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maroon

いくつになっても、恋していたい。

そろそろ会いたい、って書いたことすら忘れるほど忙しくて、会ってもいない。

今夜、帰り道、地下鉄に乗ってる時間に電話があった。


コールバック。なんだかまだ会議しているみたいで、小声で、後から電話する、って言う彼。


温かい気分。単純な私。


このところずっと話もできていなかったから、声を聞くだけで、電話してくれるだけでうれしい。


実は私も、このまましばらくこの先1カ月ほどは、1秒も彼と会う時間が作れないほど忙しいんだ。


たぶん。1秒も。


だって、いくつかの仕事、若干遅延しているもの。


あんまり眠いので、先に、オヤスミ、とメッセージを残して、ずっと彼の体温が伝わってきそうなきもちで握りしめてた携帯をかばんにしまいこむ。


ごめんね、また次に。
どうしているの。

そうだ、今日はバレンタインデーだった。そんなことすら忘れてる。


風邪ひきで倒れていたみたいだけど、気にしてメールしても返事なし。忙しいのはわかっているし、私も似たようなものだから理解できるけど、それにしても音信不通な感じ。

以前のように不安はないけど、会いたいな、と思う。
彼と話しているとリラックスする。緊張感を感じたことがほとんどない。
自然なままの自分でいられる感じだから、時々、そういう場所に自分を戻してやりたい。

会いたい。

どうしてるの?あなたは私に会いたくないの?

もとい、会う時間が、ないの?
久しぶりに彼に会った。横断歩道の向こうから手を振って、信号が変わったとたんに駆け寄ってくる。どうしちゃったの?


ゆっくりゆったり話ができて本当によかった。11月頃のヤキモチ焼きな彼の態度。実はまだまだ尾を引いていたことがようやく判明した。

びっくりデスよ。


そんなにそんなに他の男と普通に話したりしているだけで、傷ついていたなんて。本当かいな。


仲直り、って別にケンカもしてないけど、お互いに思っていた不安を口にして、すっきりした。私は貴方以外に好きな人はいないよ。そんなに勘ぐらないで。無実なんだから。
少し間があいてしまった。

忙しいことを理由に、彼に連絡もしていなかった。
年の瀬、少し仕事が落ち着いたら、連絡してみようかなという気になった。

電話しよう、と思っていたのに、野暮な宴会につかまってしまい、気がつくと23時半を回ってる。

いくらなんでも電話は申し訳ないか、と思い、ケータイメールにした。



元気?相変わらず忙しいの?
私はようやく少し落ち着いたよ。
時間ができたら連絡ちょうだい。


5分もたたないうちに電話が鳴る。まだ仕事してるんだな、ってすぐ、わかる。


電車を降りて、かけ直す。


元気とも不元気ともいえない、普通の声。
いつもこの時間の彼は饒舌だ。

しばらく話していなかったけど、体調を気にする時間もないほど仕事に追われているみたい。


また、いつもみたいに、ぼく、なんのためにこんなに頑張ってるんだろうって思う、と言い出す。


自分の、誇りのためなんじゃないの?
あとは、やっぱり、勢い(笑)。


今年のうちに会う時間があるのかな。来年かな。

精神状態が不安定だ、なんて思ったこともないけど、私ができることといったら、話を聞いて、支えてあげることくらいしかないの。


私もいつも、なんとなく支えてもらっているから。


もう少し、一緒の時間がほしい。それが本当のところだけど、やっぱりままならない事情はいろいろあって。


あーあ。恋人って、なんなんだろう。







初期のサザンオールスターズの曲のフレーズに、照れたりしないで心から…ってのがある。


あれから、忙しい彼とは週末、週明けと続けざまに会うことになった。
なった、というのは、二度会ったうち一度は、仕事絡みの集まりだったから。


帰り道、自分、口がうまくないから、好きだとかなんとか、言えない。とか言い出す。

えぇ?

出会った頃、好き好きって臆面も無く言ってたじゃない。

今になって、言えない、って何なのかな。


もしかしたら、最近になって急に照れくさくなったのかな。


わからない男だ。

出張から戻って、午後から顧客先に行く、なんて言っていた彼、でもそのあとは時間があるよ、といきなりのお誘い。きみ、いつも唐突なんだけど。

それでも仕事を片付けて会いに行く私。忙しい合間でも、会うときはいつも落ち着いている彼。仕事の話、勉強になった。いつもそうだ。私にとってひとつのお手本。大事なメンター。

いろいろつまんで飲んで、なんだかまた唐突に客から呼び出しがかかって、断りきれず出かける彼。そういう姿も、もう慣れた。

会社に戻るから、という彼と道でそのまま別れる。せつない視線が一瞬絡んで、頬に彼の指がそっと触れる。
じゃ、また、今度。

…のは、私ではなく、彼。

海外出張、出たり入ったり。ちょうど海外から連絡が入ったけど、帰国してから次の出張までの間に開いてる時間がほとんどない。そんな中、なんとか時間を作ってくれる気配なのだから、万難を排して彼との時間を確保しなくては。

仕事が縁で知り合った彼だから、仕事をとるか彼をとるか、っていうのがない。


知り合って、最初に二人で飲みに行ったときに、すでに、うちの会社の社長になって、と言われた自分もどうなの、と思うが、そんな風に言ってくれていたことが、今も仕事をしていく上で、支えみたいになっている部分はある。


彼に認められているなら、きっと私は仕事の上でもそこそこ大丈夫、という思い。


自信を失いそうになったり(そもそもあんまり自信がないのでこれはあんまりないかな)、プレッシャーにさらされたり、環境がガラリと変わったように見えたりしたときに、まだまだ、大丈夫、と思える。


貴重な存在だと思う。たとえ男女としての関係が終わっても、縁は切りたくない、と思う。