(1)



得るものはほとんどない。
ただ雲のような情報。


実感なんてないし、面白いものではない。



感情も動かない。


テレビに映るニュースを見ながら、考える。


目線はテレビにあるが何も視界には入らないような感覚だ。




今日、何人この国で死んだだろう。


ニュース見ながら数えていた。



7人だった。


その7人全てに人生があった。


幼稚園に入ったのだろうか、保育園に行ったのだろうか。

小学校で何回遅刻したのだろうか。

転校したのだろうか。


成績はどうだったのか。
部活は?


何人と恋に落ちたのか。


結婚していたのか結婚してないのか。
結婚したかったのか。



何人が涙を流したか。




何も伝わらない。

感情を伝えるものではないからだ。



どれだけ悲しいか、辛いか、憎いか。


もしかしたらそれをきっかけにうつになった人もいるかもしれない。



今ならもしかしたら、ではないものも分かる。





(2)



都会から外れた田舎にある町。

自分で大きなものを動かそうとせず、皆で仲良く並列でいようとする町。



俺はこの町があまり好きではない。


可能性を自ら潰しているような気がするからだ。


しかし、風景は絵になるようなものなので気に入っている。


所々点在している田んぼは季節毎に移り変わる。

水面に真っ青な空が映る夏。

夕方になると風に揺れる穂が黄金に輝く秋。

大きく変わる風景は毎年変わらない風景でもある。


また、近くの山や林からは季節毎の香りがする。

春になると様々な予感を感じさせる花の香りがし、冬は澄んだ空気が静けさを感じさせる。


不満があるが全く満足出来ない訳ではない町。
理性と感情はぶつかる。


火花を散らしながらその2つの所有者を困憊させる。


哲学者は生涯その葛藤を纏い続ける。


心が強くなければ自分が壊れてしまう。



だが簡単に心を揺らすものがある。


恋愛感情だ。


好きな人に好かれたいという承認欲求は深い思考をしてきた者をも簡単に飲み込んでしまう。



正義は、愛は、美は。


哲学者が考えてきたもの。


恋人がそう思ってるから、親兄弟がそう言ってたから、というものではない。


世界共通の絶対的な価値を持つ真理。

それを求める。


理性を持って感情を制する。



論理的に組み立てたものが真理であると言う。



ただ、そこには感情がない。



だからなのか、恋愛においてその思考は意味をなくす。


全てが無になる。



法も道義も何もかも








この世の真理は心理である、と言わんばかりに。