はじめに
みなさんこんにちは。本野鳥子です。今回は、上橋菜穂子さんのエッセイ集「物語ること、生きること」を読みました。何が上橋さんを、今のような作家にしたのか、その足どりを追いかけてみたいと思います。
「物語ること、生きること」上橋菜穂子(講談社)
民話をいくつも教えてくれたおばあちゃん、沖縄やオーストラリアでのフィールドワーク、幼い頃に読んできた数々の本。それらを通して、上橋菜穂子さんが何を思って作家になったのかが、よく分かる本だった。
前に一度、これを読んで、そのあと、上橋さんが生き生きと、魅力たっぷりに紹介する本を、何冊か読んだ。指輪物語や、サトクリフなど、確固たる世界観を持つ冒険物語に、上橋さんの慧眼を思い知った。
そしてまた、それらの本を読んで、このエッセイを手に取ったわけだ。
前に読んだ時より、圧倒的に得るものが多かったような気がする。上橋さんの得た感触と、私が得た感触は、たとえ同じ本を読んでいても異なるのは当たり前だが、何となく本の感想を語り合っているような気分になれた。
ハドリアヌスの城壁は、いつか行ってみたい場所の一つになった。私の中では、憧れが高じて、もはや聖地という感すらある。サトクリフはもちろん、塩野七生さんの「ローマ人の物語」など、ハドリアヌスの城壁は、複数の作品に登場し、重要な役割を占めている。その場所をこの目で見てみたいという思いは、募るばかりだ。
上橋さんが紹介する本は、どれもこれも面白そうで、まだ読んでいない本も手に取ってみたくなる。歴史を勉強したいという思いも、強まって仕方がない。
未熟で、経験が足りない自分を恥じる気持ちは、私の中に巣食っている。けれど、上橋さんは、その気持ちすらも認めてくれた。
私の読む本の、そして、人生の道しるべとなるような、そんなエッセイ集だった。
おわりに
というわけで、「物語ること、生きること」についてでした。とりとめもなく書きたいことを書きましたが、楽しんでいただけましたか? 次は、この本の中に紹介されていた「時の旅人」を読んでみようかなと思います。お楽しみに。最後まで読んでくださり、ありがとうございました!