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「あった!」

声をあげたのはクーモだった。

「ねえ、ケイコ、この言葉だろ」

そう言ってクーモが指差した本の文字には確かにモデルと言った言葉が書かれていた。

その本を敬子に手渡しクーモは心配そうに敬子の顔を見つめた。

敬子はクーモから受け取ったその本を数ページ前から読み直した。

しかし読み始めてから数ページを読んだだけでその表情は曇り始めた。

「違う」

「えっ!」

予想さえしなかった敬子の返事にクーモが敬子に聞きなおした。

「だって、そこに書かれているモデルって言葉がそうなんだろう?」そうクーモが言うと

「確かにここに書かれているモデルって言葉自体の意味はそうなのだけど、この本の主人公はモデルではなくてスタイリストって言う仕事なのよ」

「スタイリスト?」


スタイリスト


初めて聞くこの言葉にクーモは困惑した。

「そう、スタイリストと言って、この本の主人公はモデルに会う洋服や靴などを手配していた女性らしいの、だから雑誌の仕事でモデルと頻繁に接した事でこの本の中ではモデルと言う言葉が多く使われているの」

「雑誌?」

またもクーモには聞きなれない言葉が出てきてその意味不明な意味に苛立ちを覚えたが、この本の主人公の人生がモデルでない事だけは理解できた。」

敬子は自分とクーモの周りを見渡し雑然と置かれている無数の本を見回した。

今までの費やした時間を考えると気持ちが萎えていくような感覚さえ覚えた。でも、ここでそんな様子をクーモに見せては私だけではなくクーモも気落ちしてしまう。ほんの少しだけ残っている気力を絞り出して敬子はクーモに激を飛ばした。

「ようーし、また一から探すか!」

「これだけ読んでやっと見つかったのにこの後どうやってさがすんだよ!」

期待が一気に挫折へと変わりクーモには今この後どうして良いか頭の中がまったく整理がつかないようであった。

「良いじゃない」

「良い?」

少し捻くれた様な口調でクーモが敬子にいった。

「だって私たちには幾らでも時間があるのだから、そうでしょ」

その言葉を聞きクーモは口をつぐんだ。

「別に本がすぐに見つからなくたってリリィは本を燃やしたり破いたりしてしまう事なんてしないし、私たちは時間をかけてでもリリィの希望通りの人生の一冊を探せばいいんだから!元気出せクーモ。」

その言葉にクーモも少しだけ元気を貰い顔に力が蘇ってきた様だった。

「そうだね、それじゃあまた一から探そうか」

二人はお互いに気持ちを支え合い、また大きなこの図書館を見渡した。