初めまして。

皆さん、ドイツの歌と聞いて思い出すのは、どのような曲でしょうか。年末に日本各地で大合唱されるベートーヴェン作曲の≪歓喜の歌≫とか、多分学校で「歌曲の王」と習ったシューベルトが作曲した≪野ばら≫や≪魔王≫などでしょうか。

 

世界中には様々な種類の歌があり、それには必ず誰かが自国の言語で書いた歌詞があります。

<歓喜の歌>の歌詞はシラーが、<野ばら>や<魔王>はゲーテが書いた詩で、この二人はドイツのみならず世界の文学史上に不滅の名を刻んでいます。天才的な作曲家シューベルトは18歳の頃、同じ詩人の作品に集中して作曲しており、例えば《野ばら》が作曲された1815年8月19日の一日で、ゲ-テの詩による歌曲が5曲も誕生しています。

そのほか、ハイネがライン地方に残る伝説を元に書いたバラード≪ローレライ≫に心動かされて、ジルヒャーやリスト、シューマン夫人クラーラらが作曲しており、シューマンもハイネの青春時代の詩を集大成した『歌の本』から詩を選び≪二人の擲弾兵≫や連作歌曲集≪詩人の恋≫やなど有名な歌曲を書いています。

 

上記のような名曲は、自由・平等を掲げ絶対王政を崩壊させたフランス革命後、近代国家体制構築を目指す市民革命と旧体制復活による反動政治とが対立した18世紀後半から19世紀半ばにかけて生まれています。つまりドイツ歌曲は、そのような激動の時代を生きた詩人や作曲家たちの時代を映した精神の結晶ともいえる芸術作品なのです。

 

このコーナーで

私はこれまでの経験をもとに、これからドイツ歌曲を歌いたい人や、すでに歌っている人たちが、演奏に際してより一層

向上してゆけるために必要な事項について書いてゆきたいと思っています。

 

詩人や作曲家が何をどう表現したかったかを理解するためにも、

まず、ドイツ語が読めるようになること、それもできるだけドイツ語標準語に近い発音で読む練習をしてみてください。そうでないと

いくら良い声で声量豊かに歌っても、ドイツ人が聞いて「いったい、何語で歌ってるの?」と聞かれることになるのです。

手始めに今回はドイツ語のアルファベットを発音してみましょう。発音記号を添えますので、それを頼りに読んでみてください。

A,  a   [a:]             P   p  [ pe:]

B  b    [be:]                    Q  q  [ku:]

C,  c    [tse:]                   R   r  [єr]

D  ,d   [de:]                    S   s   [єs ]

E  ,e    [e:]                    T   t   [te:]

F  ,f    [єf ]                    U  u   [ u:]

G,  g   [ɡe:]                    V   v   [f]

H  h   [ha:]                     W   w   [ve:]

I   I    [i:]                      X   x    [ɪks]

J   j    [jɔt]                     Y   y    [ʏpsilɔn]

K   k   [ka:]                    Z   z    [tsєt]

L   l    [єl]

M  m   [єm]                Ä  ä  [є: ]

N  n    [єn]                   Ö   ö  [ø:]

O  o    [o:]                Ü  ü  [y:]

ß    [єs`tsєt]

 

ついでにドイツ語の基本母音の表も載せておきます。参考にしてください。次回

詳しく説明します。