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「あは、ふっかふか☆」


イノシシを撫でてる。


おいおいおいおい!


「ね、イノシシさん、私のおうちまで連れてって」


と、ハルカちゃんがイノシシの頭をポンと叩く。


すると通じたのか、イノシシは奥の茂みを目指して足早に歩き出した。


「あれ?わっ、ちょっとイノシシさん、方向違う!」


通じたんじゃなかったのかっ!


ハルカちゃんは大いに慌てる。


「わ~、降ろして、そっちじゃな~い~」



イノシシはどこまでも、直進する。





――日は西に傾き、空はオレンジに染まり始める。


「…ハルカちゃん、今度は道、あってる?」


「うん…。さっきはごめんなさい…」


前を行くハルカちゃんは、頭をうなだれてとぼとぼ歩く。



イノシシは、目的地とはだいぶ見当違いの方向に進んでいたらしい。
背中から降りたあとも、すでにけっこう歩いている。


「大丈夫だよ、全然気にしてない。だから元気だして、ハルカちゃん。」


朝から一緒にいて、わかった。


霊体にも関わらず生き生きとしていて元気なところが、この子の魅力なのだ。


「ほら、明るくいこう?そのほうが楽しいよ。」


「…うんっ。ありがと、琉にい」


ハルカの顔に、明るさが戻ってくるのを見て取り、琉也は安心する。


「さ、元気になったところで、ひとつ確認しようか。おうちまで、あとどのくらい?」



「あ、それなら今着いたよ。ほらっ」


ハルカちゃんが、立ち止まる。


「……!」



その光景は、不思議なものだった。


山奥の、大きく開けた場所。


中くらいの石をいくつも重ねた小さな塔や、祠(ほこら)の跡がちらほら見える。


広場の中央には苔むした小さな鳥居を設けた、社(やしろ)が建っている。人がこなくなってから、何年も経っているらしい。



そして、一番驚いた点。






ここには、霊がたくさんいた。



見た限りでも、20人以上はいる。


「ここは、一体…」


「私たちのおうちだよ。今日から琉にいも、ここの仲間♪」


ハルカはくるりと回り、広場を背にこちらを向き、両手を大きく広げた。



ウェルカムの、サイン。





「私たちユウレイの集住地、《コロニー》へようこそ☆」


TO BE CONTINUED