こんにちは、リブラです。
今回は、ジェームズ・ドゥティ著「スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック」の解説です。
第12章「『適者生存者』のほんとうの意味」のあらすじ
ジム(ジェームズ・ドゥティ)は、ジューンの脳動脈瘤手術以降、共感について自然科学に当てはめて考えることに力を注ぎました。
共感は本能であり、人の脳にはお互い助けたいという願望が詰め込まれています。
人間の脳の一部に、中脳水道周囲灰白質と呼ばれる領域があり、中脳水道周囲灰白質と眼窩前頭皮質との結合が人のふるまいに大きな役割を果たしているのです。
痛みや苦しみを抱えた人を見ると、脳のこの領域が活発になります。
人間は、人助けを必要とする人を助け励ますようにできているのです。
また、他者に何か分け与えると、脳の快楽と報酬系が刺激され、何かをもらったときよりも大きな快楽を感じます。
誰かが親切にふるまったり、他人を助けているのを見ると、自分も思いやりのある行動を取るようになります。
ダーウィンの適者生存を、情け容赦ない弱肉強食の意味に誤解する人は多いが、適者生存とは長期的な種の保存のために1番親切で1番協調性のある者が生き残るということだ、とジムは思いました。
脳と心臓が協調すると、人はより幸福で、より健康になり、他人に対して自然に愛と親切と気配りを表現するようになるのをジムは「ルースの教え」に助けられ、直感的に知っていましたが科学的裏付けは定かでなったのです。
それが共感と利他主義を研究し始めた彼の動機でした。
ジムは非公式に「共感プロジェクト」という研究会を発足し、神経科学や心理学の研究者たちと調査を始めました。
あるミーティングでダライ・ラマの名前が挙がり、ジムの母校であるスタンフォード大学でダライ・ラマが2005年に「依存症と欲求と苦しみについて」講演したことを耳にしました。
ジムの脳裏にダライ・ラマが再びスタンフォードに訪れるヴィジョンが浮かび、離れなくなりました。
友だちのツテでダライ・ラマの通訳者でもある元僧侶のトゥプテン・ジンパ博士を紹介してもらい、ダライ・ラマがシアトルに来る際、会う段取りをつけてもらいました。
ダライ・ラマにホテルで面会すると、そこには彼が発散する絶対的で無条件の愛があり、長く息を止めた後に胸いっぱいに息を吸い込んだような気持ちにジムはなりました。
自分以外の誰になる必要もなく、すべてを受け入れてもらえる空気の中で、ジムは共感への興味とそれに関する予備的な研究については話し、ダライ・ラマにスタンフォードでの講演のお願いをしました。
すると、ダライ・ラマは講演を快諾しただけではなく、「あなたの志にいたく感心したので、その研究に献金したい」と寄付を申し出てくれました。
また、ダライ・ラマとの会見に同席していた人やその会見の感想を電話で伝えた友人も心を動かされて寄付をしてくれたので、信じられないほどの金額が集まりました。
非公式に始まったプロジェクトは、いまやメディカルスクールの学長によって公式なものになり、「共感と利他主義研究教育センター(CCARE)」として発足しました。
「スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック」より引用。
わたしたち人間がなぜ地球上で繁栄できたかといえば、それは人とつながり社会を築いてきたからです。
いきなり山の中や無人島にたったひとりで取り残されたら、ヒトほど弱い生き物はいないでしょう。
だからこそ、わたしたちには生まれつき他者の心につながり共感する機能のがついているのだと思います。
その一方で、わたしたちは「個」として自分の立場や利益を守ろうする自己保存本能も備わっています。
社会に守られて生きるわたしたちですが、社会に合わせて「個」の自覚がなくなると生き物としての命はあっても、「個」としての存在意義が失われてしまいます。
「わたしが居ても居なくてもこの社会は何も変わらず、わたしは何のために生きているのだろう?」という心境になります。
アイデンティティクライシス(自己同一性の喪失)が起こり、虚しくなります。
それをわたしたちは根底では恐れているので、共感する機能が生まれつき備わっているにもかかわらず、共感を難しくしてしまいます。
そして、他者と自分を比較して、優越感に浸ったり、劣等感で落ち込んだりして、なんとかアイデンティティを探ろうと努力を続けるのです。
でも、それでは心は閉ざされたままです。
物質界世界で、孤島やジャングルに1人で生きるのが難しいように、わたしたちの心の世界も閉ざしてつながりをなくすと、エーテル体のエネルギーが循環しなくなり、ライフライン断たれたような意識状態になり、気力を失います。
そこで大切なのは、自由意思と自発性です。
今回のジムの行動も、最初は非公式の「共感プロジェクト」の発足でした。
もし、ジムが自身の頭の中だけで共感の科学的な根拠を追求していたら、納得する答えを見つけることは難しかったでしょう。
神経科学や心理学の研究者と共に脳と共感に関するミーティングを重ねる中で、ジンパ博士とつながりダライ・ラマと出会い、スタンフォード大学の公式の研究会に発展し、より広域で多くの人々が関わる研究に至ったのです。
ジンパ博士はスタンフォード大学の利他主義研究で「8週間のメンタルプログラム」を編み出し、「コンパッション(慈しみ・思いやり)」という慈悲の実践の本を出しています。
このようにはじめは小さな第1歩でも、自分の自由意思で自発的に始める活動というのは、人のつながりながらも「自分で在る」宣言をすることになります。
「自分は何であるか?」をひとりで考えていてもわかりませんが、自分の自由意思を持ち、自発的に行動することで多様な自身の在り方や可能性が引き出されていくのです。
わたしたちの左脳もしくは顕在意識は、成果やメリットが見込めないと活動する気になりませんが、わたしたちの右脳もしくは潜在意識は、どうなるかわからない未知のものに抗しがたい魅力を感じて、人の関わりを増やしながら全体性のエネルギーを巻き込み、みんなでひとつの夢を追う大きな流れをつくります。
そんなひとりひとりの右脳(もしくは潜在意識)の思いがひとつになって集合意識が働き、神羅万象・万物を動かすパワーがわたしたち人間の本来の能力なんだと思います。
共感しても利他主義でいても個としての存在意義を失わず、自分や他者の自由意思と自発性を尊重して活動することで、かえって自身のオリジナリティが発揮され、「わたしで在る」ことの多様性や可能性が開くのです。
わたしたちの脳には、「与えること」で報酬系が刺激され喜びを感じるシステムがあるのですから、「与えること」で減るとか犠牲になるとかの思い込みは手離しましょう。
「与える」ときは素直に喜びを受けとりましょう。
「与える」喜びを感じることで、潜在意識が構築するセルフイメージが豊かに充実している感覚を得られます。
豊かに充実したセルフイメージが備わると、それに相応しい豊かで充実した人生ラインを召喚します。
次回も「人生の扉を開くマジック」の解説を予定しています。
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