こんにちは、リブラです。

今回はカール・グスタフ・ユング(←クリックするとユングのホロスコープに飛びます)

のホロスコープリーディングの8室のお話しです。

 

8室のひとつ前の7室は、はじめて自分以外の他者が現れる「出会いのハウス」でした。

1室(本人)⇔7室(他者)という位置関係から見れば、<他者を鏡のように使って自分を知るハウス>でした。

 

8室の真向かいは2室(所有のハウス)です。

2室は自分のもの(物・関係・環境・能力・セルフイメージなど)を受け取るハウスです。

2室(所有)⇔8室(共有・共感)という位置関係から<共感を通して他者との融合点を探り、自分を知るハウス>です。

 

「8」を横に倒すと「∞」(インフィニティ)になり、2つのものが一点で交わっているようにも、両者のエネルギーが永遠に循環しているようにも見えます。

 

心の共鳴・共振を体験して心がひとつになる瞬間を共有した二人は、もう、それを体験する以前には戻れません。

共感によって深い信頼関係が構築されると、精神の変容が起きるからです。

相手との融合点を見つけてしまった以上、そう簡単に相手と自分を切り離すわけにはいかなくなるのです。

無理に切り離すときには、融合した部分を引き剥がすのですから激しい痛みを伴います。

だから人間は、8室(共感のハウス)の信頼関係をつくることにとても慎重になります。

 

でも、8室こそ、真に心が交流するほんとうの人間関係の場です。

共感してもらえる安心があるから、悩みを、苦しみを、悲しみを、秘密を打ち明けられるのです。

8室に星がある人は、そういう場で使われたがっている才能があるということです。

カウンセラーやセラピストや占い師など、1対1の信頼関係の場で仕事をしたいと思っている人は、8室に天体のある無しを見ておくとよいでしょう。

 

天体があれば、その天体の才能で仕事をすることになるでしょう。

天体がなければ、天体があるハウスを活性化するために8室を使っていると考えればよいでしょう。

例えばわたしは、3室(表現のハウス)に天体はありませんが、セッションルーム(8室)にお客様をお迎えするためにこうしてホロスコープの記事を書き、「こんなリーディングをする占星術師です!」と自己表現しています。

天体がある8室を活性化するために、天体がない(問題なく使える部屋はわざわざ天体を置かないのが魂の意図です)3室を使っているのです。

 

天体がないハウスには才能がないなんて考えたらいけません。

得意で努力の必要がないから、あえて星を置いていないだけの話です。

天体のないハウスにないものは、興味や関心だけです。

そのハウスの分野に必要性が出て使わなければいけないときは、関心が高まりますから自然に使えてしまうのが星のないハウスです。

 

わたしは自分のホロスコープから魂の意図する人生が読めるようになったとき(40代になってましたが・・・)、8室に月(感情)も水星(思考)も太陽(自己実現)もあるのを眺め、「なんて素敵な天の采配!」と思いました。

他者の問題を自身の感情や知性で探り、共感の交流を通して解明していくことがわたしの自己実現なんだとわかると、それだけで自分の存在意義に喜びを感じました。

 

ユングの8室(共感のハウス)はおとめ座29度で始まりさそり座7度で終ります。

てんびん座が挟まれサンドイッチのようになっているインターセプトハウスです。

このハウスにはてんびん座23度の木星(チャンス、幸運)があり、6室(貢献のハウス)のかに座17度の金星(喜び)とは90度の葛藤するハードアスペクトを、1室(本人のハウス)のみずがめ座24度の土星(現実性、観念)とは120度の協調するアスペクトをとっています。

 

8室(共感のハウス)に木星(チャンス、幸運)があるのですから、ユングは変容が起きるほどの深い共感・信頼関係に寛大だったはずです。そこから人生に幸せが流入するのですから。

 

おもしろいことに、フロイトの8室はふたご座で土星と月があり、アドラーの8室はみずがめ座で水星と太陽があり、ユングは8室てんびん座の木星があるのです。

 

ふたご座・てんびん座・みずがめ座は風星座と呼ばれる知性と軽さがモットーの星座のグループです。

心理学の祖となる3人の精神分析医が揃って心の交流を「風サイン感覚」で捉えているのは興味深いです。

ちなみにわたしも8室はユングと同じインターセプトハウスでてんびん座月・水星・太陽があります。

 

「心」という見えないものを通して人と交流することを仕事とする場合、水星座(かに座・さそり座・うお座)のように溶けて一体化して共感したり、火星座(おひつじ座・しし座・いて座)は互いの情熱の火を燃え上がらせて共鳴したり、地星座(おうし座・おとめ座・やぎ座)は、互いのゴールを一致させ共同創造で目的に達するような交流をするのだと思います。

 

同じ8室といえども、風星座か水星座か火星座か地星座かで、信頼構築の在り方が違うということも知っておくと、深い人間関係でつまずきません。

 

患者との対話を材料に使って分析し、推理し、見えない「心」を知的に理解して、フロイトもアドラーもユングも8室(共感のハウス)で仕事をしていたのです。

 

だからこそ、この3人にとって「心のしくみをどう考えるか?」は大事な問題だったのです。

フロイトは「ヒステリーの治療」を専門としていたので、身体の本能である性衝動と感情の問題が精神病の原因だと考えていたようです。

 

アドラーは10年くらいフロイトと共同研究をしていましたが、性衝動だけが心の病の原因ではないと考え自身の理論を打ち立て、フロイトと決別します。(みずがめ座太陽・水星の持ち主らしく、理念が合わなければ別れるしかないのです)。

 

ユングは最初からフロイトの「性理論」には、関心を示しませんでした。

ユングは統合失調症の患者の研究をしていたので、フロイトの精神分析の手法に興味を持ち、一緒に心の世界の開拓として情報交換をしたかったのでしょう。

フロイトは自身では手に負えなかった統合失調症の患者をユングに任せたりもしています。

 

ユングとフロイトはお互いの夢を分析し合うほどの、8室の心の交流をし合う仲でした。

しかし、ユングがフロイトと決別しようと思った瞬間も、お互いの夢分析をしているときでした。

フロイトの夢を詳しく分析するために、私生活の詳細をユングが尋ねたところ拒否されたのです

 

「『私は私の権威を危うくすることはできない!』と言った瞬間に彼は彼の権威を失ったのだ。

その中に、私たちの関係の終りがすでに予示されていた。

フロイトは個人的権威を真理の上位に位置づけていたのである」-ユング自伝-より

 

そんな出来事もあったときに、ユングは象徴的な夢を見ました。

2階建ての家で美しいロココ様式の家具を備えた部屋にいて、階下に降りるとさらに古く15世紀くらいのものになり、地下室まで降りていくと壁が古代ローマ時代のものになり、床の石板を持ち上げてさらに梯子を降りると原始文化の名残りのような骨や器があり、頭蓋骨が二つあるのを見つけた・・・という内容でした。

 

これをフロイトに話すと夢の背景には一切触れず、2つの頭蓋骨だけに注目して、ユングが誰かの死を望んでいるのだと解釈しました。(父的な権威の象徴であるフロイトを失墜させたい願望が、エディプスコンプレックスが、ユングにあると言いたかったのでしょう)

 

この解釈にユングは賛成できなかったので「(無意識に)妻と義妹の死を願っている」とウソをついてしまいます。

もう、こうなっては8室の信頼関係(真の心の交流)はありません。

ユングはフロイトと離れることを決めた瞬間だったのでしょう。

 

そして、この象徴的な夢の解釈をユングは自ら分析します。

フロイトがエディプスコンプレックスで片付けようとした世界のむこう側に、夢の地下室のさらに奥深くに、ユングがほんとうに探求したい領域がある、と。

フロイトは自身の合理性で捉えられる範囲にすべてを押し込もうとして、非合理なものを認めようとしない。

ユングは非合理なものを非合理として認めつつ、それを探求して理解したい。

その大きな考え方の違いに、、ユングのルールを表す1室みずがめ座土星と8室てんびん座木星が風星座的知性の共鳴で気づきを与え、フロイトとの決別を促したのでしょう。

 

太陽しし座のユング、太陽おうし座のフロイト、太陽みずがめ座のアドラー、心理学の個性的な大御所たちの不動星座の頑固なぶつかり合いが、いろいろあった風景がイメージできて、占星術という切り口で歴史的人物を見るのはおもしろいなあ、と今回の記事を書いていて感じました。
次回はユングのホロスコープの最終回10室のお話しを予定しています。

わたしのサロン、リブラライブラリーではあなたの心のしくみを

ホロスコープで解説し、心の制限、葛藤が引き寄せる現実問題にセルフヘルプで立ち向かえるようサポートします。

詳しくはこちら をご覧ください。

 

新メニュー(月の欲求・土星の制限の観念書き換えワーク、

キローンの苦手意識を強味に変えるワーク)が加わりました。

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。