こんにちは、リブラです。今回は、ナポレオン・ヒルの「悪魔を出し抜け!」第10章の解説です。

 

ヒル「7つの原則

1.目標を明確にすること。

2.自制心をもつこと。

3.逆境から学ぶこと。

4.環境から受ける影響をコントロールすること(交友関係)。

5.時間(肯定的思考習慣を確立し、知恵をつけること)。

6.調和(自らの精神的、霊的、物理的環境を支配すること)。

7.警戒(実行する前に計画を見直すこと)。

 

のうち、最も重要なのが自制心であることは、これまでの話でわかりました。

残りの5つの原則が、自制心を鍛えるのにどう役立つかを教えてください」

 

悪魔「その前に、ここまでの告白のまとめをしようではないか。

まず、わたしが人間を支配する最も効果的な道具が「流される」習慣とヒプノティック・リズム(集合意識に巻き込む集団催眠)であることを認めた。

 

次に、「流される」習慣は人間が自ら作るものであり、それによって人間がヒプノティック・リズムの法則に屈服することも説明した。

 

7つの法則というのは、人間がヒプノティック・リズムから自由になり、自分を再び自分のものにするための方法だ。

 

7つの法則とは、人間が自ら作り上げたその牢獄から自由になるための7つのステップということになる。

 

ヒル「つまり、7つの法則というのは、霊的にも精神的にも経済的にも、自分のことは自分で決める、

自分の人生を自分で開いていくためのマスターキーだというわけですね?」

 

悪魔「そうだ。そういう言い方もできる」

 

ー「悪魔を出し抜け!」第10章よりー

 

悪魔の告白のまとめでこの10章は終わり、次の11章から「7つの原則」の「3.逆境から学ぶこと」についての話が続きます。

 

早く次に前に進もうとするヒルを制して、なぜ、ここで悪魔はまとめに入ったのか?

それは、ここまでの話に重要なポイントが集約されているからであり、後の章はここまで出てきたことをより理解し、うまく使いこなすための解説になるからです。

 

「7つの原則」の中でも「自制心」が最も大切という話は、ヒプノティック・リズムが何でどんな効果があるのかをちゃんと理解するまでは、わたしもピンときませんでした。

 

でも、この本で何度もヒプノティック・リズムについてくり返し読むうちに、わたしたちの意識の95%を占める潜在意識を、個人の意思ではなく、集合意識の勢いに乗じて動かしてしまうことはどんなに強力なエネルギーを扱うもので、それは自然界の力を利用するものだと知りました。

 

現代ではサブリミナル効果で勝手に潜在意識に向けた映像を流すのを禁止するほど、潜在意識の力がわたしたちの行動に大きな影響を及ぼすことが知られています。

 

わたしたちが自覚できる顕在意識よりも、自覚できない潜在意識が動きだすと、もう、意志の力では抗えません。

この事実はわたしたちに大きな無力感を味合わせます。

 

「自分の心もコントロールできない」→「自分のものなのに自分の思い通りにならない」→「何一つ自分の自由にならない」という無力感に、潜在意識の力が意に反する方に向かう度に襲われるのです。

 

その無力感を味合わないようにするため、エゴは自身の「自覚している意識(顕在意識)だけで生きている」という幻想を信じるように仕向けます。

潜在意識なんてないものとして95%を占める無意識を無視してしまうのです。

 

これによって何が起こるでしょうか?

 

この世のトリックは非常にうまくできていて、「信じたもの・意識のフォーカスを向けたものが現象化する」というしくみがあります。

 

「自身の自覚している意識(顕在意識)だけで生きている」という幻想も、本人がそう信じていれば、現象化します。

そういうフィルターを通してこの世界を見つめると、ほんとうに世界はその側面を表します。

 

「自身の自覚している意識(顕在意識)だけで生きている」という幻想の現象化により、ますます「潜在意識の力を信じてはいけない」という観念が強化されてしまうのです。

 

すると、無視された潜在意識は、主人(指令)を求めてさまよいます。

顕在意識は指令を与える役なので陽の力が、潜在意識は指令を受け取って働くので陰の力が備わっています。

 

意識の95%を占める潜在意識が本人の顕在意識に背を向けて、別の人間の顕在意識の指令に従おうと待機するのです。

この状態の人々がヒルの悪魔が言う「流される」人間です。

 

自分の意識の95%を占める潜在意識が他者の顕在意識の指令に従おうと待機している状態で、自らの顕在意識の思う通りに働くはずはないですよね。

 

それどころか、悪魔が誘導するヒプノティック・リズムの渦巻きの中に無意識レベルでどんどん巻き込まれていきます。

だから、思い通り行かないことだらけの現象化を招くのです。

 

その対策として、ヒルの悪魔が提示したのが「7つの原則」です。

それはすべて自身の顕在意識の指令を自身の潜在意識が受け取って働く、自然な「与える⇔受け取る」のエネルギー循環に戻すためのステップです。

 

顕在意識が無視したがために家出した潜在意識を、再び我が家に迎え入れるプロセスなのです。

ただし、この「7つの原則」を読んでも、ちっともあなたの潜在意識は魅力を覚えないのではないでしょうか?

 

ここが問題点です。「7つの原則」に並んだ言葉だけでは、イメージや感情で動く潜在意識は反応しないのです。

ヒルの悪魔が提唱する「7つの原則」は、サミュエル・スマイルズ著「自助(セルフヘルプ)論」が推奨していることと酷似しています。

 

スマイルズは「天は自ら助くる者を助く」という格言を残した1859年生まれの医師であり著述家です。

ヒルは1883年生まれなので、当然スマイルズの啓蒙書は読んでいるはずです。

 

直に「自助論」を読んでその言葉に感化されれば、「自分を助けるために努力しよう」とその目標のために潜在意識は働きます。

「何をおいても自分の夢を、自分の使命を、自分の人生を愛する」という気持ちに火をつけますから。

 

でも、自助の精神に目覚めるどころか、自分のことを愛せない(文句をつけたいところがいっぱいある)状態では、潜在意識は反応しません。

 

従いたくなるようなイメージや感情が動機とならないと、働く気にならない意識なのです、潜在意識は。

そして、自分ではなく、他者を愛することや他者から愛されることにフォーカスが向かってしまいます。

 

ですから、「7つの原則」を眺めてもちっとも魅力を覚えない場合は、無理に1~7を実行するのではなく、まず、「わたしには無限の可能性がある」と自分の心に向かって言います。

 

次に「その無限の可能性への扉の鍵は、わたしの潜在意識が握っている」と言います。

そして「その無限の可能性への扉の鍵は、わたしが自分の人生の幸せに責任をもつとき開かれる」と言います。

 

さらに「わたしは自覚できる顕在意識と無意識である潜在意識と共同創造で幸せになる。どちらの意識もわたしの身体の中に一体となって宿っている!」と宣言しましょう。

 

このアファメーションを眠る前に唱える習慣にすれば、潜在意識をないものにする考えは薄れていき、在るものとしての意識が芽生えてきます。

 

潜在意識を在るものと意識できるようになれば、もう、自分の一部として認めたことになりますから、眠る前の時間にちょっとした役目を与えてみましょう。

 

「心や身体が一晩の眠りで蘇るイメージ」でもいいし、「素敵な夢の世界に出かけるイメージ」でもいいし、「目覚まし時計が鳴る5分前にスッキリ目覚めるイメージ」でもいいのです。

 

プレッシャーのかからないお願いを頼んでみましょう。

それが叶えられたときは、あなたの顕在意識と潜在意識が人生の共同創造を始め、無限の可能性の扉をの鍵を開けたということです。

 

「7つの原則」もその共同創造を支える便利なツールに思えて来ることでしょう。

 

次回はミルトン・エリクソンの心理療法<レジリデンスを育てる>の解説を予定しています。

 

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

 

詳しくはこちら をご覧ください。

 

新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。