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独り占めできないのは
分かっている
でもそれを望んだ
土曜日の女でもいいから側にいさせて
気持ちの喉に
引っかかった
少し太い魚の骨のように
すんなりと
取れないのが
愛なんです
太い愛だからの
痛みです
吐き捨てたい過去がある
でもシミとなった
思い出も
時間が経てば
美しく見えるだろう
きっとそうだろう
ネクタイ取ったその姿
コンタクトから
メガネへと
変わる瞬間に私は隣
そのかたい腕の中
私は今幸せです
このまま時よ
止まれ
あなたに今包まれて
いっその事壊れたい
あなたも一緒に
イキましょう
ベッドの上の楽園へ
このまま眠れば私の
あなたは
あなたのものになる
閉じたくはない瞳
でもその鼓動が眠らせる
土曜日の女/奥井遼
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