「Facebookは敵ではない」――foursquareに聞いた、モバイルの次の一手 ~ nikkei TRENDYnet
スマートフォンの位置情報を使ったソーシャルアプリの代表格「foursquare(フォースクエア)」。最も重要なモバイル部門を担当するバイスプレジデント、ホルガー・ルドルフ氏に独占インタビューを実施した。
スマートフォンの位置情報を使ったソーシャルアプリの代表格「foursquare(フォースクエア)」。2009年末のサービス開始以来、爆発的な人気を集め、2011年6月には全世界のユーザー数が1000万人を突破した。今いる場所にスマートフォンから「チェックイン」する、という文化を定着させた立役者だが、最近ではライバルも増加。企業や店舗と提携し、チェックインすると割引クーポンが得られるようにして利用者開拓を図っているが、6月にはFacebookがほぼ同じ機能を導入し、攻勢を強めている。
foursquareはFacebookに勝てるのか。クーポンに続く新たな機能拡張はあるのか。今回、編集部ではfoursquareのモバイル担当バイスプレジデント、ホルガー・ルドルフ氏に独占インタビューを実施。日本法人がないだけに、日本での利用実態などもあまり知られていないfoursquare。日本のユーザーの傾向からFacebookへの対抗策、foursquareの「次の一手」までを聞いた。
※foursquareとは:スマートフォンの専用アプリから、今いる場所に「チェックイン」して利用するのが基本。チェックインの回数やチェックインした場所に応じて称号や仮想のバッジなどが得られる、というゲーム性が付加されている。チェックイン情報はfoursquare上の友人と共有されるほか、チェックインしたスポットに参考情報を書き込むこともできる。最近では企業や店舗がマーケティングツールとして活用し、チェックインに対して割引クーポンを提供する例も増えている。
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日本のユーザー数は世界5位
――foursquareの日本での状況と、世界での状況について教えてほしい。
ホルガー・ルドルフ氏(以下ルドルフ):今年の2月に日本語のユーザーインターフェースを用意したこともあり、ユーザー数は急激に伸びている。2011年はここまで、昨年比で約250%の伸びを示しており、今の日本は世界で5番目にユーザー数の多い国だ。日常的に使っているアクティブユーザーの割合も高い。ちなみに、世界で1日あたりのチェックイン回数が最も多いのは東京の渋谷駅だ。
foursquareの全世界のユーザー数は、この6月に1000万人を突破した。昨年の同じ時期のユーザー数は約200万人。この1年間は本当にエキサイティングだった。
――どんな仕事を担当しているのか。
ルドルフ:foursquareにとって最も重要な、モバイル部門を統括している。モバイル向けの優れたアプリケーションの開発は、foursquareの成長を支えるもの。加えて、さまざまな業種とのパートナーシップの開拓・発展も私の担当分野だ。日本での大きな成果の一つは、KDDIとのパートナーシップの締結だろう。auの一部のスマートフォンにはfoursquareのアプリがプリインストールされている。
提携関係の開拓が進んでいる米国では、あらゆる業種とのコラボレーションが実現している。5軒のスターバックスにチェックインすると特別な「バリスタ」バッジが手に入る、MTVのアカウントをフォローすると周辺のライブハウスなどの情報が手に入る、といった試みがいい例だ。ケーブルテレビの「ヒストリーチャンネル」は、認知度向上のため、米国内などのさまざまなランドマークに歴史情報を書き込んでいる。
――今回の来日も、日本企業との提携関係の拡大が主な目的なのか。
ルドルフ:その通りだ。いくつかの会社とは直接会って話をした。どこかは言えないが…。
現在、クーポン提供を中心として、世界でfoursquareを利用している企業・店舗は50万以上にも及ぶ。アパレルからホテルまで、業種は幅広い。ユーザー数の伸びている日本の企業にも、もっと活用してもらいたい。
――そのクーポン機能についてだが、Facebookがチェックイン機能にクーポン機能を統合したことで、競争が激化している。ユーザー数が圧倒的に多いFacebookにはかなわないのではないか。
Facebookが競争相手ではない理由
ルドルフ:我々はFacebookを競争相手とは考えていない。大きな理由は2つある。
まず、我々は位置情報を活用したソーシャルメディアの先駆者として、ユニークな機能を先駆けて導入してきた。バッジを集める、友人とポイントを競うといったゲーム性の高さ、位置情報プラットフォームとしての完成度の高さは、同種のサービスを展開する他社には簡単には真似できないクオリティーだと自負している。クーポンに関しても、米国ではグルーポンに次ぐデイリークーポンの大手「LivingSocial」と提携した。位置情報をもとに、foursquare上にLivingSocialの情報を統合して表示する取り組みを始めたところだ。
そしてもう一つ、こちらのほうが理由としては大きいのだが、Facebookとfoursquareではつながっている友人の数がまるで違う。平均的なユーザーの場合、foursquare上での友人の数は7、8人程度。対してFacebookの場合は100人をゆうに超える。位置情報とは非常にプライベートなものだ。「ガールフレンドとあのレストランに行った」という情報を、100人と共有したいだろうか。だから我々は、7、8人という友人の数が問題だとは思っていない。あらゆる情報をあらゆる人と共有したければ、Facebookを使えばいい。foursquareとFacebookは利用目的の異なる存在だ。競合する相手ではない。
――GPSはfoursquareにとって重要な技術だが、スマートフォン用アプリではほかにも、照度センサーやモーションセンサーなどさまざまな技術を活用したアプリが登場している。今、重要だと考えている「次」の技術は何か。
「スマートフォンなしでチェックイン」の定着を目指す
ルドルフ:GPS以外のセンサーの活用は難しいかもしれないが、注目しているのは「NFC」だ。
※NFCとは:フェリカとも互換性がある、近距離用の非接触通信の規格。想定している用途もフェリカとほぼ同じ。グーグルが自社ブランドのアンドロイド端末「Nexus S」でNFCに対応したことで、世界的に注目を集めている。
foursquareはすでに、グーグルの開発者向けイベント「Google I/O」などで、NFC対応端末を専用リーダーにかざすだけでチェックインできる機能のデモを行っている。あなたもfoursquareユーザーなら、チェックインしたい場所を画面上で探すのが面倒に感じたことがあるはずだ。NFCのインフラが整えば、チェックインは今よりずっと簡単になる。
でも本当に重要なのは、スマートフォンなどのモバイル端末以外からでもチェックインできるようにすること。そのための取り組みも、すでに始めている。米国の「tasti D-Lite」(テイスティ・ディライト、フローズンヨーグルトのチェーン店)では、店員が会員カードをレジの機械に読み込ませると、その店に自動的にチェックインできる仕組みを導入している。
6月にはアメリカン・エキスプレスやH&Mなどと提携し、チェックインした店での支払いにアメリカン・エキスプレスのカードを使うと割引が適用されるサービスを始めた。会員カードの例と同様に、将来的には特定のクレジットカードを使うだけでその店にチェックインができ、しかも安く買い物ができるようになるはずだ。スマートフォンすら不要になることで、foursquareの可能性は一気に広がる。
――クレジットカードを使うだけでチェックインできるようになれば、チェックイン先も実店舗にとどまらず、ネット通販へのチェックインなども可能になるのでは。
ルドルフ:いや、それは意味がない。我々はあくまで位置情報を核としたサービス。対象をあまり広げても、ユーザーを混乱させるだけだ。場所だけでなく、あらゆるものに「チェックイン」できるのが売りのソーシャルメディアもあるが、どれも成功しているとは言いがたい。
――スマートフォンなしでのチェックイン、クレジットカード会社との提携などは、日本でも始める予定はあるのか。
ルドルフ:まだ具体的に決まっていることはない。でも当然、日本でも同じことをしたいと思っている。
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