Ark(Elysion)の考察 | これだけで全て分かるSound horizonの考察

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こんにちは、物語音楽ユニットのEternal Operettaです。

Elysionトラック2、「Ark」の考察を始めていきます。

まず初めにこの曲は「Elysionサイド」「Abyssサイド」のどちらになるかというと後者のAbyssサイドになります。

この曲の物語はソロルという少女とフラーテルという少年の物語になりますが、記憶操作されて二人は兄妹という関係を植え付けられ、仲がよかったのですが結局少女が裏切られたと兄フラーテルを殺害してしまうお話です。

曲の始まりは以下のセリフです。

「彼女こそ…私のエリスなのだろうか…」

これはオルフェウス(仮面の男)のセリフです。自身の愛する人であるエリスの魂がソロルという少女に転生したのではないかと探しています。

ちなみにこのセリフはAbyssサイドすべてに入っています。





続いて歌い出しです。

「──箱庭を騙る檻の中で 禁断の海馬(器官)に手を加えて」

「驕れる無能な創造神(かみ)にでも成った心算なの…」

「…Love wishing to the "Ark"」


これは織という記憶を操作する研究所で人間への記憶操作の実験を行っている様子を描いています。

海馬とは脳の記憶を司る場所になりますので、ここを操作します。




「崩壊 其れは孕み続けた季節 二月の雪の日 『妹』(ソロル)の記憶(ゆめ)」

「我々を楽園へ導ける箱舟は」

「哀れなる魂を大地から解き放つ」

「救いを求める貴女にアークを与えよう」

「『アークと呼ばれた物』(それ)は月光を受けて銀色に煌めいた…」


記憶操作された人間のうち、妹側に植え付けられた記憶になります。

「箱舟は哀れなる魂を大地から解き放つ」というのは、箱舟という記憶操作そのものが別の新しい魂を植え付けるということです。

要は中身だけ別の人間にしてしまうということです。

『アークと呼ばれた物』とはナイフのことです。



「想い出まで裏切った 冷たい言葉の雨」

「幸せだった二人 永遠に届かなくなる前に…」

「ねぇ…何故変わってしまったの? あんなにも愛し合っていたのに」

「涙を微笑みに換え詰め寄る 『アークと呼ばれた物』(ナイフ)を握って…」

「──愛憎の『箱舟』(Ark)」


「さぁ…楽園へ帰りましょう、お兄様…」

兄フラーテルに冷たい言葉を浴びせられた妹ソロルはナイフで兄を刺し殺すことを考えます。

最後の「楽園へ帰りましょう」というセリフでは楽園へ帰ることが死後の世界へいくことを意味します。





「因果 其れは手繰り寄せた糸 六月の雨の日 『兄』(Frater)の記憶(ゆめ)」

「信じてたその人に裏切られた少女」

「逃げ込んだ楽園は信仰という狂気」

「新しい世界へと羽ばたける自己暗示」

「澄み渡る覚醒は『進行』という凶器」


最初の「信じてたその人に裏切られた少女」というのはもちろん兄フラーテルに裏切られた妹ソロルのことで、「逃げ込んだ楽園」とは記憶操作研究所です。

その記憶操作が進行していき、ついにはナイフで刺し殺す過程を凶器と言っていると思われます。

続いて、

「最期の瞬間に廻った 歪な愛の記憶」

「脆弱な精神(ココロ)が耐えきれず あの日嘘を吐いた」

「律すれば律する程堕ちる 赦されぬ想いに灼かれながら」

「まぐわう傷は深く甘く 破滅へ誘う…」

「──背徳の『箱舟』(Ark)」


「さぁ…楽園へ帰りましょう、お兄様…」

「最期の瞬間」とは妹ソロルに殺される前のとき、「歪な愛の記憶」とは植え付けられた訳のわからない兄妹愛の記憶です。

そして兄フラーテルは妹を突き放しますが、妹に刺殺されます。





間奏部分のセリフです。

「被験体1096 通称『妹』(ソロル)」

「Soror with the "Ark", Frater in the Dark」

「同じく被験体1076 通称『兄』(フラーテル)を殺害」

「Soror with the "Ark", Frater it's Dead」

<症例番号(Case Number)12>

「過剰投影型依存における袋小路の模型(モデル)」

「即ち『虚妄型箱舟依存症候群』(Ark)」


このセリフで、二人は記憶操作の被験体であり妹は兄を殺害したことが確かに分かります。

続いて、

「限りなく同一に近づける 追憶は狂気にも似た幻想」

「求める儘に唇を奪い合い 少しずつ楽園を追われてゆく」

「同じ心的外傷(トラウマ)重ねれば響き会う けれどそれ以上には…」

「──箱庭を騙る檻の中で 禁断の海馬(器官)に手を加えて」

「驕れる無能な創造神(かみ)にでも成った心算なの…」


ここで言っているのは、過去に実験者がどこかで経験した兄妹愛をソロルとフラーテルという被験体を使って再現しようとしたのだと思います。

「限りなく同一に近づける 追憶は狂気にも似た幻想」という歌詞がそのことを言っています。

「心的外傷」とは記憶操作で過去の悲しい恋愛の記憶を植え付けられたことです。

しかし本当の意味では兄妹愛は生まれなかったということでしょうか。



続いて、

「在りし日に咲かせた花弁は 暗闇に散り逝くように凛と」

「少女の声音で響(ささや)く」

「楽園へ帰りましょう」

「Love wishing to the "Ark"」


「在りし日に咲かせた花弁」とは記憶操作のもとになった兄妹愛のことで、それは「楽園へ帰る」という兄の死によって散ったことを意味します。



そして曲の最後の語りです。

「──監視卿(Watcher)は天を仰ぎ深い溜息を吐く」

「失った筈の『左手の薬指』(場所)が虚しく疼いた」

「ふと彼が監視鏡(Monitor)の向こうへ視線を戻すと」

「嗚呼…いつの間にか少女の背後には仮面の男が立っていた──」

二行目の、「失った筈の『左手の薬指』(場所)が虚しく疼いた」というのは実験者が過去の恋愛のことを思い出したのでしょう。

そしてその恋愛が今回の記憶操作のもとになったんだと思います。

そして「少女の背後には仮面の男が立っていた」というのは仮面の男が罪を犯してしまった妹ソロルを楽園パレードに誘いにきたことを言っています。

詳しくはトラック9、「エルの絵本 【笛吹き男とパレード】」の記事で書いていきますが、ソロルは罪を犯したため死後楽園に行けないので仮面の男に頼ることにします。

実は同じように罪を犯した仮面の男は長い時間をかけて楽園へいくことができたので、死後は彼についていくことになります。

次の記事ではまた話が飛びますが「エルの絵本【魔女とラフレンツェ】」を書いていきます。

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というわけで、物語音楽ユニットのEternal Operettaのブログでした!