こんにちは、リブラです。

今回で、ジェームズ・ドゥティ著「スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック」の解説では最終回です。

 

第13章「みんなの旅が始まった」のあらすじ

 

ジム(ジェームズ・ドゥティ)は、メディカルスクールの「白衣授与式」のスピーチを依頼され、スピーチの内容を考えながらこれまでの人生を振り返りました。

 

貧しく夢も希望も閉ざされた少年時代に「ルースのマジック」を習い、「みんなの時間の無駄」だと面接官に言われながらメディカルスクール受験をしたダメ学生の自分が、いまや、医師を目指す新入生たちのお手本として講演する役回りに、ジム自身もこの30年間の変わり様に驚いていました。

 

「ルースのマジック」で身体を緩め、心を落ち着け、心を開き、欲しいものを思い浮かべることを学んだ。

 

心のコンパスで行くべき道を先導してもらい、どこに着いたとしてもそこが自分のいるべき場所だと信じることを学んだ。

 

人はみな基本的に同じ脳と心臓を持ち、それらを変える力も全く新しいものにする力も、すべての人のためにそれを使う力ものあるのを学んだ。

 

生まれた場所や、職業や、持っているもので人を判断しないことを学んだ。

 

そうしたもので自分を判断しないことを学んだ。

 

置かれた状況が悪いのは自分のせいと思ったり、お金に困るのは自分に価値がないからと思い込んでいた。

 

けれども、いまのジムは、生まれた環境は自分のせいではなく、環境に自分を決めさせてはいけないことに気づき、すべての人が大切で、価値があり、尊厳と敬意ある扱いに値し、すべての人が挑戦したり、やり直したりする機会を与えられるべきだと考えるに至りました。

 

「今日、みなさんは誓いを立て、行く道を決めました。

この道は人生で最も深く暗く谷へとみなさんを連れて行くでしょう。

 

ですが、その道はまた、みなさんを人生の高みへと連れて行き、そこでみなさんは、臆病者がありえないような力を発揮し、説明のつかない治療をもたらし、共感と思いやりが人の病を治すことを知るでしょう。

 

その経験を通して、みなさんは神の顔を見ることになるのです」とジムは「白衣授与式」のスピーチを締めくくり、舞台を降りました。

 

脳と心が力を合わせるとき、誰もが驚くようなマジックが起き、それはイリュージョンでも手品でもない。

それは本物だ。

 

自分の頭の中と心の中をじっくりと覗いてみるだけでいい。

 

ルースは僕に最高のマジックを教えてくれた。

それは僕があなたに教えられる最高のマジックだ」

 

「スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック」より引用。

 

わたしたちの脳は、その働きによって大きく3つの脳に分けられます。

 

爬虫類脳と呼ばれる脳幹(反射脳)

生命維持に欠かせない、呼吸や血液循環をコントロールします。

(心臓の拍動や体温調節など)自律神経を制御する司令塔です。

 

哺乳類脳と呼ばれる大脳辺縁系(情動脳)

食欲・性欲・睡眠欲・意欲などの本能、喜怒哀楽などの情緒、記憶、快・不快(好き・嫌い)などを司ります。

 

人間脳と呼ばれる大脳新皮質(理性脳)

思考・言語・記憶・知覚など人間特有の能力を司ります。

 

わたしたちが子どもの頃から学校で受ける教育は、大脳新皮質(理性脳)に特化しています。

 

社会でも能力評価の指標は、どれだけ大脳新皮質(理性脳)が発揮されるかにかかっています。

 

この社会では大脳新皮質(理性脳)の働きが優れていれば、恵まれたステータスが約束されています。

 

大脳新皮質(理性脳)の優劣で未来のステータスが決まるならばと、そこに競争が生まれ、みんな大脳新皮質(理性脳)を鍛えることばかりに躍起になります。

 

しかし、わたしたちは大脳新皮質(理性脳)だけで生きているわけではありません。

 

わたしたちが意欲や幸せを感じるのは、大脳辺縁系(情動脳)のおかげです。

心の健やかさの鍵を握っているのもこの大脳辺縁系(情動脳)です。

生命維持の鍵を握っているのは、脳幹(反射脳)です。

 

3つの脳の働きはすべてかけがえのないものです。

 

大脳新皮質(理性脳)大脳辺縁系(情動脳)を抑えつけ過ぎれば、意欲が低下したり、逆に暴走したりします。

 

大脳辺縁系(情動脳)の働きが不安定な状態になると、その下の脳幹(反射脳)の働きも不調をきたし、身体全体のコンディションが悪くなります。

 

現代社会は大脳新皮質(理性脳)をあらゆることに使えと要求するので、わたしたちは常に大脳新皮質(理性脳)で判断・選択・決定し、大脳辺縁系(情動脳)の思いを聞く余地を与えません。

 

その結果、心や身体の思いは置き去りにされ、大脳新皮質(理性脳)大脳辺縁系(情動脳)脳幹(反射脳)が不協和音を奏でるようになってしまうのです。

 

ルースがジムに教えた「人生の扉を開くマジック」のファーストステップは、まず、目を閉じて、身体緩め、呼吸に集中します。

 

この呼吸に集中する動作は脳幹(反射脳)に意識を向けさせます。

 

大脳新皮質(理性脳)大脳辺縁系(情動脳)もお休みさせて、脳幹(反射脳)に指揮権を与えている状態になります。

 

脳幹(反射脳)は自律神経を制御する司令塔ですから、身体にとって最も健やかなリズムを知っています。

 

脳幹(反射脳)が指揮して呼吸を整えると、身体は安心してリラックス状態になります。

 

身体がリラックス状態になると、大脳新皮質(理性脳)大脳辺縁系(情動脳)も安らかになってきます。

 

セカンドステップは、大脳辺縁系(情動脳)の思いに意識を向ける番です。

 

大脳新皮質(理性脳)リラックス状態ならば、大脳辺縁系(情動脳)の思い描くイメージをニュートラルに淡々と見守ることができます。

 

大脳辺縁系(情動脳)の思いは、風船みたいです。

ため込んだり、抑えつけたりすると爆発する危険をはらんでいます。

 

けれども、大脳辺縁系(情動脳)の思いをちゃんと大脳新皮質(理性脳)が受け止めてくれたならば、風船のガス抜きが可能です。

 

心や身体が感じた思いを大脳新皮質(理性脳)伝えるのが大脳辺縁系(情動脳)の役目でもあるから、思いを伝えてしまえばお役御免になって風船の内圧は下がるのです。

 

サードステップは、大脳新皮質(理性脳)大脳辺縁系(情動脳)脳幹(反射脳)を三位一体にする時間です。

 

脳幹(反射脳)の健やかなリズムを取り戻して、心身の安らぎのもとで大脳辺縁系(情動脳)の思いを受け止めた総指揮官の大脳新皮質(理性脳)が3つの脳の働きをひとつにした目的(ヴィジョン)に向かわせるのです。

 

3つの脳が幸せを感じるような目的(ヴィジョン)をひとつにして、そのイメージを描くのです。

そのイメージが3つの脳の共通目的になり、三位一体で共同創造に向かう原動力を引き出します。

 

このようにジムがルースから習ったマジックは、誰もが習得可能な脳と心と身体を健やかにつなげる技です。

 

脳と心が力を合わせるとき、誰もが驚くようなマジックが起きるのは、この本に書かれているようにジムが実証済みです。

 

ただし、この「人生の扉を開く最強のマジック」を習慣化することは、ジム自身、長い年月がかかっています。

 

マインドフルネスが難しいのではなく、それをいつでもどこでも毎日続けるという習慣化が難しいのです。

 

「人生の扉を開く最強のマジック」の習慣化を難しくしてしまうのは、ジム自身もドットコムバブル崩壊後になってやっと気づいた「心を開くこと」大脳辺縁系(情動脳)を蔑ろにして大脳新皮質(理性脳)を偏重する姿勢です。

 

思考優位になると、感じることをいい加減にする癖が現れます。

 

その脳の仕組みを如実に説明した本がジル・ボルト・テイラー著「ホール・ブレイン」です。

 

テイラー博士は神経解剖学者であり、脳出血で左脳の機能を全部失ったのにも関わらず、8年間のリハビリで完全復活し、その講演をTEDで発信し、一躍有名になった女性です。

 

ジル・ボルト・テイラーのパワフルな洞察の発作 (youtube.com)

 

テイラー博士は、「左脳の思考するキャラ」「左脳の感じるキャラ」「右脳の思考するキャラ」「右脳の感じるキャラ」の4つのキャラがあることを突き止め、その傾向と対策を「ホール・ブレイン」で記しています。

 

左脳の機能を失い、言語も失い、身動きひとつできなくなった彼女を復活させたのは、「右脳の思考するキャラ」だといいます。

 

「右脳の思考するキャラ」は、すべてとつながり、無限の可能性を秘めているといいます。

 

わたしたちがもし「右脳の思考するキャラ」の力を自在に使えたら、すべての問題が解消され、世界中の人々が心でつながるようになるでしょう。

 

でも、「右脳の思考するキャラ」が使えないのは、わたしたちが「左脳の思考するキャラ」の意向を偏重するからです。

 

4つのキャラを理解し、自身の脳キャラの扱いを知ることで生きづらさを解消し、「右脳の思考するキャラ」とつながることが可能だとこの本には書かれています。

 

4つのキャラに「脳の作戦会議」をさせるときのファーストステップも、やはり呼吸に集中することから始まります。

 

次回からは、この「ホール・ブレイン」の解説とジェームズ・クリアー著「複利で伸びる1つの習慣」を交互に解説していこうと思います。

 

脳キャラの理解が進んだら、それに適した習慣を作ることが1番の近道だと感じるからです。

 

ジェームズ・クリアーも絶望的な身体の状態がら再起を図り、自身のキャラに合った習慣づけをして、望む現実を創り出した人です。

 

小児麻痺で動けなくなったエリクソンが健常者と同じくらい自由に歩き回れるようになったプロセスを、彷彿させるような復活でした。

 

習慣は、大脳新皮質(理性脳)大脳辺縁系(情動脳)脳幹(反射脳)を1つの目的に向かわせるためにも、4つの脳キャラを協調関係に導くためにも効果があると思ったので、この2冊の本を同時進行で解説していこうと思います。

 

それ故、「エリクソンの心理療法<レジリエンス>を育てる」の解説はしばらくお休みしようと思います。

 

次回はジル・ボルト・テイラー著「ホール・ブレイン」の解説を予定しています。

 

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新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。