高齢化率が高いのに1人当たりの医療費負担が少ない-。そんな高齢社会の模範となっているのが、豊かな自然に恵まれた西秩父の山里、埼玉県小鹿野町だ。県ではその要因を分析し、「小鹿野モデル」の都市部への拡大を試みている。そんな町に、地元でも有名な95歳の「元気おじいちゃん」がいると聞き、健康の秘訣などをうかがいに行ってみた
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人口約1万4000人、周囲を山に囲まれた小鹿野町。平成17年国勢調査では65歳以上の高齢者は3945人。高齢化率は約27%で、県全体の17%を10ポイントも上回る。一方、県によると、小鹿野町の17年度の1人当たり老人医療費は55万円で、県平均の77万円を大幅に下回り、県内市町村で最も少ない。つまり、「元気なお年寄りがたくさんいる」ということだ。
なぜ、健康長寿が実現できているのか-。町で有名な元気おじいちゃん、石川竹次さん(95)が、そのヒントを握っていた。
石川さんは旧日本専売公社に勤務。定年退職後、小鹿野町に戻った。今は独りで年金暮らしだが、毎朝1時間グランドゴルフをし、週1回子供たちに書道を教えている。
約220年の歴史を持つ「小鹿野歌舞伎」の保存会員で、昨年4月には約8分間の演目に出演、飛んだり跳ねたりの激しい立ち回りをこなした。町内20団体を束ねる老人クラブ連合会の会長でもある。年数回の会合や社会奉仕活動などを取り仕切っているという。
「健康の秘訣は?」と聞くと、「あちこちに出かけて人とつながること」と即答。今日の献立に悩んだら、近所に出かけて独り暮らしの人に聞き回る。すると「みんな一生懸命教えてくれる」という。
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最近は「百歳まで生きよう会」と銘打ち、80代前後の高齢者約25人を月1回集め、お互いの話に耳を傾けている。「たわいないお茶飲み話をして過ごす。そしたら、今日も一日生きられたと思えるじゃない?」と笑う。
こうした地域の密接なつながりが、健康長寿の基盤になっているようだ。小鹿野町保健福祉課の浅香章課長は「見守り、見守られることが当たり前のように残っている」と説明する。
地域で過ごす習慣が根付いているから医療や介護は在宅が基本。病院は入院時から退院を前提に治療を検討し、介護事業は在宅をメーンに進める。小鹿野町は市街地から離れた土地柄のため、歴史的に町行政を中心とした医療福祉を展開。町を挙げて介護予防や健康増進に取り組んできた。
県はこの「小鹿野モデル」を平成21年度から鳩山、ときがわ両町で導入。保健師による高齢者宅の訪問や、民間ボランティアを活用した見守り活動などを集中的に行ってきた。今年度からは桶川、坂戸、朝霞、吉川の4市にも拡大し、都市部での定着を試みている。
石川さんにこうした県の取り組みを話すと、「お茶飲み話ができる環境があれば、都会の孤独死なんて考えられない。そうなったら高齢社会は楽しいもんだ」とアドバイスをくれた。都市住民が忘れてしまった地域のつながりを、改めて小鹿野町の人々から学ぶときが来ている。~産経新聞
家庭は、幸せなところ
会社は、志合わせなところ
