こんにちは、リブラです。今回は、ウエイン・ダイアー著「老子が教える実践道(タオ)の哲学」の解説です。

 

 

第52章「世界の母の元に帰る」

 

「およそ天の下に在るものの、始まりは一つ。その始まりこそ、世界の母。母の懐(ふところ)をよく理解した後、わたしたちは、その子どもである万物を知る旅をする。しかし、子どもたち(万物)を知り尽くすと、また母の元へもどり、その懐に抱かれる。

 

口を固く閉じ、五感を守れば、人生は常に満たされる。せっせと口を開き、忙しく言葉を吐けば、人生の希望は叶えられない。

 

小さなものに目を凝らすことを明晰と呼び、しなやかな心を持つことを強さと呼ぶ。

智恵の輝きを頼りに、また光の中へ戻れば、不幸を退けることができる。

それが永遠の光と共に輝くということ」

ー老子が教えるタオの哲学ー

 

口は、魂を守る門と考えましょう。いつ口を開き、いつ耳を傾けるか、そのタイミングを自在に決められる柔軟性と強さを身につけましょう。他者の問題に口を出したくなったら、世界の母を思い出してください。

 

永遠の母が話す唯一の言葉は沈黙です。それを手本にすれば、生きながら永遠の母と一つになって、自由と幸せを感じるはずです。

 

たかがちっぽけな微生物を覗き込んだだけなのに、そこで出会うのは、賞賛せずにはいられない創造物ばかり。あらゆるところに眩い智恵が輝いています。

 

どの生命も同じ母から生まれたあなたの同胞、その母とあなたは一つのもの。どこもかしこも、生命創造のエネルギーに満ちているでしょう。凡庸なもの、劣ったもの、不要なものなど、何一つ見つかりません。

 

今日のタオ

 

あなたの目に留まる1番小さな生き物を、じっくり観察することにしましょう。ミクロの探検家になって自分の身体に入り込み、腸の中で微生物たちとバーチャルな出会いをしましょう。

 

あなたの存在を支えるために、そうした微生物を誕生させた宇宙の母に思いを巡らしましょう。

自分の身体を、その中に棲む極微の生命の方から眺めることは、感慨深いものです。とダイアー博士は言っています。

 

わたしたち人類のミトコンドリアDNAは母系遺伝子を受け継ぐので、アフリカ生まれのたった一人の原初の母にたどり着きます。それは「ミトコンドリアイブ」と呼ばれています。

 

ミトコンドリアは、わたしたちの身体のエネルギーシステムに欠かせない重要な役割を担っています。

わたしたちが呼吸をするのも、ミトコンドリアに酸素を供給してグルコース(ブドウ糖)からATP(身体の中で使われる高エネルギーの通貨のようなもの)を生産してもらうためです。

 

ミトコンドリアなしには、わたしたちは一瞬も生きていけないのですが、このミトコンドリアは細胞を宿主として寄生の形態をとる不思議な存在なのです。だから、細胞の中にありながら、その細胞の核のDNAとは別個に独自のDNA(ミトコンドリアDNA)を持つのです。

 

最初はなかったけれど、後から取り込まれることでその生命体の中で飛躍的な活躍を遂げ、なくてはならい存在になった寄生生物のような感じです。

 

ミトコンドリアはかなり特殊ですが、わたしたちの身体には、元々身体にはなかったけれど棲みつくうちになくてはならない存在になった微生物(常在菌)が多数存在します。

 

その代表例が腸内細菌です。近年では「菌活」なんていう言葉も聞かれるくらい、腸内細菌は腸内環境を整えるのに役立つばかりではなく、免疫システムの向上にも多大な影響を及ぼしていることが明らかになってきています。

 

そのような「仲間」とともに、一つの身体をわたしたちは生きているわけです。細菌たちにとったら、わたしたちの身体が「永遠の母」みたいな存在になります。

 

今回のダイアー博士のお勧めのワークがミクロの探検家になって自分の身体に入り込み、腸の中で微生物たちとバーチャルな出会いをしましょう」なので、わたしたちの身体で共に「仲間」に近親感が湧くようなお話をします。

 

わたしが某大学病院の細菌検査室の実習生だった頃、巷で辛子レンコンのボツリヌス菌食中毒事件があり、ボツリヌス菌ではないけれど、食中毒菌の検出依頼が殺到して毎日培地作りに実習生は大忙しだったのです。

 

ちなみにボツリヌス菌は、酸素を嫌う嫌気性菌なので空気中にさらされると死んでしまいます。脱酸素状態で密封されないと生存できない特殊な菌ですが、火を通して菌自体が死滅しても生産した菌体外毒素は残り、その毒素は致死率の高い猛毒なので死亡事件になったのです。

 

毎朝、培地作成の小部屋にいくと、培地作成の注文を列挙した紙が貼ってあり、実習生はくらっとめまいを感じます。でも、それを作る役割のない人がみたら、厨房に貼られたお客様の注文票のような眺めだと思います。

 

そこにケツカン(血液寒天培地)、チョコカン(血液をチョコレート色になるまで焦がした培地)なんていう言葉が並んでいるのを見つけると、未熟な実習生は緊張感が走ります。

 

キット化された粉ブイヨン+寒天を溶かして固める普通の培地と違い、熱々のブイヨン+寒天液を冷まし、血液が鮮やかな赤を保ったまま寒天が固まらないうちに混ぜなければ、血液寒天培地は完成しないのです。チョコレート寒天培地も焦がし過ぎると失敗するので、手間暇かかるのです。

 

そんな培地を朝から1日中作り続けていると、まるで細菌のお客様の食事を用意する厨房の料理人のような気分なってきます。

「ブレインハートインフュージョン」(ブレイン=脳、ハート=心臓)なんて名前のついた牛の脳や心臓のブイヨンを入れたこだわりの培地もあるのです。実習生のわたしは、細菌の中にいはグルメなお客もいるんだなと、その培地を見て思いました。

 

そんな所に何週間も通っていると、夢の中まで出てきてしまうのです。しかも、勉強中の学生なので、菌の種類と好む培地がセットになったキャラで登場してくるのです。

 

例えば、大腸菌は文句も言わずなんでも食べてくれる修学旅行の団体客キャラ、淋菌は室温で死滅・麦芽糖入り培地に生えるので寒がり・暑がり・水飴携帯するキャラ、カビ菌は細菌よりガタイが大きく糖分多めの培地を好むので甘党大柄キャラ、腸炎ビブリオは、海水にいるくらいなので塩分へっちゃらの辛党おじいさんキャラ。緑膿菌は鞭毛で培地を泳ぐスイマーキャラ。日和見菌のセラチアはピンクの色素を作るので可愛いアイドルキャラ・・・。

 

寝る前に暗記したキャラがイメージ化され、しかも、忙しい培地作りの日常が反映されて、そのキャラクターたちが押し寄せるレストランでてんてこ舞いで働く夢を見ることになるのです。夢の中でもクタクタな実習生時代のひと夏でした。

 

けれども、細菌たちも生き物で、この地球に住み、わたしたちの身体の中にもいて役に立ってくれることもあり、生命の満ちあふれる世界に生きている不思議さを感じました。

 

大いなる自然の母の中で守られ、生かされている感覚を持てば、小さなことを思い煩って生きるより、与えられた状況を楽しんで生きる方を選ぼうという気持ちに自然に導かれます。

 

次回も「老子が教えるタオの哲学」の解説を予定しています。

 

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最後まで読んでくださり、ありがとうございます。