甲状腺専門病院創設者の(行政との)戦い | まぶたを治す道 〜眼瞼下垂はあとかたも無くすぐ治る〜

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瞼の手術治療に関するブログ
現状治らない疾患の治療法発見に興味があります。その為には古い慣習や常識にはとらわれません。未来の医療の構想のようなものが混じっております。読者に何かをもたらすことができればと思います。

バセドウ病や橋本病などの甲状腺の病気の診療で全国的に有名な病院は、野口病院や伊藤病院や隅病院などがあります。

 

今回話題になる、やました甲状腺病院は全国で3〜4位くらいの手術症例数を誇る病院です。

 

そのやました甲状腺病院の創設者が書かれた本が先月出ており、読みましたのでちょっとブログで触れさせていただく事にしました。

 

本のタイトルは

ゼロからの専門病院開設 岩盤規制を乗り越えて 山下弘幸 著」

です。

 

著者の山下先生は甲状腺外科医で、はじめは福岡市に甲状腺専門クリニックを建てていました。

 

クリニックには入院設備が無いため、手術をする場合は近隣の総合病院の開放病床の仕組みを利用して、患者さんにそちらへ入院してもらって山下先生がオペを執刀していたそうです。

 

その体制で何年か診療を続けた頃、山下先生は自分のクリニックを病院にする、つまり入院ベッドをもつ施設に拡張しようとしました。

 

しかし入院ベッド数というのは行政によってかなり数が制限されており、とにかく入院ベッドは増やしたくない、という姿勢。

 

「現在、へき地、産科、小児科、救急以外は有床診療所の開設を認めていません」

などと間違った(後で間違いとわかる)事を言い、ベッド数を増やす有床化をとにかく認めなかったようです。

 

その後は行政との戦いですね。

 

あの手この手で行政を説得していく様子が描かれています。

 

 

とにかく行政は医療費が増えるかもしれないような事はさせたくないので、わかりやすくはあります。

 

ただ、本当に実力ある医師が専門領域に特化した病院を建てると、患者さんにとっては県外まで通う交通費宿泊費の負担が軽減されるし、調子が悪いままで近所で見当はずれの投薬を延々と続けられて通院し続ける状況が解消されるので、医療費的に経済的にむしろ節約になる側面もあるのではないかなと、私個人的には思います。

 

最終的に著者は、この医療機関は甲状腺疾患に特化した診療をします、それが続けられなくなったら病床を返上します、という誓約書まで書いて行政に提出したそうです。

 

そんな誓約とか世の中にあり得るんですね?!ポーン

 

ただ、一般の病院利用者にはそんな事情はわからないですよね。

 

断られた患者さんからしたら

 

「なんでこの病院は内科があるのに○○(一般的な疾患名)に関して診てくれないんだ??ムキー」​​​

 

というふうにしか思えないでしょう。

 

とにかく医療にまつわる公的支出を増やすまい、という姿勢にそれなりの正当性はあるのだと思いますが、それ一辺倒だと結局、患者さんが良い医療を享受できなくなる結果が発生します。

 

本末転倒ですね。

 

これをきっかけに興味ある人は読んでみられて下さいね〜と、私のキャラだと言いたいところですが、そのレベルにはとどまらず、医療の世界で行政の壁と戦っておられる人には、自信を持ってお勧めできる本です!

 

参考:ゼロからの専門病院開設 岩盤規制を乗り越えて 著:山下弘幸 発行:幻冬舎メディアコンサルティング