「河童」芥川龍之介:狂人と河童の奇妙な世界 | lideli-rev

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「阿呆はいつも彼以外のものを阿呆であると信じている。」
「我々の自然を愛するのは自然は我々を憎んだり嫉妬したりしないためもないことはない。」
「もっとも賢い生活は一時代の習慣を軽蔑しながら、しかもそのまた習慣を少しも破らないように暮らすことである。」

芥川龍之介「河童」より


芥川龍之介が好きなのですが、特に好きなのが「河童」です。
上記の引用は、河童の哲学者マッグの著書「阿呆の言葉」に記されたいくつかの章。
河童の社会は鳥獣戯画のような人間のカリカチュアなんだと思うのですが、それが胸に迫るとか深く考えさせられるという事はなく、奇妙な世界を旅しているような楽しさを味わえます。

鳥獣戯画を眺めるときも、ウサギやカエルが相撲をとったり碁を打ったりしているのを眺めて楽しむじゃないですか。
面白いなあと思って眺めているのですが、面白く楽しい一方で、なんとなく怖くいような空虚なような感じがする、という作品。

芥川龍之介が作品を通して訴えたい事って、特に目新しいとか斬新なわけではないと思うのですが、その見せ方が呆然とするほど素晴らしいんじゃないかと思います。


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