こんにちは、リブラです。今回は「神話と数秘で読み解く12星座」シリーズのやぎ座土星(観念、現実性)のお話です。

 

土星は具現化・現実化のパワーがある天体です。土星が存在するハウスは現実的な取り組みを要求され、その取り組みの経験は自信となって残ります。なぜ、経験が自信に転換されるかといえば、その経験によって作られた現実に立ち向かう思考回路が定着するからです。

 

「Aが起きたときはBをすればうまくいった」という過去の記憶の集積が思考回路として定着すると観念になります。本来土星は現実を生きるために守らなくてはならない、自分自身の「譲れないルール」です。

 

でも、そのルールが外の世界と不協和音を起こすことがあります。外の世界と自分の「譲れないルール」を調和させる経験が観念を作り出します。そのため、本来の土星の働きを鈍くして外の世界側のルールの方に傾くこともあるのです。

 

今回はやぎ座土星を神話と数秘から読み解いて、やぎ座土星が作りやすいネガティブな観念について探ってみます。

 

やぎ座神話;智恵の神ヘルメスと森の妖精の間に生まれパーンは、山羊の下半身と人の上半身だけれども頭には角・口元には山羊髭を生やした姿で生まれ、その醜さに驚いた母親は彼を置き去りにして逃げてしまいました

そんなパーンを天界に連れていったのは父親のヘルメスでしたが、育てたのは天界の神々でした。特に大神ゼウスはパーンの醜さを愛で、必ず神々の宴会に連れ出しました。

 

劣等感を抱かない神々にとってパーンは、醜い生き物というより宴会を笑いの渦で盛り上げてくれる珍獣に見えたのでした。

智恵の神の血を引くパーンは、自身の醜い姿を神々の前ではユーモラスに演出し住処にしている森では恐ろしい化け物を装って人間を近づけないようにしていました。

 

姿の醜さで悲しい思いをしたのは、妖精のシュリンクスに恋をしたときだけでした。懸命に追いかけ回してやっとシュリンクスを捕まえたのに、彼女はパーンの手の中で恐怖のあまり葦に化身してしまったのでした。

それでもシュリンクスへの思いを諦めきれず、パーンはその葦で笛を作り失恋の悲しみを曲にして演奏しましたすると、その悲恋の美しい笛の響きに妖精たちは魅了され、パーンのもとに集い彼を愛するようになりました。

 

自分が欲しいものを手に入れようとしていただけのパーンが讃えられ星座として天に上げられたのは、笑いで大神ゼウスの恐怖を忘れさせたからでした。

 

パーンが神々の宴会で葦笛を奏でているとティホーン(怪獣)が突如出現し、神々は次々に魚に化けて逃げました。ところが、パーンだけは上半身が山羊で下半身が魚という奇妙な姿で、ジタバタして逃げられずにいました

 

いつもは脅かす側のパーンが慌てふためき化け損ねた姿がおもしろく、ゼウスは逃げるのも忘れて笑い転げました。恐怖でおかしな行動をとってしまうことを「パニック」と言うのは、この神話が由来だと言われています。

 

この神話から浮かぶキャラクターのイメージは、

 

上半身が人間で下半身が山羊の姿人間の精神性と獣性の衝動を統合し知性で制御して使う容姿の醜さで母親に産み捨てられるパーンの逆境(自分の生来の能力と身体を資本に生きる独立精神)、醜い容姿で神々の笑いを取り人気者になる(コンプレックスを逆手にとり長所に変える戦略家)、化け物を装って人間を威し、森の支配者になるパーン(環境やしくみを理解して自身の管轄を安定的にコントロールする管理者)、妖精シュリンクスへの片思い(目的を手にするまで諦めずに追いかける忍耐力)、シュリンクスが化身した葦で笛を作りそれで失恋の思いを演奏して妖精たちから愛されるパーン(転んでもただは起きない、注いだ努力を無駄にしない性質)、化け損ねてゼウスを笑わせただけなのに星座になる程ほど褒め讃えられたパーン(ピンチのときこそ大きなチャンスに恵まれる性質)、パーンのパニック(保守的で慎重なので不測の事態を極度に恐れる性質)

 

これらのキャラクターのイメージで現実を生きるために土星が働くとどんなことが起きるのか?

 

「わたしは制御する(I control . )」がテーマのやぎ座は、人間の持つ精神性と獣性の能力を統合し制御して現実を創り出す力を備えています。

 

やぎ座は目的意識を強く持ち、自身の思考や感情や環境をコントロールして望むものの具現化のために努力を積み重ねます。目的がまだ定まらないときは、合理性を重視しあらゆるものに制限を加え、エネルギーを貯蓄に向かわせます。

 

自身の能力をよりどころにピンチをチャンスに変えて望む現実を手に入れる・・・それがやぎ座土星の具現化力です。

 

その一方で、ネガティブな感情に駆られているときのやぎ座土星はリスク回避ばかりにエネルギーを費やし保守性に凝り固まります。過去の経験に捕われ新しい試みに躊躇する傾向が出ます。不測の事態突発的な出来事には心の準備ができず、パニックになります。

 

その状態になるとやぎ座土星の具現化力は、起こり得るリスクの想定と心配事に向けられ、現状維持とリスク回避の行動しか取らなくなります。いま手にしているものを失う怖れに怯え、そこを抜け出すための新しい試みを制限するので前に進まず、行動してもフラストレーションばかりが強くなります。

 

土星は現実を生きるための強力なツールです。やぎ座の土星を持つ人は、ピンチはチャンスに変えられることを忘れてはいけません。やぎ座土星を持つ人々はどんな逆境からも、それを資源に望む現実を創り出す具現化力を備えています。

 

やぎ座土星視点からすると、ネガティブな現実の出来事はさらに悪い現実の予兆に映り、現実的な思考で保守的路線を選ぶのが最適だと思い込みがちですが、現実のシーンでは必ずしも同じ価値観が受け入れられるとは限りません

周囲の人々の理解を得られず、「自身が安心安全と思って取る行動が、周囲の足枷になっている」と感じて傷つく可能性もあります。

 

そのリスク回避の経験から、ネガティブな観念(ネガティブなルール)が密かに思考回路に組み込まれます。

 

活動サインの性質上、ネガティブな観念に囚われると、あれこれと怖れを動機とするアクションを起こしたくなります。それゆえ、やぎ座のネガティブ観念が働くと、

 

現実問題に遭遇する→不安に駆られて、今手にしているもの失う怖れを思い描いてしまう→その怖れが現実になるのを防ごうとして、あれこれとリスク回避を想定する→そのリスク回避を目的として(怖れの動機で)保守的な行動を選択する→過去の経験に囚われた行動しかとれず、新しい試みを排除する怖れで制限された未来しか想定できず、制限の多い現実を招く状態にハマります。

 

やぎ座の原動力である「逆境をバネにして望む現実の創造」を目指せないと、行動する意欲も湧かなくなります。こうした事態を避けようとして、「リスクを防ぐこと」を目的にすり替えて保守的行動(危険がないと思うわれるもの)を選び、「安心」という望む現実を具現化に向かうようになるのです。

 

やぎ座土星の持ち主は、神の血筋を引くパーンのように逆境をバネにして望む現実を創り出す具現化を備えています。

この奇跡的な力を使うには、厳しい現実を観察し、そのどこに資源となるものが潜んでいるのか「リフレーミング(フレームを変えて別の視点から現実を眺める)」をすることです。

 

自身の苦境とは万人にとっても苦境になり得るのです。「転んでもただは起きない」やぎ座土星は、「この苦境を乗り越える経験をしたら、万人が求める苦境突破マニュアルを具現化できる!」とそこに資源を見つけ、豊かさのチャンスを見出すのです。

 

やぎ座は数秘10の影響を受ける星座なので、「1」の自主独立精神で逆境においてリフレーミング能力を駆使すれば、創造主を表す「0」が必ず望む現実の具現化のチャンスにつなげてくれます。

 

「一瞬で自分を変える法」の著者トニー・ロビンズ(アンソニー・ロビンズ)はやぎ座土星を4室(基盤のハウス)に持っています。この土星は7室(対人関係のハウス)のおひつじ座の月と90度で葛藤する配置です。

 

ロビンズはNLP(神経言語プログラミング)を活かしたコーチング理論を確立することで、冨も名声も手にする成功を治めました。でも、その発端は、自身の肥満という悩みから始まりました。

 

テレビを観るぐらいしか楽しみがなかった頃、偶然彼と同年代・同学歴の男性モデルが華々しい暮らしぶりをテレビで観たのでした。そのときロビンズの頭をよぎったのは、「体重を落とすぐらいだったら、努力すれば自分もモデルに近づけるかもしれない」という考えでした。

 

ロビンズはそれまでに度々ダイエットに失敗していましたが、このときはまったく違うやり方で取り組みました。モデルの写真を冷蔵庫に貼り、食欲に負けそうになると「あのモデルはこんなとき何をするだろうか?」と想像し、筋トレに励んだり、食べ物以外に意識を反らしたりして、目標の体型になるまでダイエットを続行しました。

 

ロビンズはこのときのダイエットが少しも苦痛でなかったことに驚き、その理由を探って自身がNLPの視覚型で無意識にモデルをモデリングしていたことを突き止めました。「転んでもただは起きない」やぎ座土星が働いたのでしょう。

 

ロビンズはNLPを使ってダイエットコーチングをするビジネスを思いつきました。それが人気を集めると、NLPを使ったメンタルコーチイングのワークショップその著作など、自身のダイエットの成功からたった3年で富も名声も結婚も望んだ現実をすべて手にすることができたのでした。

 

4室にやぎ座土星があり7室のおひつじ座月と90度があると、手堅い保守的な基盤の上で生活したい気持ちがある一方、同年代で同じ条件が揃う相手に負けていられないというチャレンジャー気質が葛藤したと思います。

やぎ座土星がブレーキ、おひつじ座月がアクセルのように働くので、この葛藤が起きると思い通りにならない現実にフラストレーションを起こし、ふつうの日常を続けるのも空しくなったことでしょう。

 

だから、体形だけでもモデルに勝ってやろうと闘志が湧き、ダイエットを成功させるための智恵が引き出され、それが後のロビンズの人生を変えるNLPの手法だったのです。

 

肥満や貧しさや孤独というネガティブ要因も、やぎ座土星にかかれば成功への資源になるのです。

 

「自分の人生を『名作』と呼べる素晴らしいものにしてほしい。

口先だけでなく、実践する人になってほしい。

自分の夢や希望を着実に実現していく、数少ない人々の一員になってほしい。人生から勝ち取るだけでなく、愛し、惜しみなく与えるために努力してほしい」―トニー・ロビンズー

 

次回は「老子が教えるタオの哲学」の解説を予定しています。

 

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみをホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

 

詳しくはこちら をご覧ください。

 

新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。