こんにちは、リブラです。今回から、ウエイン・ダイアー著「老子が教える実践道(タオ)の哲学」の解説をして行こうと思います。
老子が記したとされるただ一つの著作「道徳経」は、81遍の詩句で構成される「生きることの本質を語る究極の書」です。聖書の次に世界中で最も多く翻訳されてきた知恵の書です。
しかし、「道徳経」の内容はあまり知られていません。それは、聖書と同様に神秘的で難解だからです。文字として記し遺されたものですが、81遍の詩句だけが勝手に出回ることを老子が禁じた書でもあります。
老子は哲学者として有名でしたが、弟子たちに口伝でのみ教えを伝えていました。彼は周王朝の王室書庫の書記官として勤務していたのですが、ほんとうのところは「老子」という生きた貴重な書物として王室書庫に保管されていたような感じです。
老子は監視され自由に国外に出ていくこともままならなかったのです。「あるがままを生きる」ことを提唱し、管理社会からの心の解放とほんとうの人生を説く哲学者が、王室書庫の門外不出のお宝本として管理されていたわけです。
そんな環境にあったから著作を出さなかったのかもしません。老子は逃亡するタイミングを狙っていたのですから。逃亡するとき、なぜか彼は水牛に乗っていました。
高齢の哲学者がいかつい水牛に乗ってこっそり逃げる様は、なんとも奇妙な光景です。だから、国境の関守をしていた役人尹喜(インキ)に、すぐに見つかってしまいました。
でも、尹喜は堅物な役人ではなかったようです。老子に「どうか、先生のお考えを書にまとめてください」と取引きを持ち掛けました。そこで、老子は「道徳経」を3日間で完成して尹喜に手渡し、その写本を禁じ口伝でのみ伝えることを約束させて、何処ともなく立ち去ったのでした。この「道徳経」が道教の基礎となりました。
「老子が教える実践道(タオ)の哲学」は、「自分の中に奇跡を起こす!」などの「信念の魔術」についての著作が多いウエイン・ダイアー(心理学博士)が、「道徳経」を探求し、瞑想をくり返して得た洞察であるといいます。
「老子の巧みな皮肉と逆説は、凝り固まった人生観揉み解ほぐす特効薬です。『ここは自分を主張して相手を説得するのが一番』と意気込むと、老子から『謙虚さも大切だよ』とたしなめらます。『さあ動くぞ』と気負えば、『動かないという手も忘れないでおくれ』。『これが欲しい。これが必要』と手に入れることばかり考えていると、『手放してごらん』と教えられます。
道(タオ)『究極の真実』であり、あまねく存在する在万物の源。道は何かを為すわけではないが、それでいて、有形有限の世界、すなわち万物界に存在するあらゆるものに生命を与えているものです」とダイアー博士は、この本の「はじめに」で書いています。
老子の「道徳経」の81遍の詩句は、常識や固定観念に凝り固まったわたしたちの心に、もっとシンプルに素朴な視点で眺めると違った世界が拡がってくることを教えてくれます。
いつの間にか窮屈な型にハマり、迷路に入り込んで八方塞がりになっているわたしたちに、視点を変えればもっと自由でナチュラルな道がいくつも見つかる、見えない世界の隠れた叡智を示してくれます。
人間社会のルールに合わせ過ぎて、知らず知らずのうちに不自然な生き方をするようになってしまったわたしたちに、自然界の摂理に合わせた健やかなリズムを取り戻させるような、そんな効果がある本だと思います。
老子は「道徳経」を置き土産にして水牛に乗って週王朝から逃亡して行きましたが、それは「道徳経」を使って「管理社会から心の自由を勝ち取ってみなさい」というパフォーマンスでもあったように思います。
タオは人間社会の上を行く自然界の理を、人の生き方に見事に当てはめているようにわたしは感じます。だから、「道徳経」を読んだ後にふと身近な事を眺めてみると、なんだか小さなことに囚われ追い回されていたんだな、寛大でおおらかな気分になっている自分に気づきます。
次回も「タオの哲学」の続きを予定しています。
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