台湾語映画『五月十三傷心夜』(1965年)デジタルリマスター版 | 今天有空嗎?

今天有空嗎?

台湾映画その他中華圏映画のこと/蔡旻佑のこと/コトバのこと/音楽のことetc・・・今天有空嗎?

昨年開催された<よみがえる台湾語映画の世界>で見ることが出来なかった、1965年の台湾語映画『五月十三傷心夜』をDVDにて鑑賞。

 

予告編はこちら↓。

 

『五月十三傷心夜』(1965年/台湾/97分)

 

幼くして母を亡くした阿恵と淑清。姉の阿恵は源氏名・麗娜としてキャバレー・Bagioで働きながら、妹の淑清を大学に通わせる。互いに支え合いながら生きてきた二人だが、やがて淑清は製薬会社に就職が決まるも、姉の職業が妹に暗い影を落としていた。製薬会社のガラス製造部の主任・文彬と次第に親しくなる淑清。彼女は理想の伴侶として文彬と結婚したいのだと阿恵に告げる。一方、同窓会に出席した文彬は二次会で旧友たちに連れて行ったBagioで麗娜と出会う。淑清の姉だとは知らず、惹かれ合うふたり。その後偶然展覧会で再会した二人は、文彬の誘いで金山区の海辺にある文彬の実家を訪れる。麗娜は「5月13日のお祭りの日に妹を紹介するわ」と自宅に招く約束をするが・・・。

 

昨日アップした『六個嫌疑犯』の林摶秋監督によるメロドラマ。

5月13日のお祭りとは、廸化街の台北霞海城隍廟で開催される<五月十三迎城隍>という廟の一大行事で、実際のお祭りの様子が映像に収められていました。大半のシーンはおそらくスタジオのセットで撮影されたと思われるのですが、時々、外でロケを行ったシーンには、当時の台湾の様子がうかがえて、とても興味深いものがありました。(「反攻大陸」と言いながら、孫がおじいちゃんの背中を按摩してたり。)

 

デジタルリマスターした元のプリントに、中文字幕が焼き付けられていたのか、今回鑑賞したDVDには字幕トラックとして収録されていた英語字幕の他、本編映像に右から左に書かれた中文字幕(ところどころ、新しい字幕(左から右に書かれた)が入れられていたが)しかなく、読みづらいことこの上ない・・・それでも「姉妹が同じ男性に恋をしてしまい、」というわりと単純なストーリーに助けられて、さらに終盤の「えっ、ここでそんな展開する!?」な意外な盛り上がりにくぎ付けになってしまいました。

 

うーん、林摶秋監督は『六個嫌疑犯』の出来がお蔵入りにしちゃうほどイマイチだったというけど、ジャンルは違えど、同年に作られた作品としては、個人的には『六個嫌疑犯』の方が私はよくできていたような気がしました。