとるにあたってもこの注意力が必要になるためです。目の前の人の表情や身ぶり手ぶり、声のトーンなどから気持ちを推し量るのにボトムアップ型の注意力が使われます。また、相手の反応に対してすみやかに適切な言葉、ボディランゲージを返すのにも有効です。
2.トップダウン型の注意力
随意的で、明確な意思に従ってやや低速で反応するタイプの注意力です。
言い換えれば、意識的に何かに集中すること、または意識的に何かを自制することを実現するための注意力です。トップダウン型の注意力を使えるメリットは、おおよそこの2点に集約されます。
たとえばパソコンで書類をつくるときに作業に集中したり、ネットサーフィンするのを自制したりする。あるいはダイエット中に運動に集中したり、ちょっとお腹がすいたからといって甘い物に手を出すのを自制したりする。──このようなかたちで、トップダウン型の注意力は、わたしたちが意識的に行うさまざまな行動の成否に大きく関与しているといえます。
そんなわけで、すべきことへの集中、すべきでないことの自制をうまくできればだいたいはうまくいく、と言いたいところですが、これらを持続させるのはなかなかに骨が折れる営みになってきます。
3.システム認識
人やものの相互作用を俯瞰的に認識する注意力です。
とくに企業の組織やプロジェクトチームなどで、さまざまな要素(人やもの)がどう働くか、それが他の要素にどう影響するか、ということを全体的に把握して、総体的によいパフォーマンスを上げることができればシステム認識の注意力をうまく使えていると言えるでしょう。
よくある話として、職場やチームでミスをした人を上司やマネージャーが他の人の前で大声で怒鳴りつけて叱責し、これによりまわりのメンバーの士気が落ちてパフォーマンスが低下する、というパターンがあります。システム認識の観点からいえば、組織の中で「起きてしまったミスのケアをする」「ミスの再発防止をする」「メンバーのモチベーションが下がるのを防ぐ」といった課題をすべて満足するための適切な行動が要求されており、それをできるためには組織内の人やものなどがどんな相互作用を形成しているかの認識が必要だ、ということになります。
…もっとも、世の中で上司とか管理職とか言われている人々がどれだけそれをできているか、というとお察しかとは思いますが。
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