こんにちは、リブラです。

今回はジル・ボルト・テイラー博士の「ホールブレイン」の第11章の解説です。

 

第11章「社会との断絶と復帰」

 

*依存に立ち向かう「4つのキャラ」

 

脳はもともと中毒になりやすく、現実から切り離されればそれだけ、脳細胞同士の結びつきが弱まり、思考や感情が硬直化してしまいます。

 

依存症の回路が走っているとき、わたしたちは、無意識のうちにその回路に動かされています。

 

わたしたちは、尊い生命体としての自分自身<キャラ3、4>よりも、外面的な富や名声に価値を置く世界<キャラ1,2>に住んでいるため、多くの人が自分の人生に意味を見出せず、アルコールや薬物などの依存に逃避します。

 

その一方で、わたしたちの脳には神経の可塑性(脳が外界からの刺激や活動に応じて、自らの構造や機能を変化させる性質)が存在し、たゆまずリハビリを続ければちゃんと回復するというのも事実です。

 

「脳の作戦会議」や「英雄の旅」や「釈迦の悟りの旅」などは、言葉こそ違え、脳レベルでの意識の変化を説明するものです。

 

テイラー博士はかつて、アルコールと薬物依存の人と恋愛関係になっていたことがありました。

 

テイラー博士は、自分との健全な関係を築くのか、薬物濫用を続けるかの二者択一を相手に迫る賭けに出ましたがその賭けに負け、アラノン(アルコール依存症の人の家族を助ける会)に出席することになりました。

 

その会合でテイラー博士は、自分にとって1番大切なのは人との関係なのに、パートナーにとっての1番はアルコールとの関係であることを学びました。

 

その衝撃的な事実でテイラー博士は、彼との関係を断ち、自分の心の健康を第1に考える勇気をもらいました。

 

また、テイラー博士自身は、20~30代にかけての10年間、メンソールタバコの依存がありました。

 

彼女の母親が「タバコをやめるなら、一生1日につき10ドルあげる」という提案をして、当時金欠の大学院生だったテイラー博士は、きっぱりタバコを断つことができたそうです。

 

このときは彼女の<キャラ1>が母の賄賂に飛びつき、<キャラ2>が依存症セラピーを受けに行ったのが功を奏して、3か月後には禁煙に満足し、母のお小遣いのノルマも解除したのでした。

 

でも、喫煙依存の記憶はテイラー博士の脳に深く刻み込まれました。

やめて30年経過しても、まだタバコを吸う夢を見るそうです。

 

テイラー博士は、依存症が脳にとって強力で壊滅的な状態であるといいます。

 

脳が依存症の回路に操られると、意識的に自分がどのようになりたいかを選ぶ生き方とは真逆な状態になるからです。

 

依存的に薬物やアルコールを摂取する行為は、「わたしは脳細胞なんか大切じゃない」「脳細胞が機能しなくてもかまわない」というメッセージを送っていることになると、テイラー博士は言っています。

 

依存や中毒になり続ける原因となる脳の部分は、左右の感情中枢(大脳辺縁系)の細胞です。

 

「今この瞬間」を選ぶ力<キャラ3>と、過去の痛みや罪悪感や羞恥心を背負う<キャラ2>が依存や中毒と関わるからです。

 

それ故、依存症のリハビリプログラムを成功させるには、「感じる脳」の<キャラ2、キャラ3>の両方の参加が必須です。

 

<キャラ1>は、わたしたちの信念や行動を変えることを助けてくれますが、それだけではリハビリを達成できません。

 

<キャラ1>がどん底を味わって、<キャラ2>が感情的に降参することで、すべてを見渡す癒しの<キャラ4>の声を聞く耳を持つようになるのです。

 

「脳の作戦会議」や「英雄の旅」や「釈迦の悟りの旅」も、最終的なゴールは、<キャラ4>のホールブレイン(全脳)の宇宙意識です。

 

「ホールブレイン」より引用ー

 

わたしたちは自分の意思や決定で動いているように感じていますが、その意思や決定は脳内麻薬と呼ばれる神経伝達物質の影響によるものがほとんどです。

 

イラっとしたり、不安になってドキドキするのは、ノルアドレナリンが分泌するからであり、くつろいでほっとすると眠気を催すのはセロトニンが分泌されるからであり、欲しいものに手が届きそうなワクワク感やモチベーションはドーパミンが分泌されるからであり、瀕死の状態で天国を垣間見たり、ランナーズハイを体験するのはβエンドルフィンが分泌されるからです。

 

元々、わたしたちの脳は、神経伝達物質に操られるシステムになっています。

 

では、その神経伝達物質を分泌する指示を出しているの何なのか、といえば、それが思考回路(観念)です。

 

外側の世界の事象に対しどう対処するかを経験的に学習した結果、それが思考回路(観念)として組み込まれ、用途に合わせて自動的に作動するのです。

 

その思考回路(観念)がネガティブな思考を量産するものであれば、当然、ネガティブな感情を引き起こす神経伝達物質を自動的に分泌させます。

 

するとネガティブな感情にまみれて、ますますネガティブな思考を量産するのでネガティブスパイラルに陥るしくみになっているのです。

 

そして、この観念システムはどの脳キャラの担当かといえば、それは左脳の<考えるキャラ1>と<感じるキャラ2>です。

 

左脳は大いなる存在(宇宙意識)から分離して、物質世界の現実と戦いながら個である自分を追求するための細胞群です。

 

<キャラ1>は、限られた時間と物質に知恵を絞って生き残る使命を担い、<キャラ2>は、外界の刺激で危険を察知して感情で知らせる役割を担っています。

 

<キャラ1>と<キャラ2>にとって現実を生きることは、いつも警戒心バリバリの戦いです。

 

ですから、構築される観念システムもネガティブな思考を量産するものが多いのです。

 

ここで大切なことは、望まない思考を生む観念は望む思考を生む観念に変えることができるという事実です。

 

ただし、観念システムは、<キャラ2>の悲鳴に対処すべく<キャラ1>が構築した思考回路(観念)であることを無視してはいけません。

 

例えば、20代のテイラー博士がなぜメンソールタバコに依存するようになったのかといえば、神経解剖学者として出世するために研究論文を書くプレッシャーに<キャラ2>が悲鳴を上げたからです。

 

でも、30代のテイラー博士は論文書きにもう慣れてしまい、<キャラ2>にメンソールタバコでご機嫌とる必要が薄れてきていたのでしょう。

 

だから、思考回路(観念)を変えるには、「きっかけ」「タバコをやめたいという欲求」「タバコから解放され自由になったセルフイメージ」「その結果得られる報酬」を明らかにするだけで十分だったのです。

 

きっかけは母親が「タバコをやめたら10ドルくれる」という提案で、欲求は「タバコ依存をやめたい」時期で、それが成就するときのイメージにはテイラー博士が望む「自由になった自分」が描けて、報酬は「毎日10ドルを得られる」という、習慣を変えるときの必須条件がすべてそろっていたのです。

 

これは<キャラ2>が「タバコは要らない」という気持ちになっていたからこそ、依存セラピーを受ける決意をし、合理的な<キャラ1>は報酬に釣られて実行したのでしょう。

 

依存は<キャラ2>=インナーチャイルドの欠乏感をなだめる行為なのだと理解すれば、むやみやたらにやめさせたり、無理な観念を押し付けて習慣を変えることは不可能だと気づくと思います。

 

月のあるハウスは欠乏感を抱きすい分野です。

その欠乏感を埋めようとして月は依存的な影響を及ぼします。

 

1ハウスに月がある場合

 

自分の自由な時間や自分のことをするエネルギーが枯渇すると、独り引きこもって娯楽に没頭したい気分に駆られます。

 

2ハウスに月がある場合

 

自分の思い通りの現実が得られないと、物欲で満たしたい気分に駆られます。

 

3ハウスに月がある場合

 

思ったことが自由に表現できない環境にいると、SNSでずっとコミュニケーションしたい気分に駆られます。

 

4ハウスに月がある場合

 

日常生活や心身の健康に不安を感じると、住環境や心身の健康管理を完全にしたい気分に駆られます。

 

5ハウス月がある場合

 

趣味や遊びの欠乏を感じると、スケジュールを遊びのイベントで埋め尽くしたい気分に駆られます。

 

6ハウスに月がある場合

 

自分に無価値感を抱くと、犠牲的に奉仕して埋め合わせをしたい気分に駆られます

 

7ハウスに月がある場合

 

パートナーシップで孤独を感じると、共依存的な人間関係を求める気分に駆られます

 

8ハウスに月がある場合

 

信頼に亀裂が入ると、交流を思い通りにコントロールしたい気分に駆られます

 

9ハウスに月がある場合

 

探求していることに不安を抱くと、際限なく未知の情報をインプットしたい気分に駆られます

 

10ハウスに月がある場合

 

ライフワークが定まらない不安を、仕事の忙しさで埋めようとする気分に駆られます

 

11ハウスに月がある場合

 

所属するグループシップに不安を抱くと、グループシップの活動に奔走することで不安を解消したい気分に駆られます

 

12ハウスに月がある場合

 

掴みどころのない潜在意識の不安を感じると、瞑想や妄想に耽溺して現実逃避したい気分に駆られます。

 

次回もジル・ボルト・テイラー著「ホール・ブレイン」の解説を予定しています。

 

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

 

詳しくはこちらをご覧ください。

 

新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。