こんにちは、リブラです。今回は「神話と数秘で読み解く12星座」シリーズのみずがめ座土星(観念、現実性)のお話です。

 

土星は具現化・現実化のパワーがある天体です。土星が存在するハウスは現実的な取り組みを要求され、その取り組みの経験は自信となって残ります。なぜ、経験が自信に転換されるかといえば、その経験によって作られた現実に立ち向かう思考回路が定着するからです。

 

「Aが起きたときはBをすればうまくいった」という過去の記憶の集積が思考回路として定着すると観念になります。本来土星は現実を生きるために守らなくてはならない、自分自身の「譲れないルール」です。

 

でも、そのルールが外の世界と不協和音を起こすことがあります。外の世界と自分の「譲れないルール」を調和させる経験が観念を作り出します。そのため、本来の土星の働きを鈍くして外の世界側のルールの方に傾くこともあるのです。

 

今回はみずがめ座土星を神話と数秘から読み解いて、みずがめ座土星が作りやすいネガティブな観念について探ってみます。

 

みずがめ座神話;ヘラクレスは、罪の贖いのために受けた12試練(主に怪獣退治)を成し遂げました。

その祝賀会の席でヘラクレスは新しい婚約者から渡される祝杯を飲み干して幸せを噛みしめていましたが、それは次の瞬間激しい苦しみに変わりました。その婚約者はヘラに滋養強壮剤だとそそのかされて、毒を酒に混ぜてしまったのでした。

 

神の血を引くヘラクレスは不死身なので毒を飲んでも死にませんが、婚約者が彼の毒殺を試みたのだと思い込み絶望しました。ヘラクレスはすべてを焼き尽くすと言われている特別な炎の中に自ら飛び込み灰になりました。

するとゼウスが来てヘラクレスの魂を天界に連れていき「今日でお前の人間としての人生が終わった。これからは神として我が娘へ―ベーの夫となり天界で暮らすのだ」と告げました。

 

これでもう、ヘラはヘラクレスに手出しできなくなりました。ヘラクレスを苦しめればその妻となった愛娘へ―ベーから憎まれるからです。

すべてがまるく収まったかのように見えましたが、青春の女神へ―ベーがそれまでしていた神酒の給仕役候補が天界にいません。天界の給仕は、未婚者でなければならない決まりでした。困ったゼウスは下界の人間から給仕役を探すことにしました。そこで白羽の矢が立ったのが、トロイアの第1王子ガニメデスでした。

 

天界の神々の中に連れてきても見劣りしない美しさと品格がガニメデスにはありました。ワシに化けたゼウスはガニメデスを天界にさらっていきました。

 

いきなり天界に連れて来られ、したこともない給仕をさせられることになったのですが、当のガニメデスは喜んで不老不死の神酒ネクタルを神々に給仕しました。彼は下界に帰りたいとも、人間が恋しいとも言いませんでした。ネクタルを自由に飲めて永遠の若さ得て、天界に住み続けられることをガニメデスは真に幸せと思ったのです。

 

それを知ってゼウスは安堵し、トロイア王にガニメデスの代償として天馬と金の実がなる葡萄の木を一方的に送りつけました。

そしてガニメデスは、神々にネクタルを給仕するだけでなく、天の水瓶から下界に向けて雨を降らせる神となりました。

 

この神話から浮かぶキャラクターのイメージは、

ヘラクレスの人間としての死と神としての再生(既知よりも未知へ、現実よりも理想にフォーカスを向ける)、ヘラクレスを娘の婿に迎えることでゼウスとヘラの代理戦争に終止符が打たれた(人間関係の感情的なトラブルを避ける)、ワシに化けてガニメデスをさらったゼウス(制限や常識の枠を超える。自分の理想を貫く)、人間界に未練がないガニメデス(人間関係に執着がない)、王子なのに天界の給仕を喜んでするガニメデス(上下関係を意識しない。フレンドリー)、天の水瓶から雨を降らす神となったガニメデス(俯瞰視点で物事を捉え、共通のテーマで人とつながろうとする)

 

これらのキャラクターのイメージで現実を生きるために土星が働くとどんなことが起きるのか?

 

「わたしは知る(I know . )」がテーマのみずがめ座土星は、人間の最も優れた機能である知性を使い、未知の世界に意識の拡げて自身の世界観に取り込み、そのヴィジョンを現実に創り出す力を備えています。

 

みずがめ座土星は新しい「情報・知識・考え方」に触れその刺激で既成概念の枠組みを壊し、拡大した視野で描く理想を具現化するために努力を重ねます。

 

外側の世界の決め事や常識や既成概念に囚われたり、それと闘ったり、被害者意識を持つことに意識が向かうと、視野が狭くなるのでみずがめ座土星の具現化力は働きません。

 

みずがめ座土星は俯瞰視点で全体を見渡せる視野を持つとき、理想を具現化するための新しい発想やアイディアをキャッチし、それにより制限の枠組みを超えるのです。

 

その一方で、ネガティブな感情に駆られているときのみずがめ座土星は目先の障害や制限の壁に抵抗することでエネルギーを使い果たし、広い視野で全体を眺めることを忘れてしまうのです。

 

その状態になるとみずがめ座土星の具現化力は、自身の理想を頑なに押し通すために古いものを壊す・批難する行動しか取らなくなります。自身の理想周囲の理解のギャップが大きい孤立して協力を得られず、行動しても妨害されフラストレーションばかりが強くなります。

 

土星は現実を生きるための強力なツールです。みずがめ座の土星を持つ人は、現実問題を発想の転換や意識改革で超えられることを忘れてはいけません。みずがめ座土星を持つ人々は俯瞰視点を持つことで、ひとつ上の次元から全体を見渡して、最適解を探り出し実行する力を備えています。

 

視野狭窄状態のみずがめ座土星視点からすると、ネガティブな現実の出来事は何か新しい方法に変えない限り超えられないと思い込みがちですが、現実のシーンでは必ずしも同じ価値観が受け入れられるとは限りません

周囲の人々の理解を得られず、新しい方法を試みたのに旧式の方が良かったと非難を浴びて傷つく可能性もあります。

 

そのリスク回避の経験から、ネガティブな観念(ネガティブなルール)が密かに思考回路に組み込まれます。

 

不動サインの性質上、ネガティブな観念に囚われると、怖れの動機で自身の理念に固執した新しいやり方を試みたくなります。それゆえ、みずがめ座のネガティブ観念が働くと、

 

現実問題に遭遇する→不安に駆られて、今までのやり方ではダメだとを思い込んでしまう→あれこれと新しい方法を試みる→新しい方法に不安を覚える人々から反発されて孤立する→周囲の意見に耳を傾けず、自分の理想に固執する個の限界を感じて視野狭窄状態に陥ります。

 

11番目の星座であるみずがめ座は、マスターナンバーの力である「共鳴する人々と協調して枠越えを果たす」能力を使えないと理想は具現化に至らず、頭の中のアイディアで終わってしまいます。

 

みずがめ座土星の持ち主は、天界にほんとうの自分の居場所を見つけたガニメデスのように俯瞰視点で全体を見渡し最適なアイディアをキャッチして理想を具現化する力を備えています。

この奇跡的な力を使うには、全体を見渡せるような意識の拡大と心の自由が必要です。広い視野と寛大な心で理想を描いて語ると、必ずその理想と共鳴する人々と出会います。共振・共鳴反応の拡がりに応じて神羅万象・万物も動き、具現化が促進されます。

 

C・G・ユングは、1室(本人のハウス)にみずがめ座土星を持ち、3室(表現のハウス)のおうし座冥王星と90度で葛藤するアスペクトをとっています。ユングは精神分析医でしたが、瞑想によって得たサイキックな情報を患者の話や神話や曼荼羅の形などの一致点から裏付けを取り、シンクロニシティ(偶然の一致)が起こるしくみや潜在意識や集合意識の存在を世に出しました。

 

今でこそ、心理学は学術的な分野で、潜在意識は存在するのが当然の風潮になっていますが、ユングがそれを発表したときにはオカルト扱いされ、アカデミックな世界からは完全に無視されていました。

 

本人のハウスのみずがめ座土星と表現のハウスのおうし座冥王星の葛藤の配置が表す通り、自身の理論を表現し具現化していくことに、底なしの力を投入しなければならなかったのでしょう。

 

ユングは未知の領域を既知に変えたのですが、その当時の精神分析医たちの狭い了見では理解が及ばなかったのです。でも、ユングが持ち込んだ新しい風は確実に行き渡り、現代のわたしたちはその恩恵に預かっています。まるで天界の水瓶から降る雨が下界に浸透するように。

 

わたしもユングと同じアセンダントと土星がみずがめ座です。だから共鳴するのか、12室を「潜在意識~集合意識のハウス」として読むことになんの違和感もなく、ホロスコープの天体を元型理論を使って読むことをごく自然にやっていました。

 

ホロスコープがなぜ実際の人生に作用するのかということも、顕在意識~潜在意識~集合意識で神羅万象・万物の意識がひとつにつながっているのがユングによって明らかにされているから、わたしは確信を持って説明することができるのです。

 

それができなければ、占星術は統計学的なデータを頼りにするしかなく、ホロスコープは極めて個人的な心の情報を読むものなのにも関わらず、ステレオタイプの型にはめて読むという矛盾が発生していたことでしょう。

 

わたしにとって1室のみずがめ座土星は、ユングを始め、未知の考え方をダウンロードする受信器みたいな天体で、占星術を多次元的に読むとき最も活躍してくれるツールです。

 

次回は「老子が教えるタオの哲学」の解説を予定しています。

 

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

 

詳しくはこちら をご覧ください。

 

新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。