生物と無生物のあいだ (講談社現代新書) [ 福岡 伸一 ]
968円
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こんにちは、リブラです。
今回は、今、巷をお騒がせしているウイルスについてのお話です。
わたしの以前の仕事が臨床検査技師であり内視鏡技師でもあったので、検査にあたりウイルス対策を日々行い、ウイルスの性質も知る機会が多かったので、読者のみなさんにシェアしようと思います。
見えないものに命の危険にさらされるって怖いですよね。
でも、その見えないものがどんな奴なのか、理解できたら注意すべきところがわかって冷静に対処できると思います。
だいぶ前に福岡伸一著「生物と無生物のあいだ」がベストセラーになっていたので、タイトルに見覚えあるかもしれません。
この「生物と無生物のあいだ」という言葉が、ウイルスの存在の立ち位置をそのまま表します。
なぜならば、ウイルスは、生物にあってしかるべき条件に当てはまらないから、生物とは言い難いのです。
生物には、DNAとRNAの両方がありますが、ウイルスにはどちらか片方しかありません。
ちなみに、新型コロナウイルスもエイズウイルスもインフルエンザウイルスもC型肝炎ウイルスも、RNAウイルスです。
天然痘ウイルスやB型肝炎ウイルスやヘルペス(水疱瘡・帯状疱疹)ウイルスなどが、DNAウイルスです。
DNAウイルスは、よく効くワクチンが存在します。
天然痘ウイルスは、撲滅宣言までされています。
DNAは原本なので、その原本を直接コピーし翻訳してタンパク質を作って増殖するDNAウイルスは、変異しにくいのです。
だから、天然痘ウイルスのワクチンを1つ作れば、後はずっとそのワクチンを使って天然痘を防ぐことができるのです。
ところが、RNAウイルスは、じかにDNAをコピーできません。
コピーのRNAを特殊酵素でコピーし翻訳してタンパク質を作って増殖する。
あるいは、エイズウイルスのように逆転写酵素で、コピーのRNAから偽のDNAを作り、それをコピーして翻訳してタンパク質を作って増殖するのです。
原本のDNAから直接コピーできないので、RNAウイルスの増殖プロセスは複雑なのです。
だから、変異も起こりやすく、よく効くワクチンを作り難いのです。
でも、増殖プロセスの必要な酵素の活性を邪魔することができれば、増殖を防ぐことができます。
インフルエンザウイルスの治療法では、ワクチンよりもタミフル(ウイルスの増殖を防ぐ薬)の方が効果的なのは、インフルエンザがRNAウイルスだからです。
ここまで読んで気づかれたかもしれませんが、ウイルスが仲間を増やすのは、完全に宿主に依存しています。
ウイルスは自分で消化も吸収も代謝もしませんから、すべて宿主の細胞の中で現地調達でまかないます。
生きた細胞の中でないと、増殖は不可能なのです。
これは、ウイルスの弱点のひとつです。
細菌や真菌(カビ・酵母)は、培地に植えて培養することができますが、ウイルスは発育鶏卵などの生きた細胞の中でしか培養できません。生きた細胞から離れた状態で数日経てば、感染力は失われます。
ウイルスは、種類によって身体に居座るところが違います。
インフルエンザウイルスは、鼻汁や痰から多く出るのでわかるように、呼吸器系の臓器にいます。
だから、くしゃみやせきなどの飛沫感染を防ぐことに注意を払えばいいと思います。
しかし、新型コロナウイルスの不気味なところは、無症状の潜伏期間中も感染力があるところです。
症状がないのですから、せきやくしゃみなどは出ていないわけです。
それでも感染力があるということは、呼吸や会話だけでもかなりのウイルスが飛散していることになります。
あるいは、ノロウイルスのようにほんの少数のウイルスでも身体に入り込んだら感染するのかもしれません。
いずれにしても、人が多くいる密室は、かなり感染のリスクの高い場所となります。
そういう場所にいるときは、自分自身の免疫力がものをいいます。
免疫力は、白血球の活躍にかかっています。
単球(マクロファージ)や好中球は貪食能で、リンパ球は攻撃で戦います。
ウイルスと戦うのは、おもにリンパ球です。
これら白血球の精鋭部隊が最もよく働くのが体温が38度~40度ぐらいの発熱をしているときです。
ウイルスは熱に弱く活性が低下します。けれども、白血球は、熱が高い方が元気になるのです。
風邪をひいて発熱を出すのは、ウイルスをなんとか駆逐しようとして身体が白血球のために熱を上げているのです。
ですから、免疫力を高めようとするならば、身体を寒さにさらさないように気をつけましょう。
暖かい服装で寒さを防ぎ、栄養のあるものを食べて、十分な睡眠をとりましょう。
次回はティール・スワン著「自分を愛せなくなってしまった人へ」の解説を、次々回は「パスワーク」の解説を、その後「ウイルスってどんな奴か?」の続きを予定しています。
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最後まで読んでくださり、ありがとうございます。