こんにちは、リブラです。今回はミルトン・エリクソンの本を題材に、潜在意識の世界を解説してこうと思います。

 

*皮膚の状態

 

東洋系の女医が訪ねて来て言いました。「息子はハーバード大学の学生なのですが、ひどいニキビなのです。催眠療法で治していただけないでしょうか?」

 

エリクソン「いいですよ。クリスマス休暇はどうされる予定ですか?」

 

女医「いつもは医師の仕事を休んでサンバレーにスキーに出かけます」

 

エリクソン「でしたら、このクリスマス休暇は息子さんも連れていかれたらどうです?丸木小屋を借りて、そこの鏡をすべて取り去りなさい

 

女医の息子のニキビは2週間鏡を1度も見ないことで、すっかりきれいに消えました。

 

また、他の患者で両手と顔の醜いイボに悩む女性がエリクソンのところに訪れました。エリクソンは「イボはウィルスによって起こるものであり、また血圧の変動の影響をとても受けやすいものです」と説明し、足を冷たい水に浸し熱い湯に浸すことの繰り返しを日に3回するように言いました。

 

エリクソンの暗示に従い、その女性は数か月間は言われた通りにしていました。けれども、だんだんその治療をするのに嫌気がさしてきて、ついに足を水に浸すのを忘れるようになり、イボのことも忘れるようになりました。

 

イボのことをくよくよ考えなくなると、血流がイボのある両手や顔に集中しなくなり、その女性のイボはすっかりなくなりました。

 

エリクソンは患者のとらわれを変化させることによって皮膚を治療することを、パラケルススの言葉を引用して説明しています。

「人は自らがこうあると思い描けば、そのようになるものである。人が今あるその姿は、自らがそうあると思い描いたものなのである」

 

エリクソンによれば、身体の状態は心理的イメージと深い関係を持つが、とくに皮膚の上はより顕著に現れるといいます。

恥ずかしい思いをしたときに顔が赤くなるのはよくある事例です。

 

自分に十分な価値を見出している人とそうでない人では、骨格の構造にも、筋肉の状態にも、顔の表情にも大きな相違が生まれてくると言っています。

 

ー私の声はあなたとともにーより

 

皮膚の表面と心(潜在意識)は、あまりつながりがないように見えてとても深いつながりがあります。

12室(潜在意識のハウス)にやぎ座の天体を4個持っているエリクソンは、多くの患者を診た経験とパラケルスス(15世紀の医師・化学者・錬金術師)の残した言葉から、「人が今あるその姿は、自らがそうあると思い描いたもの」と確信して、患者の意識から皮膚の表面への注意を逸らし、問題を忘れさせる方法を取ったのです。

 

過去の経験や歴史の流れに残るものを尊重するやぎ座らしい、潜在意識へのアプローチだなと思いました。

ここに言葉の引用に登場したパラケルススなる人物は、医師でありながら錬金術の研究していたので鉱物や薬物にも詳しく、「毒でないものなど存在しない。その服用量こそ毒であるのか、そうでないのかを決める」「大宇宙(魂)と小宇宙(精気・身体)たる人間の照応」という考え方を持っています。

 

パラケルススのこの考え方が元になってホメオパシー療法が生まれたと言われています。

見えない大宇宙(魂)と見える小宇宙(精気・身体)の関係が、見える症状と心の在り方の関係にもつながると、医師であり錬金術師でもあるパラケルススは考えたのです。

 

ちなみにパラケルススの海王星と火星と天王星もやぎ座で、とくに海王星はエリクソンの12ハウスのキロンと火星にコンジャンクションしているので、診療のインスピレーションを与える形に働いたのだと思います。

 

実用的な医学や薬学から入って、その鉱物・毒物へと研究を進めるうちに錬金術にたどり着き、スピリチュアルな叡智による世界観に至るパラケルススの歩んだコースは、物質次元に価値を置くやぎ座が、見えない世界に信頼を置き、大いなる源にすべてを委ねる方向に海王星(直感・イマジネーション)の働きを導くために必要なプロセスだったのでしょう。

 

やぎ座が12ハウスルーラーだったり(わたしも12ハウスやぎ座です)、海王星やぎ座時代の生まれだったりする人は、見える次元から足掛かりを見つけ、そこにつながる未知の知識や情報を収集して意識拡大を計ってから、スピリチュアルな叡智を受けとる形が1番適していると思います。

 

そうでないと、12ハウスや海王星が降ろす直感やイメージやインスピレーションやアイディアを信頼できず、自分の人生に採用すべきかどうかで迷い、見逃すことになってしまいます。

 

やぎ座が12ハウスルーラーのわたしが、エリクソンのこの2例の治療の奇跡を考えるとき着目するのは、皮膚は発生学的に脳と同じく外胚葉由来であるため、皮膚の表面には神経がたくさんあるという見える事実です。

考えていることが表情に出たり、恥ずかしいとき赤面するのはそのためです。怯えて震えている人は言葉をよりも、手を握ってもらって温もり感じる方が安心して落ち着くのは、皮膚の情報が神経を通して脳に直結するからです。

 

このような見える確かな情報を未知の事柄に関連づけて足掛かりを掴み、「見えない大宇宙(魂)と見える小宇宙(精気・身体)の関係が、見える症状と心の在り方の関係にもつながる」というスピリチュアルな叡智で意識を拡大すれば、2週間鏡を見ないことでニキビが治った話やめんどうで手間のかかる治療方法で意識を足に行かせ、両手と顔のイボへの注目を逸らし、ついには忘れさせてイボを治した話を信じることができるのです。

 

やぎ座が12ハウスルーラーの人や海王星がやぎ座の人は、自身が事実と思えることと未知の情報の関連づけを怠ると、スピリチュアルな叡智も奇跡のような現象も、絵に描いた餅のように感じて自身の人生に採用する気持ちになれません。

 

やぎ座の天体を持っている人ややぎ座が関わっているハウスの分野は、自身が事実と思えることと未知の情報の関連づけがスピリチュアルな現象や奇跡を信じるための足掛かりになり、ホロスコープの情報や知識は意識を拡大するツールと捉えると、占星術が自身の人生に反映されているのを感じることができます。

 

次回は「老子が教えるタオの哲学」の解説を予定しています。

 

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

 

詳しくはこちら をご覧ください。

 

新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。