こんにちは、リブラです。今回で、閃めく経絡の解説は終了です。

 

道(タオ)の経路

わたしは神を信じていないが、「道(タオ)」は信じる。

「道(タオ)」とはなんだろうか?

2600年前の哲学の古典『老子道徳経』にある最初の行がよく説明している。

 

『道の道(い)うべきは、常道にあらず』

 

「道(タオ)」を語った瞬間、「道(タオ)」の意味を限定してしまい、まさしく「道(タオ)」そのものの性質により、もはや「道(タオ)」を全く語っていないことになる。

 

「道(タオ)」は、全知であっても社会的信念を持たず、擬人化されていない「神」のようである。

「道(タオ)」の哲学は、生命の営みを霊的な意味で旅路にたとえたものである。

 

単細胞から複雑で、美しく、素晴らしい生物への驚異的な発生過程は「道(タオ)」の1つの例である。

 

身体において、このエネルギーはファッシア(膜)を流れる。

そして、ファッシア(膜)の空間の通路が三焦経(薬指の内側端-手背-前腕後面-肘-上腕-肩に至り、足少陽胆経と交わる)である。

上半身の「リンパ系」として胆経から続いている。

 

リンパはファッシア(膜)の中に存在するため、三焦経はファッシア(膜)自体の経絡である。

この経絡にあるツボを用いることは、ファッシア(膜)の物理的な開閉に影響するとキーオン氏は言っています。

 

救急診療専門医であるダニエル・キーオン氏がこの本を書く動機になったのは、王居易医師が

「わたしのツボはほとんど出血しないことに気づいたかな。これは、血管が存在しない組織の空間に刺しているからだよ」というのを聞き、鍼灸の「科学」を実践している鍼灸師がいる!と思ったからでした。

 

昔から続く方法を鵜呑みで施術をするのではなく、どこに鍼を刺すと何が起こり、どんな効果をもたらすのかをわかって鍼灸をしている王居易医師に、キーオン氏は共感を覚えたのでした。

 

そして、王医師は、もしや同じ推測のもとに組織の空間を刺しているのではないかと思い、「発生学と中医学の関連に気づいていますか?」とキーオン氏は尋ねました。

 

王医師は「いいえ・・・しかし、あなたはこのことを世に伝えるべきです。本を書きなさい」とキーオン氏の背中を押したので、「閃めく経絡は生まれました。

 

生まれるころには跡形もなく消えてなくなってしまいますが、卵が受精した瞬間からあってずっと生命を形づくる指示を出していたものが、確かに存在していました。それはなぜ、消えて見えなくなってしまうのかといえば、元々目に見えない「電氣」の通り道だったからです。

 

その電氣は「ファッシア(膜)」から生まれていました。

その「ファッシア(膜)」はタンパク質でできていて、そのタンパク質はコラーゲンでできていて、そのコラーゲンは三重らせん構造をしていて、動くたびに圧電効果(ピエゾ効果)で静電氣を発生させ、これが生命のスパークである「氣」であることに、キーオン氏は気づいたのでした。

 

西洋医学界では、「氣」は怪しいもの扱いですが、胎児がつくられる前の科学である発生学において「生命のスパーク」は、実際の実験に使用されています。

 

クローン羊のドリーをつくるときも、受精卵ではなく体細胞の核を卵子に入れるので、そのままでは永久に細胞分裂は始まりません。

「生命のスパーク」=「電氣」が流れてはじめて細胞分裂が始まり、生命をつくるプロセスがスタートするのです。

 

わたしは学生の頃から、どういうしくみで同じDNAを遺伝子に持つ、たった1つから始まった受精卵が、様々な細胞に分かれ、それぞれ違った組織をつくっていくのか?

 

指令を伝える神経も、ホルモンを送る血管もない状態でどうやって、細胞同士の連携を取りながら、胎児の身体をつくるのか?

不思議でしかたありませんでした。でも、その答えは、その当時は、まだ解明されていなかったのです。

 

その答えは、発生学が進むことによって最近わかってきた分野なのです。

その主役というのが「形成中心」で、そこに「電氣」が流れることで成長因子が放出され、どれくらいの濃度の成長因子を細胞が浴びたかによって、目になったり鼻になったり耳になったり・・・と細胞が分化していくことが明らかになったのです。

 

手塚治虫の「不思議なメルモちゃん」というアニメが昔ありました。

メルモちゃんがビンの中に保管している赤と青のキャンディは、年を取らせたり、若返らせたりする効果あるのです。

ある日、メルモちゃんの弟がそんな効果を知らずに、若返りのキャンディを食べ過ぎるとカエルになってしまうという事件が起きます。

 

そのメルモちゃんのストーリーがこの本の「成長因子」の話と妙に重なり、長年の謎がスッキリ解けた感じがしました。

誕生後の赤ちゃんには、水かきはついていませんが胎児のときには、あるのです。

 

どうして人間のDNAを持つ子供なのに、水かきが作られたり消えたりするのかと言えば、指をつくるための明確な指令があるのではなく、成長因子を浴びる加減調節はできないので、浴びたところが大雑把な水かきの手を形づくり、その後に指をつくっていく・・・つまり、カエルの手を先につくって、その後に人間の手に進化させるという方法をとっているのだな、とイメージが掴めたのです。

 

そして、細かいパーツや重要な臓器(脳とか神経とか)は、身体の中をサーフィンのように移動する「神経堤細胞」が出張して、細かい指示を与えて複雑な構造を完成させるのです。

 

ヒトが誕生するときは、「形成中心」も「神経堤細胞」も見えなくなってしまいます。

でも、見えなくなっていても、そこに「電氣」が通る道は残っていたのです。

それがファッシア(膜)で区画された空間です。

 

その「電氣」の通り道が経絡であるという考え方は、とても納得がいきます。

生体の電氣の回路に沿って、治療の目的に応じた鍼灸の施術をするならば、それは「科学的な医療」と言えると思います。

鍼灸は、紀元前からある太古の医療ですが、「発生学の科学」という視点で見直せば、新しい医学なんだと思います。

 

3月から解説を続けてきた「閃めく経絡」は、鍼灸はド素人のわたしでも、西洋医学の視点で語られているところが大半なので、臨床検査技師・内視鏡技師として勤務していた頃を思い出しながら、楽しんで記事を書くことができました。

 

一緒にブログにお付き合いしてくださった読者みなさん、ありがとうございました。


次回は「ジョン・レノンのホロスコープリーディング」を、次々回は「自分を愛せなくなってしまった人へ」の解説を、その後にエヴァ・ピエラコス著「パスワーク」の解説を予定しています。

 

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最後まで読んでくださり、ありがとうございます。