除細動器とは
・細動を起こした心臓に極短い時間、直流高周波電流を流して全ての心筋細胞を一度共感させ、正確な状態に戻す。
・P波:心房筋の興奮
・QRS波:心室筋の興奮
・T波:心室筋が興奮から回復する時期
・心房の異常はP波に現れる。
・心室の異常はQRS波からT波にかけて現れる。
・QRS波の立ち上がりからT波の立ち上がり前までを絶対不応期という。
除細動器の適応
・心室細動・・・各心筋がばらばらの動きをして、心室から血液の拍出ができない状態
・除細動器は心室細動を起こした心臓に大きなショック(エネルギー)をかけて、心筋細胞を一度興奮させ、正常な律動に戻す。この行為をカウンターショックという。
・必要なエネルギー:150~360J
・直接心臓を刺激する場合は5~60J
心房細動・・・心房の心筋がバラバラに動いている状態。心室による血液の拍出は一応保たれるが、P波が不規則に出るので、心室収縮も不規則になる(完全不整脈)
・除細動器は心室に影響を与えないように心電図R波にタイミングを合わせて(R波同期装置を使用)電気ショックをかけて、正常な律動に戻す。この行為をカルディオバージョンという。
注意・・・一般の心房細動患者に除細動を行うことはなく、薬物療法を実施する。
除細動器での心房細動の治療は、僧帽弁手術後など、入院患者の心房細動の除去が主たる目的である
・必要なエネルギー:50~150J
電流方式
・直流方式が使用される
(直流方式のメリット)
・除細動効率が良い
・心臓に与える影響が少ない
・1962年以前は交流方式だった
・交流方式では100Vの電圧を数秒間心臓に流していた。
・除細動効率が悪く、心筋に与える影響も大きい
構造と原理
・高圧トランスにより発生させた高電圧をダイオードで整流、大容量のコンデンサに充電し、スイッチを切り替えてコンデンサに充電された電荷を瞬時的に放電(通電させる)
構成
・高圧トランス(スライダック):T 商用交流を数㎸以上の交流電圧に昇圧
・ダイオード:D 交流電圧を整流
・コンデンサ(キャンパタ):C 10~40μFを使用 最高360Jの静電エネルギーを貯める
・コイル(インダクタ):L コンデンサからの放電波形をダンビングさせる
ダンピング:工業分野では減衰力、制動いう意味を持つ、もともとは「dump」(余ったものを捨てる)からきている。
・出力(通電)スイッチ
・刺激(通電)電極(パドル)体外(体表)電極と(心臓)直接電極がある
・電極の最小面積(JIS)
成人用 小児用
体外 50cm(2) 15cm(2)
直接 32cm(2) 9cm(2)
・体外電極には患者患部に電極を押し当てると、モニタ画面上に心電図が観測できるものがある(押し当てる位置を逆にすると極性が反転する)
規格
・最大出力電圧:5㎸以下(1000Ωの負荷抵抗)(JIS)
・実際の製品は4㎸程度(50Ωの負荷抵抗で設計)
・出力は必ずフローティングする
・本体は必ず接地する
・通電時間:2~5ms
・エネルギーの最大値:360J(JIS)
注意
どうしても360J以上通電したい場合・・・JISの規格により「体外電極部で400J、直接電極部で100Jを超えるエネルギーで通電したい場合は、通常の操作の他にそのその都度付加的な操作を必要とする構造にしなければならない」と規定している。
・体外電極のみ装着されている体外通電線用の除細動器はBF型(JIS)
・体内電極を当てて体内通電を行う機種の体内電極回路および、モニタ心電計を内蔵する機種の心電電極回路はミクロショック防止のためCF型にする(JIS)
a、コンデンサの働き
充電された電圧を蓄積させる
↓
電圧はスイッチを押すことにより直列に接続されたコイルを通じて出力される
(電圧はコイルで多少消費されるので、実際には設定値よりも多くコンデンサに充電される)
コイルがない場合
出力波形は微分波形
↓
ピーク電圧は大きいが減衰が早く、有効持続時間が短すぎる
↓
有効な除細動が期待できない
↓
出力時間が長いため、心室細動を再発させる恐れがある
コイルがある場合
↓
出力波形は立ち上がりがなまったダンピング波形(ローン波形)
↓
ピーク電圧が大きく、持続時間も程よい
↓
有効な除細動が期待できる
↓
後半の減衰が早く、心室細動を再発させない
・出力時間が5msec未満では除細動が不十分
・出力時間が20msec以上では細動の再発の可能性が大きくなる
・充電エネルギー(En)は充電電圧をVとすれば
En=1/2・CV(2)
で表せる
5、使用方法
・ペーストを十分に塗る
・心基部・心尖部付近の最も密着しやすい部位に5kg.くらいの力で強く押しつける
・皮膚の接触抵抗を下げた状態で通電する
・通電は成人の場合、始めは150~200J程度にして実施、除細動が無効な場合はさらに強いエネルギーで行う
・小児の場合は2~3J×体重(圈砲能侘魯┘優襯ーを考える
(心臓)直接電極
・2つの電極で心臓を上下に挟んで通電する
・初回エネルギーは5~20Jが一般的
b、除細動のタイミング
心室細動の場合
緊急的かつ、速やかに実施(非同期通電:カウンターショック)
↓
R波同期スイッチはoffにする。
心房細動の場合
R波(絶対不応期)に同期した通電(同期通電:カルディオバージョン)
↓
Rはスイッチをonにして通電
↓
医師がもしタイミングを計らずに除細動しても、心電図でR波を検知し、タイミングを除細動器が自動的にとる
事故と対策
電極部の火傷
電極と生体表面との接触不良
↓
エネルギーの消費
↓
電極部で火傷が起こる
表面でのエネルギーが消費される結果、除細動の刺激が無効になることがある
漏れ電流(出力リーク)
通電時のピーク電圧は数㎸
↓
除細動器の絶縁が悪いと漏れ電流(出力リークが発生)
↓
他のモニター機器の電極部で火傷が起こる。
介助者の事故
除細動器の2つの出力は接地から浮いている(出力フローティング)
↓
接地との間に若干の静電結合(50~500pf)がある
↓
数㎃~数十㎃の電流が流れる。
・患者の体が金属部分にふれている
・術者も電極金属板に注意
・介助者、医師は必ずゴム手袋をつける
何個か抜けた・・・
点検項目
・バッテリーの充電状態
・電極パドルの清掃状態
・電極ペーストの準備
・50オームの負荷抵抗による通電テスト
・定期点検・オシロスコープによる出力波形の観測
・電極部と本体外装部との浮遊静電容量(キャパシタンス):2nF以内(JIS)
1kHのインピーダンスやキャパシタンスメータを使用
・電極部と本体外装部との絶縁抵抗:10MΩ以上
メガー(絶縁抵抗)を使用
*通電電極の接触抵抗は測れない
・出力エネルギーの測定
除細動器アナライザ(専用チェッカ)使用設定値と実測値が同じ事を確認(85%)誤差は15%以内
・R波同期装置の確認
・最大エネルギーに達するまでの時間:15秒時(JIS)
内部放電までの時間:コンデンサに充電させて放置すると、30秒~1分程度で自動的に内部放電する(JIS)
・放電特徴は時定数10秒未満(最大エネルギーより37%まで減衰する時間が10秒未満)
・AEDの場合、最近は自動式体外除細動器をさす。
・半自動除細動器:除細動のパットを体表面装着し、機器が心電図波形を鑑別し、施行者がエネルギー量を設定して除細動を行う。現在、救急救命士が使用、手動操作も可能。
・自動式体外除細動器:手動操作ができず、除細動器が心電図を解析して、必要に応じて
・・・・・・・・・
・患者の心拍を持続的にモニタリングし、頻脈性心室不整脈を治療し、心臓突然死を防止する。除脈に対してはペーシングもしている。
・対象疾患:心室細動、心室性頻拍(心房細動は含まれない)
・エネルギーの最大値:30~40J