あー、もう20もいったのか…
またもや久々の続きです。
こんな小説を楽しみにしてくださってる絶滅危惧種のみなさんには申し訳ないm(_ _)m
いよいよ受験の最盛期。これを最後に、またしばらくあくかもしれません。
新規読者様がいらっしゃいましたら、プロフのリンクから小説置き場へ飛び、最初からよんでいただけると嬉しいです^^
では。
前回のあらすじ:琉也は綾の過去を聞いた。
20
乾いた風が街を撫で、山が紅葉に燃える季節。
「へぇ~、こんなところに温泉があったんだ」
秋めいた《コロニー》山の麓、小さな旅館の露天風呂につかりながら、琉也が言う。
「ん~……っ。死んでからは初めてだな。」
「はははっ、そうだろう?」
「うん、フミオさんありがとう、こんなところに連れてきてくれて。」
「いいんだよ、礼を言うのは俺のほうだからな。」
筋骨隆隆たる上半身を岩にもたれて半身浴をしているフミオが、気さくに笑う。
フミオの手伝いとして、《コロニー》の全住民にここ1ヵ月の情報を伝達する定期通信(要は、琉也が回覧板の代替になって《コロニー》中を歩きまわる)役の仕事をした労いに、温泉へ連れてきてもらったのだ。
「ふぅー……」
お湯の中の琉也は、裸。
幽霊は『自分』だけにはさわれるため、『自分』という存在の一部である衣服を脱ぐことは可能だし、お湯を手ですくうこと――それ以前にお湯を触ること――はできないが、温度を肌で感じることはできる。
(だから実は夏に薄着で死んだ霊にとって冬は、温度は体感できるから死ぬほど寒いのに死ねないという過酷な時期である)
「気持ちいいな……周りを気にしなければ」
「はっはっは、気にすんな、俺らのことは見えないんだからよ」
「そうだけど……」
ここは旅館の温泉。
当然、“生きた”人間も入ってくる。
向かいのおじいさんが不可視の自分を通して景色を見ているとわかっていても、自分は見つめられているように感じるので、琉也は居心地悪い気分だった。
「じゃあ、女湯いくか?」
「ぶっ!!そそそ、それはさすがに……!」
「はっはっは、冗談さ。今日は来てないが、ハルちゃんと綾にバレたら手厳しい罰をくらうからな。」
経験があるのだろうか?
少し気になったが話を戻すのはためらわれ、とっさに話題を切り替える。
「そ、そういえば綾さんや嶋じいには聞いたんだけど、フミオさんは……なんで死んだの?」
「アッシだよ。」
「あっし??」
『この金はあっしのモンですぜ、ビタ一文譲らねぇ』←琉也の脳内変換。
「つぶれて死ぬことさ。」
「へ?あ、ああ、“圧死”ね。」
何かに潰されて死んだ、と。
「俺ぁ生前、土木系の仕事をしててな、トンネル掘ってて、崩れて下敷きよ。」
「へぇー……」
「……。」
「……あれ、それだけ!?」
「ぬおっ!?人の死に『それだけ』か!?」
フミオが叫ぶ。
「このやろう、わっはっはっはっは」
怒ってはいない。むしろ、豪快に笑うフミオ。
「いやだって、嶋じいや綾さんにはもうちょっとエピソードがあったから……」
「俺だってあるじゃねえか、開拓に命を捧げたんだぜ?」
「ま、まあ、確かに……」
“漢”ではあるな、と琉也は思う。
「トンネルが一部崩れた。そこに、俺がいた。気がつきゃ霊になってたよ、はっはっは……さて、そろそろ帰るか琉也。」
「あ、うん。」
ザバッ
とはならないですぅーっと立ち上がる。
霊は水に触れない=濡れないから、すぐに服を着られる。そこらへんは便利だ。
琉也がズボンを穿き、服を着ようとしていると、
「おう琉也、その背中の傷はどうしたんだ?」
フミオが訊ねてきた。
「ああ、これ?」
琉也も後ろを向く。
琉也の背中、肩甲骨の少し下のあたりに、縫ったような、大きく痛々しい傷の痕があった。
「これは、僕が小学六年生の頃につけた傷なんです。あの時は死にかけたな……」
あまり鮮明には覚えていないが、その時のことを思い出す。
――『ねえ、いっしょに遊ぼ♪』
そこには、ひとりの少女がいた。
TO BE CONTINUED