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狂った智恵子は口をきかない
ただ尾長や千鳥と合図する
防風林の丘続き
いちめんに松の花粉は黄いろく流れ
五月晴れの風に九十九里の浜はけむる
高村光太郎「風にのる智恵子」より
彫刻家であり詩人である高村光太郎が妻・千恵子との愛を綴った詩集。
はじめは智恵子との時に穏やかな、時に激しい愛情の生活を詩に記しているのですが、だんだん智恵子が精神を患ってくるんですね。
狂ってゆく妻を光太郎は献身的に支え、美しく哀しい千恵子の詩を書き続けます。
智恵子は光太郎から逃げたかったんじゃないかと思うのです。
愛に満ちた生活は幸せかもしれませんが、同時にそんな生活が猛烈に苦痛だって事がありますよね。
しかし光太郎の手の届かないところに居る狂った智恵子は、なおも光太郎によって美化され続けています。
そんな風なことを考えていると、つくづく「私って少女趣味だわあ」と思うのですが、もしかしたら「少女趣味」という言葉の意味を取り違えているかもしれません。
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