「iPhone 4S」を試す! 新OSとiCloudで大きく変わった使い勝手
スマートフォンの主役は当分変わることはなさそうだ。アップルが10月14日に発売する新型スマートフォン「iPhone 4S」。デザインや名前が大きく変わっていないことから、発表直後は“期待ハズレ”との声も聞かれたが、外見にだまされてはいけない...
スマートフォンの主役は当分変わることはなさそうだ。アップルが10月14日に発売する新型スマートフォン「iPhone 4S」。デザインや名前が大きく変わっていないことから、発表直後は“期待ハズレ”との声も聞かれたが、外見にだまされてはいけない。実際に使ってみると、昨年発売した「iPhone 4」から中身が大きく進化している。いち早く実機を試し、ハードとソフトの両面からiPhone 4Sの使用感をリポートしたい。
できるポケット iPhone 4をスマートに使いこなす基本&活用ワザ200/法林岳之

¥1,260
Amazon.co.jp
iPhone 4Sの概要
■最新の「iOS 5」搭載・メッセージやSNS、カレンダー、留守電などの通知を1カ所にまとめた「通知センサー」、iOSデバイス同士で利用できる「iMessage」、多機能ToDoリスト「リマインダー」など200以上の新機能を備える新OS
■楽曲、アプリ、書籍、写真、ドキュメントなどをクラウド上で管理する「iCloud」を搭載・コンテンツをクラウドで一元管理し、iOSデバイスやMac、パソコンと共有できるクラウドサービス。例えば、iPhone 4Sでアプリを購入すると、同じものがiPad 2にも自動でダウンロードされる
■頭脳をデュアルコアA5チップに強化・iPhone 4のA4チップと比べて処理性能が2倍、グラフィックス性能が7倍にアップしたデュアルコアA5チップ。アプリの起動やWebページの読み込みがさらに高速になった。ゲームはよりリッチな表現が可能になった
■800万画素のカメラを搭載・カメラ機能は画素数をアップしただけでなく、F2.4の明るいレンズを採用し、背景をきれいにぼかした写真が撮影できるようになった。編集機能も強化し、iPhone上で赤目除去やトリミングが可能になった
■通信速度は最大14.4Mbpsに・HSDPAの最大データ通信速度はiPhone 4より2倍速い14.4Mbps。KDDIのCDMAモデルを選んでも、200カ国のGSMネットワークでローミングサービスを利用できる。2本のアンテナを切り替えることで通信品質を高めた外観は変わらず、処理能力は2倍にアップ
外観は現行モデルのiPhone 4とほとんど同じだ。違いは、アンテナの機能を持つ側面部の黒い線の数と位置。それに左側面のサウンドオン/オフの位置だ。外寸は変わらない。ぱっと見でiPhone 4かiPhone 4Sかを見分けるのは難しい。重さは3g重くなっているが、ほんのわずかだ。
先に述べたとおり変わっているのは中身。頭脳には、パワーが2倍、グラフィックス能力が7倍高まった「デュアルコアA5チップ」を搭載する。非常にパワフルなチップでアプリの起動も高速だ。Webページの読み込みもiPhone 4より速くなっている。同社のタブレット端末「iPad 2」のチップと名前は同じだが、クロック周波数などは違うようだ。それでも、iPhone 4と同じ大きさのきょう体にこれだけのパワフルなチップを搭載しているのは驚きだ。
A5チップ採用による効果はパフォーマンスアップだけではない。iPad 2と同じHDMIミラーリングなども新たにサポートした。セットトップボックスの「Apple TV」を使えば、ワイヤレスでミラーリングできる。テレビにiPhone 4Sと同じ画面を映し出して、ゲームをしたり、プレゼンテーションをしたりできる。
電力効率も優れており、バッテリー駆動時間はiPhone 4とほとんど変わっていない。通話時間は3Gで最大8時間と1時間伸びている。インターネットは、3G接続時が6時間と変化なし。Wi-Fi時は1時間短い最大9時間となっている。パワーアップしながらも、スマートフォンに大切なバッテリー駆動時間はしっかりと維持している。
iPhone 4Sは2つのアンテナを使い分け、通信の質を高めている。HSDPAに対応しており、最大データ通信速度はこれまでの2倍速い14.4Mbps(理論値)となっている。厳密なテストはしていないが、iPhone 4と同じサイトを表示してみたところ、いずれもiPhone 4Sの方が短い時間で表示された。
サクサク動いて、高画質なカメラ
iPhone 4Sのハードの一番の強化がカメラだ。本体背面に800万画素、前面に自分撮り用のVGA画質のカメラを備える。500万画素カメラを搭載するiPhone 4より、ピクセル数は64%アップし、レンズは4枚から5枚に増えている。レンズの明るさを示すF値は2.4。スマートフォンのカメラとしては非常に明るい。コンパクトデジカメ並みと言える。暗い場所でもきれいな写真を撮れる裏面照射型センサーも引き続き採用する。
デュアルコアA5チップにより、写真撮影までの時間も短縮されている。これまでは、カメラのアイコンをタッチしてから、カメラが起動するまで3秒から4秒ほどかかっていた。そのため、大事なシャッターチャンスを逃すことが多かった。iPhone 4Sでは1秒か2秒でカメラが起動し、2枚目も素早く撮影できる。スクリーンロック画面中にホームボタンを2回押すと、すぐにカメラを起動できるようにもなった。ロックナンバーを入力する手間が省けて、素早く撮影できる。ボリュームの+スイッチがシャッターとして機能し、デジカメのような持ち方でも撮影できるようになった。
最大10人の顔の露出を調整できる顔検出機能や構図をとりやすいグリッドなども追加されている。露出の違う写真を3枚撮影し、最も良い部分を組み合わせて1枚の写真にするHDR(ハイダイナミックレンジ)も引き続き備える。編集機能も強化している。トリミング、回転、補正、赤目除去がiPhone上でできる。トリミングは縦横の比率も調整できる。編集にかかる時間も一瞬だ。
肝心の画質は素人目から見ても、iPhone 4より格段にアップしている。色味も自然で発色もよい。なんといってもカメラのレスポンスが高速で、写真を撮るのが気持ちいい。さっと撮れるという点では、スマートフォンの中ではダントツだ。コンパクトデジカメと比べても遜色(そんしょく)ない。
ビデオは1080p
ビデオ撮影機能も強化した。1080pのHDビデオが撮影可能になり、動画撮影時の天敵である手ぶれを補正する機能も盛り込んだ。ノイズリダクションも備え、薄暗い部屋の中もきれいな動画を撮影できる。Apple TVを使えば、大画面テレビに撮影した動画をすぐに映し出せる。
200以上の新機能を盛り込んだ「iOS 5」
iPhone 4Sは最新版の「iOS 5」を搭載する。200以上の新機能があり、1500以上のAPIを公開している。代表的な機能をいくつか紹介したい。
まずは「通知センター」。これまで何か作業をしているときに、メールやメッセージなど新着情報があると、画面の真ん中に通知が表示されていた。何もしていないときはいいが、映画を見ているときやゲームなどをしているときには、作業が中断して邪魔だった。カレンダーの予定やSNSなど、iPhone上で通知するアプリは非常に多い。これを一カ所にまとめたのが通知センターだ。上のバーを下にスライドさせて表示する。天気、メッセージ、着信、カレンダー、株価情報などが一目で確認できる。メッセージなどは本文の冒頭が表示されるので、ここだけで用件が済むこともあるだろう。通知の方法も画面の真ん中ではなく、上に小さく表示できるようになった。通知の並びは、手動か時間順で並べられる。
ロック画面中の通知方法も変わった。ロックを解除せずとも電話を折り返せたり、Twitterに返信したりできる。方法は電話の場合は、緑のアイコンを横にスライドさせるだけ。いちいちロックを解除する手間がかからない。Facebookなど一部サードパーティーのアプリも対応しているので、通知センサーに対応するアプリは今後増えていくだろう。
「iMessage」は2億5000万あるiOSデバイス間でメッセージをやりとりできる新機能だ。3G機能のないiPod touchやiPadでもメールが利用できる。写真、ビデオ、位置情報、連絡先なども送受信可能だ。同時に複数の人にメッセージを送れるグループメッセージもできる。メッセージをやりとりしているときに、相手が入力中であることを示すマークが表示されるので、スムーズにメッセージをやりとりできる。Wi-Fi経由なら無料だ。ソフトバンクモバイルとKDDIのiPhone 4S同士でも使える。データは暗号化されているのでセキュリティーも安心だ。
TwitterとOSが連携し、Safariから移動することなくツイートできるようにもなった。iOS 5ではコミュニケーション機能が非常に強化している印象を受ける。
「リマインダー」も注目の機能だ。高機能なToDoリストとも言える機能で、時間を指定して決まった時間に知らせてくれる。特定の場所を指定し、その場所に近づくと知らせてくれる機能もある。
iOS 5でiPad 2がパワーアップ
iOS 5は、既存のiPhone 4/3GS、iPod touch 第3/4世代、iPad、iPad 2でも利用できる。iPad 2では、ブラウザーのSafariが大きく強化される。複数のサイトを同時に閲覧する際に便利なタブブラウズ機能をサポートする。
「リーダー」は、ニュース記事などを読むときに役立つ。MacのSafariで既に実装されている機能で、広告など本文以外の要素を排除し、ページを読みやすいように再レイアウトしてくれるものだ。記事かどうかを自動で判別し、記事の場合はURLの右に「リーダー」と表示される。じっくり記事を読むときに便利だ。
後で読みたい記事は、「リーディングリスト」に登録しておこう。見出しとサマリがiCloudで共有され、iPhone、Macなどでリストを呼び出せる。移動先で気になった記事をiPhone 4SのSafariのリーディングリストに登録、家に帰って画面の大きなiPadで読むといった使い方ができる。朝の忙しい時間にMacで気になる記事をリーディングリストに登録して、通勤時間にiPhone 4Sで読むこともできる。
iOS 5ではソフトウエアキーボードも変わる。左右に分割して両手の親指でタイピングできるようになる。両手で持って文字入力するときに便利だ。日本語入力では、右側にフリック入力用のキーボード、左に変換候補が表示される。持ちやすい位置でタイピングできるように上下に移動できるようにもなっている。
クラウドを意識することなく使える「iCloud」
インターネット経由で購入したアプリケーション、楽曲、書籍を機器を選ばずに利用でき、保存もできるクラウド型のサービス「iCloud」もiPhone 4Sの目玉だ。データの保存先がパソコンに代わってクラウドとなる戦略的なサービスだ。アップルのデータセンターに個人のデータを預け、iPhoneやiPad、Mac、パソコンで共有することができる。アプリや楽曲は、購入情報を参照してほかの端末でもクラウドから同じものをダウンロードできる。
例えば、iPadで楽曲を購入すると、自分のiPhone 4Sにも自動的に同じ楽曲がダウンロードされる。これまでのようにいったんMacを介して、取り込まなくてもすむ。
データが膨大になる写真は、「フォトストリーム」という機能でワイヤレスで共有できる。例えば、iPhone 4Sで撮影すると、写真がiCloudに吸い上げられ、Macの写真管理ソフト「iPhoto」のフォトストリームに同期される。最新の1000枚を30日間保存する仕組みだ。残しておきたい写真は、ローカルに取り込めばよい。ケーブルでiPhone 4SとMacをつなぐ必要はなく、非常に簡単だ。ずっと残る訳ではないので、消えてしまう心配はあるが、ローカルに取り込む操作は簡単で、写真がダブっているときも教えてくれる。2枚同じ写真が保存されることもない。フォトストリームはApple TVからも見られる。
ビジネスシーンに役立つのが「Documents in the Cloud」だ。「Keynote」「Pages」「Numbers」のドキュメントをクラウド上で管理し、どの端末からでも最新のドキュメントにアクセスして作業できる。外出先でiPhone 4Sから文字を直したり、レイアウトを修正して、家に帰ってからiPadで仕上げるといったことも可能。Webブラウザーから「iCloud.com」にアクセスすれば、Windowsからでも利用できる。KeynoteをPowerPoint形式ではき出す機能も備える。
連絡先、カレンダー、EメールなどもiCloudに保存され、すべてのデバイスがいつでも最新の状態に保たれる。利用者はクラウドサービスに保存したデータか、端末に保存したデータかを意識する必要はない。どの端末に保存したかをいちいち覚えておかなくてもよい。メモ、リマインダー、Safariのブックマークも共有される。iCloudの容量は5GB。有料で追加できるが、写真やアプリ、楽曲はこの容量に含まれないのですぐにいっぱいになることはないだろう。iCloudサービスが始まることで、MacやパソコンとつなげなくてもiPhoneが使えるようになるのも大きなメリットだ。
iOSとiCloudで、競合商品と差異化
10月14日に発売になるiPhone 4S。新しいデザインのiPhoneを見てみたかったのも正直な意見だ。しかし、薄型軽量なボディーとスタイリッシュなデザインは、競合商品と比べても、その完成度は群を抜いている。そこに新たなOSとクラウドサービスが加わることで使い勝手はさらに改善された。外見と同様、OSも見た目は大きく変わっていない。iOS 5は、不便なところを改良し、便利なアプリを追加した堅実な進化と言える。その裏側で働くiCloudは、コンテンツやデータ管理の煩わしさを一気に解消してくれる。これまでのクラウドサービスというと、細かな設定をしたり、難しい決まりごとがあったりと、どこか決定打に欠けるものが多かった。iCloudは、Apple IDだけですべてを結びつけ、自然な流れでデータを共有できる。iPhone 4Sを実際に使ってみてライバルより部分的に劣っているところはあるが、iPhone 4Sほどハード、ソフト、サービスが統合されているものはない。
気になるのは、ディスプレイのサイズ。2007年に米国で発売された初代iPhoneから変わっていない。急増するAndroidスマートフォンには、4型以上の大画面のものもあるので見劣りすることもある。しかし、いたずらにサイズを変えてしまうと、50万以上ある既存のアプリが正常に使えなくなるリスクもある。ディスプレイのサイズの問題は、次のiPhoneでどう解消するのか期待して待ちたい。
iPhone 4Sは、10月7日の予約開始から24時間で100万台の予約を突破した。この数字はアップルの製品としては過去最高という。急速に拡大するスマートフォン市場。米グーグルのAndroid、米マイクロソフトのWindows Phone 7など競合メーカーも開発ペースを加速している。対するiPhoneは、「1国1キャリア」を改め、マルチキャリア戦略で利用者拡大を狙う。日本では、ソフトバンクモバイルに加え、新たにKDDI(au)からもiPhoneが発売になる。2キャリアが扱うことで、どこまでシェアを伸ばせるか注目だ。
~ nikkei TRENDYnet
あなたが使う言葉の先に あなたの未来がある
iPhoneビギナーズガイド 2011 (iPhone Fan BOOKS)/丸山陽子

¥1,680
Amazon.co.jp
スマートフォンの主役は当分変わることはなさそうだ。アップルが10月14日に発売する新型スマートフォン「iPhone 4S」。デザインや名前が大きく変わっていないことから、発表直後は“期待ハズレ”との声も聞かれたが、外見にだまされてはいけない...
スマートフォンの主役は当分変わることはなさそうだ。アップルが10月14日に発売する新型スマートフォン「iPhone 4S」。デザインや名前が大きく変わっていないことから、発表直後は“期待ハズレ”との声も聞かれたが、外見にだまされてはいけない。実際に使ってみると、昨年発売した「iPhone 4」から中身が大きく進化している。いち早く実機を試し、ハードとソフトの両面からiPhone 4Sの使用感をリポートしたい。
できるポケット iPhone 4をスマートに使いこなす基本&活用ワザ200/法林岳之

¥1,260
Amazon.co.jp
iPhone 4Sの概要
■最新の「iOS 5」搭載・メッセージやSNS、カレンダー、留守電などの通知を1カ所にまとめた「通知センサー」、iOSデバイス同士で利用できる「iMessage」、多機能ToDoリスト「リマインダー」など200以上の新機能を備える新OS
■楽曲、アプリ、書籍、写真、ドキュメントなどをクラウド上で管理する「iCloud」を搭載・コンテンツをクラウドで一元管理し、iOSデバイスやMac、パソコンと共有できるクラウドサービス。例えば、iPhone 4Sでアプリを購入すると、同じものがiPad 2にも自動でダウンロードされる
■頭脳をデュアルコアA5チップに強化・iPhone 4のA4チップと比べて処理性能が2倍、グラフィックス性能が7倍にアップしたデュアルコアA5チップ。アプリの起動やWebページの読み込みがさらに高速になった。ゲームはよりリッチな表現が可能になった
■800万画素のカメラを搭載・カメラ機能は画素数をアップしただけでなく、F2.4の明るいレンズを採用し、背景をきれいにぼかした写真が撮影できるようになった。編集機能も強化し、iPhone上で赤目除去やトリミングが可能になった
■通信速度は最大14.4Mbpsに・HSDPAの最大データ通信速度はiPhone 4より2倍速い14.4Mbps。KDDIのCDMAモデルを選んでも、200カ国のGSMネットワークでローミングサービスを利用できる。2本のアンテナを切り替えることで通信品質を高めた外観は変わらず、処理能力は2倍にアップ
外観は現行モデルのiPhone 4とほとんど同じだ。違いは、アンテナの機能を持つ側面部の黒い線の数と位置。それに左側面のサウンドオン/オフの位置だ。外寸は変わらない。ぱっと見でiPhone 4かiPhone 4Sかを見分けるのは難しい。重さは3g重くなっているが、ほんのわずかだ。
先に述べたとおり変わっているのは中身。頭脳には、パワーが2倍、グラフィックス能力が7倍高まった「デュアルコアA5チップ」を搭載する。非常にパワフルなチップでアプリの起動も高速だ。Webページの読み込みもiPhone 4より速くなっている。同社のタブレット端末「iPad 2」のチップと名前は同じだが、クロック周波数などは違うようだ。それでも、iPhone 4と同じ大きさのきょう体にこれだけのパワフルなチップを搭載しているのは驚きだ。
A5チップ採用による効果はパフォーマンスアップだけではない。iPad 2と同じHDMIミラーリングなども新たにサポートした。セットトップボックスの「Apple TV」を使えば、ワイヤレスでミラーリングできる。テレビにiPhone 4Sと同じ画面を映し出して、ゲームをしたり、プレゼンテーションをしたりできる。
電力効率も優れており、バッテリー駆動時間はiPhone 4とほとんど変わっていない。通話時間は3Gで最大8時間と1時間伸びている。インターネットは、3G接続時が6時間と変化なし。Wi-Fi時は1時間短い最大9時間となっている。パワーアップしながらも、スマートフォンに大切なバッテリー駆動時間はしっかりと維持している。
iPhone 4Sは2つのアンテナを使い分け、通信の質を高めている。HSDPAに対応しており、最大データ通信速度はこれまでの2倍速い14.4Mbps(理論値)となっている。厳密なテストはしていないが、iPhone 4と同じサイトを表示してみたところ、いずれもiPhone 4Sの方が短い時間で表示された。
サクサク動いて、高画質なカメラ
iPhone 4Sのハードの一番の強化がカメラだ。本体背面に800万画素、前面に自分撮り用のVGA画質のカメラを備える。500万画素カメラを搭載するiPhone 4より、ピクセル数は64%アップし、レンズは4枚から5枚に増えている。レンズの明るさを示すF値は2.4。スマートフォンのカメラとしては非常に明るい。コンパクトデジカメ並みと言える。暗い場所でもきれいな写真を撮れる裏面照射型センサーも引き続き採用する。
デュアルコアA5チップにより、写真撮影までの時間も短縮されている。これまでは、カメラのアイコンをタッチしてから、カメラが起動するまで3秒から4秒ほどかかっていた。そのため、大事なシャッターチャンスを逃すことが多かった。iPhone 4Sでは1秒か2秒でカメラが起動し、2枚目も素早く撮影できる。スクリーンロック画面中にホームボタンを2回押すと、すぐにカメラを起動できるようにもなった。ロックナンバーを入力する手間が省けて、素早く撮影できる。ボリュームの+スイッチがシャッターとして機能し、デジカメのような持ち方でも撮影できるようになった。
最大10人の顔の露出を調整できる顔検出機能や構図をとりやすいグリッドなども追加されている。露出の違う写真を3枚撮影し、最も良い部分を組み合わせて1枚の写真にするHDR(ハイダイナミックレンジ)も引き続き備える。編集機能も強化している。トリミング、回転、補正、赤目除去がiPhone上でできる。トリミングは縦横の比率も調整できる。編集にかかる時間も一瞬だ。
肝心の画質は素人目から見ても、iPhone 4より格段にアップしている。色味も自然で発色もよい。なんといってもカメラのレスポンスが高速で、写真を撮るのが気持ちいい。さっと撮れるという点では、スマートフォンの中ではダントツだ。コンパクトデジカメと比べても遜色(そんしょく)ない。
ビデオは1080p
ビデオ撮影機能も強化した。1080pのHDビデオが撮影可能になり、動画撮影時の天敵である手ぶれを補正する機能も盛り込んだ。ノイズリダクションも備え、薄暗い部屋の中もきれいな動画を撮影できる。Apple TVを使えば、大画面テレビに撮影した動画をすぐに映し出せる。
200以上の新機能を盛り込んだ「iOS 5」
iPhone 4Sは最新版の「iOS 5」を搭載する。200以上の新機能があり、1500以上のAPIを公開している。代表的な機能をいくつか紹介したい。
まずは「通知センター」。これまで何か作業をしているときに、メールやメッセージなど新着情報があると、画面の真ん中に通知が表示されていた。何もしていないときはいいが、映画を見ているときやゲームなどをしているときには、作業が中断して邪魔だった。カレンダーの予定やSNSなど、iPhone上で通知するアプリは非常に多い。これを一カ所にまとめたのが通知センターだ。上のバーを下にスライドさせて表示する。天気、メッセージ、着信、カレンダー、株価情報などが一目で確認できる。メッセージなどは本文の冒頭が表示されるので、ここだけで用件が済むこともあるだろう。通知の方法も画面の真ん中ではなく、上に小さく表示できるようになった。通知の並びは、手動か時間順で並べられる。
ロック画面中の通知方法も変わった。ロックを解除せずとも電話を折り返せたり、Twitterに返信したりできる。方法は電話の場合は、緑のアイコンを横にスライドさせるだけ。いちいちロックを解除する手間がかからない。Facebookなど一部サードパーティーのアプリも対応しているので、通知センサーに対応するアプリは今後増えていくだろう。
「iMessage」は2億5000万あるiOSデバイス間でメッセージをやりとりできる新機能だ。3G機能のないiPod touchやiPadでもメールが利用できる。写真、ビデオ、位置情報、連絡先なども送受信可能だ。同時に複数の人にメッセージを送れるグループメッセージもできる。メッセージをやりとりしているときに、相手が入力中であることを示すマークが表示されるので、スムーズにメッセージをやりとりできる。Wi-Fi経由なら無料だ。ソフトバンクモバイルとKDDIのiPhone 4S同士でも使える。データは暗号化されているのでセキュリティーも安心だ。
TwitterとOSが連携し、Safariから移動することなくツイートできるようにもなった。iOS 5ではコミュニケーション機能が非常に強化している印象を受ける。
「リマインダー」も注目の機能だ。高機能なToDoリストとも言える機能で、時間を指定して決まった時間に知らせてくれる。特定の場所を指定し、その場所に近づくと知らせてくれる機能もある。
iOS 5でiPad 2がパワーアップ
iOS 5は、既存のiPhone 4/3GS、iPod touch 第3/4世代、iPad、iPad 2でも利用できる。iPad 2では、ブラウザーのSafariが大きく強化される。複数のサイトを同時に閲覧する際に便利なタブブラウズ機能をサポートする。
「リーダー」は、ニュース記事などを読むときに役立つ。MacのSafariで既に実装されている機能で、広告など本文以外の要素を排除し、ページを読みやすいように再レイアウトしてくれるものだ。記事かどうかを自動で判別し、記事の場合はURLの右に「リーダー」と表示される。じっくり記事を読むときに便利だ。
後で読みたい記事は、「リーディングリスト」に登録しておこう。見出しとサマリがiCloudで共有され、iPhone、Macなどでリストを呼び出せる。移動先で気になった記事をiPhone 4SのSafariのリーディングリストに登録、家に帰って画面の大きなiPadで読むといった使い方ができる。朝の忙しい時間にMacで気になる記事をリーディングリストに登録して、通勤時間にiPhone 4Sで読むこともできる。
iOS 5ではソフトウエアキーボードも変わる。左右に分割して両手の親指でタイピングできるようになる。両手で持って文字入力するときに便利だ。日本語入力では、右側にフリック入力用のキーボード、左に変換候補が表示される。持ちやすい位置でタイピングできるように上下に移動できるようにもなっている。
クラウドを意識することなく使える「iCloud」
インターネット経由で購入したアプリケーション、楽曲、書籍を機器を選ばずに利用でき、保存もできるクラウド型のサービス「iCloud」もiPhone 4Sの目玉だ。データの保存先がパソコンに代わってクラウドとなる戦略的なサービスだ。アップルのデータセンターに個人のデータを預け、iPhoneやiPad、Mac、パソコンで共有することができる。アプリや楽曲は、購入情報を参照してほかの端末でもクラウドから同じものをダウンロードできる。
例えば、iPadで楽曲を購入すると、自分のiPhone 4Sにも自動的に同じ楽曲がダウンロードされる。これまでのようにいったんMacを介して、取り込まなくてもすむ。
データが膨大になる写真は、「フォトストリーム」という機能でワイヤレスで共有できる。例えば、iPhone 4Sで撮影すると、写真がiCloudに吸い上げられ、Macの写真管理ソフト「iPhoto」のフォトストリームに同期される。最新の1000枚を30日間保存する仕組みだ。残しておきたい写真は、ローカルに取り込めばよい。ケーブルでiPhone 4SとMacをつなぐ必要はなく、非常に簡単だ。ずっと残る訳ではないので、消えてしまう心配はあるが、ローカルに取り込む操作は簡単で、写真がダブっているときも教えてくれる。2枚同じ写真が保存されることもない。フォトストリームはApple TVからも見られる。
ビジネスシーンに役立つのが「Documents in the Cloud」だ。「Keynote」「Pages」「Numbers」のドキュメントをクラウド上で管理し、どの端末からでも最新のドキュメントにアクセスして作業できる。外出先でiPhone 4Sから文字を直したり、レイアウトを修正して、家に帰ってからiPadで仕上げるといったことも可能。Webブラウザーから「iCloud.com」にアクセスすれば、Windowsからでも利用できる。KeynoteをPowerPoint形式ではき出す機能も備える。
連絡先、カレンダー、EメールなどもiCloudに保存され、すべてのデバイスがいつでも最新の状態に保たれる。利用者はクラウドサービスに保存したデータか、端末に保存したデータかを意識する必要はない。どの端末に保存したかをいちいち覚えておかなくてもよい。メモ、リマインダー、Safariのブックマークも共有される。iCloudの容量は5GB。有料で追加できるが、写真やアプリ、楽曲はこの容量に含まれないのですぐにいっぱいになることはないだろう。iCloudサービスが始まることで、MacやパソコンとつなげなくてもiPhoneが使えるようになるのも大きなメリットだ。
iOSとiCloudで、競合商品と差異化
10月14日に発売になるiPhone 4S。新しいデザインのiPhoneを見てみたかったのも正直な意見だ。しかし、薄型軽量なボディーとスタイリッシュなデザインは、競合商品と比べても、その完成度は群を抜いている。そこに新たなOSとクラウドサービスが加わることで使い勝手はさらに改善された。外見と同様、OSも見た目は大きく変わっていない。iOS 5は、不便なところを改良し、便利なアプリを追加した堅実な進化と言える。その裏側で働くiCloudは、コンテンツやデータ管理の煩わしさを一気に解消してくれる。これまでのクラウドサービスというと、細かな設定をしたり、難しい決まりごとがあったりと、どこか決定打に欠けるものが多かった。iCloudは、Apple IDだけですべてを結びつけ、自然な流れでデータを共有できる。iPhone 4Sを実際に使ってみてライバルより部分的に劣っているところはあるが、iPhone 4Sほどハード、ソフト、サービスが統合されているものはない。
気になるのは、ディスプレイのサイズ。2007年に米国で発売された初代iPhoneから変わっていない。急増するAndroidスマートフォンには、4型以上の大画面のものもあるので見劣りすることもある。しかし、いたずらにサイズを変えてしまうと、50万以上ある既存のアプリが正常に使えなくなるリスクもある。ディスプレイのサイズの問題は、次のiPhoneでどう解消するのか期待して待ちたい。
iPhone 4Sは、10月7日の予約開始から24時間で100万台の予約を突破した。この数字はアップルの製品としては過去最高という。急速に拡大するスマートフォン市場。米グーグルのAndroid、米マイクロソフトのWindows Phone 7など競合メーカーも開発ペースを加速している。対するiPhoneは、「1国1キャリア」を改め、マルチキャリア戦略で利用者拡大を狙う。日本では、ソフトバンクモバイルに加え、新たにKDDI(au)からもiPhoneが発売になる。2キャリアが扱うことで、どこまでシェアを伸ばせるか注目だ。
~ nikkei TRENDYnet
あなたが使う言葉の先に あなたの未来がある
iPhoneビギナーズガイド 2011 (iPhone Fan BOOKS)/丸山陽子

¥1,680
Amazon.co.jp
