これを観ずに死ぬことにならなくてよかったなあと思った。

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　観た後に、周りの景色が違って見える瞬間というのが、確かにあると思うのです。そのとき、おそらく、それを観たことによって自分自身の心が揺さぶられ、何かが変わったことに、体と心がついていけてないのでしょう。

　おくりびと [DVD]

もそんな映画のひとつでした。

　「人は、死ぬときに、全生命力をかけて、残されたものに生きることの何たるかを問いかける」と、内田義彦が読書と社会科学 (岩波新書黄版 288)

の中に書いていた気がしますが、この映画を観ながら、「死」というものを通して、人生の美しさ、愛、楽しさ、人のぬくもりを劇中の人物たちとともに再確認していました。

　納棺の様子に思わず見とれた自分がいました。美しさと愛情が同義語であるのだと、納棺の様子を見てそう思いました。

　DVDを返しに深夜、外へ出ると、秋の空気が気持ちよく花を通り抜け、空を見上げると、もう冬の星がちらほらと見えていました。

　小腹が減って、ふと思ったのは、「フグの白子が食べたいなあ」です。