閲読時光(2)『大象』(2015年台湾) | 今天有空嗎?

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ようやく観はじめた2015年の映像シリーズ「閲読時光」。
台湾の小説10作品を映像化する、という台湾文化部による企画です。

※DVDで鑑賞しているのですが、記事はDVDの収録順とは異なる順番での紹介となってますのでご了承ください。

さて、二作品目は『大象』。
王登鈺(Fish)による短編小説集『電影裡的象小姐』の中に収録されている5作品*を、王小棣監督が改編し映像化したものです。
王小棣監督にとっては1998年のアニメ映画『魔法阿媽(邦題:魔法のおばあちゃん)』から17年ぶりのアニメーション(アニメ+実写)作品、そして原作小説の作者・王登鈺は、楊雅喆監督による2008年の台湾映画『orzボーイズ(原題:囧男孩)』の中に出てくるアニメーションシーン等でよく知られている台湾のアニメーター。

* 2015.05.14《閱讀時光》前進「府中15」王小棣 睽違17年 挑戰動畫短片「大象」


以前に台湾映画同好会で『orzボーイズ(原題:囧男孩)』の上映会をした際の資料を作っていた時に、王登鈺についてあれこれ調べていたのですが、その中で本のタイトルは目にしていたような・・・。アニメーションのあの独特な世界観を、文字でどのように表現しているのか、興味津々。いつかチラリと読んでみたいです。

というわけで、短編小説を改編し、さらに王登鈺によるアニメーションと実写との組み合わせによって作り上げられた、とても不思議で独特な雰囲気の作品となっていました。


予告編が見つからなかったので、メイキング映像を↓↓↓。

閱讀時光 ★ 幕後花絮 ~ 大象

(閱讀時光のYouTubeチャンネル 2015/05/25 公開)


[ストーリー]
青年・小象は映画館の映写技師。幼い頃に母親に先立たれた小象は、深い孤独を抱えている。彼が映写室の中で書き連ねる小説の中では、人々は象の体内アパートに住まう。幼い象は遠くに立つ母親象を恋しがり悲しみに満ちた声を上げるのだが、その度に象のアパートは激しく揺れるのだった・・・


以下、箇条書きに感想その他。

・リアル世界の小象は幼い頃に母親を亡くしており、母への想いと悲しみと孤独とが、心象世界で鎖につながれ離ればなれにアパートとなっている母親象と幼い象に呼応しているようです。

・象アパートの中の部屋は真っ赤で、まるで胎内のよう。

・劇中、リアル世界の映画館で放映されているのは、鄭有傑監督による実際の短編作品『(不再)平凡的幸福』。反核運動団体「我是人、我反核!」のために制作された作品で、YouTubeにて全編公開されています。リンクはこちら→

・リアル世界でも放映中に停電になってしまったり、福島のニュースが音声で流れていたり。

・そんなこんなで、小説世界の中で電力不足が描かれており、羊を集めその毛に帯電している静電気を吸い取って電力源にしていたりします。

・[ストーリー]は試しに書いてみましたが、自分の中で作品が未消化で。うまく書けなかった。
でも、原作となっている小説を読まない限り、これ以上の理解もできない気がしています。理解できないなりにこの作品はとても気に入っています。王登鈺の絵も世界観も多分、とても自分に合っているのだろうと、直感的に。