魔法77:ティュールからのレポート_10 | 小説

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現代的な魔法世界の話…。SFもどきです。

1)

その頃、レオンは…。

 「 ここは?」

枯れ木の林立する荒野に、一人立ち竦んでいた。
その中に、遺跡のような神殿と、別館が在所なく、佇んでいる。
トナリティにある魔法学院で、警邏をしている途中、
突如、ガイアライセンが語りかけてきたのだった。
なにやら、危難が迫ってるということで、
彼女の導きで、今、エオリア大森林域だったところに、
瞬間移動をして、辿り着いたところであるが、

 「 ここは、深い森の中だったはずだ?どうなってんだ?」

 「 強い闇の魔力を、一帯に感じるよ?」

背中の〖あすてる〗が、レオンに助言を与え、
発信源として、別館のほうからだと告げた。

 「 よし。行ってみよう。」

さて、程なく別館の入り口に辿り着いたレオンが、
最初に遭遇したのが、疲労困憊の体のヒルダだった、
次いで、傷ついた麗奈を背負った、バルトロメオ帝が、
入り口から駆け出してくる。

 「 あなた達は?」

レオンが、素性を確かめる間も無く、
雷光がレオンとヒルダたちの狭間に落ち、
白い体毛と、赤い耳の雷製の猟犬が、姿を現した。

 「 え?!二頭いたの?!」

ヒルダは、後ずさり、レオンは、臨戦態勢を整える。
別館の中は、強力な結界が張られているようだ。

 「 詳細は後で!貴方たちは、結界に戻って!」

レオンは、三人に結界まで引き返すよう促すと、
妖犬の形をした発光体に向き直る。

 「 貴様の相手は、こっちだ!犬っころ!」

がおおおおおおん!!!!!!!
発光体が、枯れ木の森に響き渡る獣の声で吠えると、
それが合図だったかのように、様々な天変地異が発生し、
レオンを冥府へと導いていこうとする。

 「 な、大地が揺れ…。ガイア!」

揺れる大地に、ガイアライセンを突き立てると、

 「 わかった…。」

という声がして、大剣が輝き、揺れが収まってくる。
間髪を入れず、天を貫くマグマの壁が、
劈地剣を間に、レオンに挑みかかってくる。
レオンは、とっさに、ガイアに命じ、
今しがた吸収した魔力を、開放させ、
大地と大地の合成術式〖 鋼魔 〗を防御壁として、これを凌いだ。

 「 さっきのが大地の基本術式、エルデ、
今のが、大地と火の合成術ヴァルカンだな。」

 「 そうだ。恐らくは、取り入れた大地と風の魔素と、自身の雷の魔素を合成させ、
地脈支配を行っているのだろう。」

淡々とガイアが、レオンの問いかけに応じてる間に、
ぽつん、ぽつんと雨だれが、レオンにかかってくる。

 「 これは…。」

 「 水の最高術式。ウトナだな…。」

 「 おいおい…。大陸まるごと水没させる気か?この、わん公。」

 「 こっちもいくぜ?相棒!」

 「 わかった!ガイア!」

あすてるの魔力、〖 星火 〗を、火と雷に魔素分解し、
ガイアの大地の魔力と合成させ、敵と同じステージに立った。

 「 術が浅いうちに、氷結させる!」

 「 了解!ますたぁ♪」

「 ガイア・グラッチャー・ライセン!」

ガイアライセンが掛け声とともに、
一国を氷結させる氷の大剣へと変化していき、
アウラン・ハウンドの魔力を押さえ込んでいく。
雨粒は、吹雪となり、枯れ木の景色とあいまり、
夏場なのに、その一角だけ、冬の様相を呈してくる。
水の魔素を、マイナス方向に作用させる
陰性のウンディーネ系魔法は、
そのまま、レオンを守る結界となった。

 「 あすてる!エクソスだ!」

 「 おけ!ますたぁ♪」

レオンの掛け声と同時に、
あすてるは、対アンデッド用の魔法を、
身にまとい、彼の背中から飛び出した。
次なる攻撃のために、魔力を合成させている、
アラウン・ハウンドへと、特攻していく。
雷と火の合成術。レオニスの起動により、
レオンたちに隕石の豪雨が、降り注ぐ中、
ホーミング・ミサイルのように、
威力を損なうことなく、
残らず、隕石を破砕してゆき、

そして…、

ぎゃぅぅぅん!!!!
砕辰剣アステルブレーカーが、
妖犬の形の発光体を貫き通した。
あすてるに、その莫大な魔力を喰らわれ尽くされ、
アラウン・ハウンドは、輝きを徐々に落としながら、
大気中に、何もなかったかのように、完全に消滅させる。
レオンの背中の鞘に、
あすてるが、鍔鳴りを響かせ、収まると、
用がすんだかのように、あすてるは、消えていった。

 「 全く、ただのわんころが、なんつー強さだよ。」

レオンは、愚痴をこぼしながら、ガイアライセンを抜くと、
ヒルダたちの下へ、駆け出していった。

【 つづく 】

*次回更新は、10月30日。18:00~20:00の間の予定です。