イオン・ヴォイク (1923-1997) はルーマニア生まれのヴァイオリンの巨匠である。エネスコとオイストラフに師事したそうだから、経歴は燦然としたもの。ところが日本での知名度は、ほとんど無いに等しい。



春うまれのアキ


このCD (2枚組)、ちょっと見には父子共演のようだけれど、そうではない。息子マダリン・ヴォイクは、モーツァルト / 40番とベートーヴェン / Sy.5 を振っているだけ。父親イオン・ヴォイクが協奏曲で共演している相手は、ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス / ロンドン響 (デッカ原盤) である。


息子を売らんが為の、涙ぐましい組合せか。



春うまれのアキ


やはり2枚組だが、こちらも父子共演ではない。パガニーニ / ヴァイオリン協奏曲第1番はハインツ・ボンガルツ指揮ドレスデン・フィル?との共演、プロコフィエフのソナタ 2番はモニク・ハースがピアノを担当。そこへ息子が指揮したベートーヴェン Sy 1番と、メンデルスゾーン 「イタリア」 をくっ付けている。


息子を溺愛するのも程度問題ではないかしらん。



春うまれのアキ


ラロ 「スペイン交響曲」、ラヴェル 「ボレロ」、ファリャ 「三角帽子」、いちおうスペイン物で固めているが、残念ながら息子との共演ではない。

「スペイン交響曲」 は、ジョルジェ・ジョルジェスク指揮 ブカレスト <ジョルジュ・エネスコ> フィルハーモニー管弦楽団との共演。


土臭いといわれるヴォイクの特徴がプラスに作用して、スペインの熱気を感じさせてくれる。私的に、上品すぎるグリュミオー、フランス的すぎるフランチェスカッティ、折り目正しいが面白くないシェリングより、こっちのほうが断然好きである。