今日は有栖川公園でリュートを弾きました。

ベンチで弾いていたら、ちょっと後で
受験生らしき男の子が二人隣りのベンチに
すわりました。

なんと

タバコをプカプカ吸っています。

「ヤマカワの世界史買ったほうがよくね?」

「メンソールはきついわ~。」

など、受験生と幼さと不良っぽさが混ざった
会話が聞こえます。
そして

「あ。ハトがいる。食っちゃうぞ。」

といって、リュートの音を聞いてきたのか、2,3羽舞い降りてきたハトを
足をふみならして、
蹴散らしました。

なんというクソガキ・・・・・。

私はちょっとむかついて
彼らを無視して、弾き続けます。

しかし
レスピーギの「リュートのための古風な舞曲」
の第三組曲の通称シチリアーナを
弾きはじめたら
突然ワルっぽい会話がトーンダウンして、
しばらく沈黙が続きました。

私の曲を聴いているのです。



彼らもさすがにこの曲は知っているのだと
思いました。

そして、なぜか
突然しみじみとした会話に入ります。

「俺のおばあちゃん、被爆者だったんだ。
被爆したときに知らない人が、軟膏を体に塗りつけてくれたんだって。
それで生き延びたんだ。
そうしてもらわなくちゃ、俺が生まれていなかったんだ。」

「お前の田舎は広島だったんか。」

「うん。」

「俺は岡山だよ。」

なかなかまともな会話ではないですか。

この曲がこんなに力があるとは
驚きました。

彼らの記憶の底にあったこの曲を
私のつたない演奏ながらも
生で身近で聞くという行為が
彼らを素直にさせたのでしょうか。

もしそうなら音楽って捨てたものじゃないなあとおもいました。

なんと立ち去るときには、
彼らは私に会釈していったのですよ。

ワルぶっているけどいい子たちだったのですね。

しかし、私が本当に聞かせたかったトリさんたちは、あの受験生たちに、脅かされて
もう来ないのかなあと
ちょっとさびしく思ったのですが、
なんと私の真後ろに一杯おりました(^^;

私が立ち上がると、
一斉に
バサバサとやかましいくらいに
羽音を立てて飛び立っていきました。

有栖川公園のトリさんたちは
私を覚えていてくれたのですね。

嬉しかったです。