続きです。



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「家?」




琉也は、ハルカの後ろについて歩く。





「うん。」





涙目で頬をさすりながら、ハルカが答える。





ハルカがフミオから離れることで《連鎖》が解け、不意に地面に接吻することになった綾がつねったのだ。





「家って…幽霊がそんなもの作れるの?」





「違うよ。こんな山の中でも、建物があるの。《コロニー》の広場のおやしろみたいに、もう誰にも使われなくなっちゃったところがね。そこを、みんな《ホーム》って呼んでるんだ。」





「へえー…」





幽霊たちが住みついている山奥の使われなくなった建物…





「廃病院だったりして。はは…」









「すごーい!なんでわかったの!?」











……え?







「ちょっと違う気もするけと、そんな感じだよ♪」





「え、どういう…?」





「ほら、ここが《ホーム》なんだ☆」





木造の、民家より少し大きいくらいの建物。





看板がついている。







『 田村診療所』







僕は今から、ここに住むらしい。







「えぇーっ!?」







***





玄関前。





「診療所か……あれ?」





診療所:医師が診察・治療を行う施設で、医療法では収容人数が19人以下のものをそう呼ぶ。





《コロニー》に着いたとき、視認できた霊が、だいたい20人。他にももっといるはずだ。





そして看板曰く、この『 田村診療所』は収容人数17人、病室数5室。





「…ハルカちゃん。ほんとにみんな、ここに住めてるの?」





「うーん、みんなはムリ、かな」





「えっ?」





「《ホーム》はね、住むっていうより、寝るための場所なんだ。ユーレイは眠らなくても大丈夫なんだけど、生前の習慣があるから、まったく寝ないと心が疲れちゃう人もいいるみたい。



だからみんな、寝たくなったらここに来て、寝るの。17個のベッドをみんなで使い回してね。」





あっ、なるほど。自分のポジション固定じゃないのか。





「診療所じゃ眠れない~って言って、使ってない人もいるんだけどね。…じゃあ入ろうか。よいしょっ」





ギィ、と軋む音を立て、ハルカが扉を開けた。









TO BE CONTINUED