黒木さんから


出過ぎる杭は打ちにくい!―1万メートル上空から観た人生成功人間学 (サンマーク文庫)/黒木 安馬

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「マジックナンバー7」

「Critical 11 minutes(魔の11分間)」と言うのがある。
世界の航空機事故の約7割は、離陸後の3分間と着陸時の8分間、その11分間に集中している。
Crisisから来ているように、クリティカルとは危機、危篤などの意味である。
「Sterile-cockpit(無菌状態の操縦室)」とは、飛行高度1万フィート(約3000m) 以下では
客室乗務員からパイロットへの連絡は原則禁止していることを言う。
コックピットから、“1万フィート通過!”、と着陸体勢時にインターフォンで連絡が来ると、
これから先は緊急事態の連絡以外は邪魔するな!と言うことである。
雪や突風など気象条件の急変化、バード・ストライク(鳥の衝突)、
特に自動操縦を手動操縦に切り替えているため、
人的操作ミス(ヒューマン・エラー)が起こりやすく、
最も集中力が必要とされる時間帯なのだ。
確かに高度はどんどん変わり、管制塔からの無線も頻繁になり、
地上の風を受けやすくなって機体も安定しないなど、
客席からは想像もつかないほど、
巨大な機体の操縦席はめまぐるしく忙しい環境に変化していく。

「ハインリッヒの法則」と言う安全のピラミッド型図式がある。
アメリカの技師ハインリッヒが発表した法則で、
労働災害の事例の統計を分析した結果、導き出された。
頂点にあるわずか一個の重大事故、
死亡や重症などの致命的傷害(ACCIDENT)が発生する背景には、
その下に29個の軽傷事故(INCIDENT)があり、
またその下の底辺部分には普段は軽く片付けられている300個の
ヒヤリ・ハット(TROUBLE)があると言うのである。
1:29:300の法則とも言う。
あまり自覚しない程度の、ヒヤリとしたり、ハッとしたりする日常での出来事は、
非常に高い確率で重大事故を招くことを示唆している。
いつやって来るか分からない災害を未然に防ぐには、不安全な状態や行為を認識し、
ヒヤリ・ハットの段階で地道に対策を考え、実行、よい習慣として身につけていくことが重要。
ちょっとした不注意から発した日常のヒヤリ、ハットの出来事をそのままにしないで、
どこに原因があるのかを細心に追求することによって大事故を未然に防げる。

面白い実験をしてみよう。まず爪楊枝でもマッチ棒でも良いが、2、30本用意する。
それを机の上に無造作にばら撒く。
用意が出来たら、誰か別の人を連れてくる。
そしてマバタキする一瞬のうちにそれを数えてもらう。
次に、別の爪楊枝で、ばら撒かれた状態を出来るだけ正確に再現してもらう。
さて、正確にその位置を再現できた爪楊枝は何本あっただろうか。
 
心理学者のジョージ・ミラーは、
7と言う数字をマジックナンバーだと言っている。
つまり我々が一目見ただけで数えることの出来るものの数、
暗記できる数字の数、あるいは同時に聞き分けの出来る音の種類などは、
せいぜい「7±2」ぐらいが、限度だと言っている。
個人の能力が低い場合や、集中力が低下したような時には、
その数字はぐんと落ちて、5とか4になる。
そして、5とか4になると、その人の行動率に異常が起こり、
様々な事故を誘発し出すと言う。

ある機械部品工場で、異常に不良品が発生したことがある。
工場長が原因を探ってみると、
ある工程で計器測定の一部を忘れて次のテーブルに送っていたことがわかった。
工場長は過去にもこれと似たケースが2,3度起こっていることを思い出した。
その時は大して気にも留めずにいたのだが、こうたびたび起こったのではいけない。
そこで色々と考えた末、各テーブルごとに、担当者の名札を置いてみることにした。

効き目があった。
それ以来、不良品はすっかり影を潜めたのである。
工場長は、引き続き、その工員がなぜそんな初歩的な過ちを犯したのかを調べてみた。
間もなく原因が分かった。
この工員は、弟が最近自動車事故を起こしてしまい、
被害者への賠償問題で仕事が手につかない状態に追い込まれていたのだった。
さらに調べてみると、これまでのケースには、
ことごとくその陰に工員たちの個人的な悩みが付きまとっていることが分かった。
ある人は奥さんが心臓病で入院していたり、またある人は、
無理な借金をしてその返済問題でトラブルを起こしていた。

こうした個人的な悩み事や心配事が作業への集中力を奪っていたのである。
つまり、彼らのマジックナンバーは、4ぐらいに落ち込んでいたと思われる。
工場長の処置は誠に適切だった。
工員たちは自分の責任テーブルの上に大きく書いた自分の名札を掲げられることによって
職場における責任意識を刺激され、再び集中力を取り戻したのである。

我々は仕事の長い経験の歴史の中で、その進め方に一つの結論を見出してきた。
それは、仕事に対して一定の責任を果たすためには、
定められたルールに従って行動するほうが無難である、と言うこと。
我々が定められた事故に出勤するのも、服装やマナーに気を配るのも、
会議の時刻に遅れないように心がけるのも、みなその為である。
定められたルールに従って行動する、
いうなれば、これ自体が組織や集団を維持する上での絶対的ルールとも言えるだろう。
だが、世の中には例え本人にその気がなくても、ついうっかりとルールを侵すこともある。
この工員さんたちがそうである。
彼らに悪意は無かったのだが、
トラブルに集中力を奪われたことにより、作業の手抜きというミスを犯してしまった。
そのために、会社に損害を与えてしまった。
この人たちには気の毒だが、
これはやはり重大なルール違反というほかは無いことになる。

ついうっかりと赤信号を見落とした、ついうっかりと煙草の火を投げ捨てた、
ついうっかりと連絡をし忘れた、ついうっかりと寝坊をした、
ルール違反はいつもついうっかりから起こる。
そしてその結果、多くの人たちに迷惑をかけ、
その償いに身の細る思いをしている。
 
さて、あなたは今いくつ悩みを抱えているだろうか?
プライベートの面ではどうだろうか、仕事の面ではどうだろうか? 
当面している問題を一度数え上げてみよう。
もしも4つも5つもあるようであれば、
あなたは今、日常の仕事にかなり対処できにくくなっていると言える。
小さなミスやトラブルが目立ち始めているはずである。
周囲の人たちに嫌な思いをさせたり、
迷惑をかけたりしているかもしれないのである。
一刻も早く、それらの悩みや問題を解決しなければならない。
過ぎ去った事柄に気を取られて、進歩の足を止めてはならない。
仕事上のミスや、客とのトラブルや、乗り物の事故は、
たいていそんな時に起こるものである。
問題から逃げずに、解決へ向かって正面から取り組むが良い。
今日一日が終わったら、早速その作業を始めようではないか。

一つ、いま当面している問題や悩みを、一つ残らず書き出してみる。
二つ、その中でも、重要なもの、急を要するものを選び出し、順位をつける。
三つ、その一つ一つについて解決策を考えてみる。
四つ、そのために、自分がどう動けばいいかを決める。
五つ、日程を盛り込んだ計画書を作る。

で、もし自分の力で解決できそうにも無いことなら、
誰か信頼できる人に相談してみよう。
それは先輩のあの人にしよう、土曜日にあの人の家を訪問しよう、
その連絡を木曜日までにしよう、と言った形にしておく。
これとて立派な解決策の一つである。

さあ、もう一度マッチの棒を広げて数えてみよう。
もし、正確に再現できる数が7本より少なかったら、
あなたのマジックナンバーは一つ二つ低下しているのかもしれない。
直ぐに対処したほうが良い。

『二つの矢を持つことなかれ、のちの矢を頼みて、初めの矢になおざりの心あり』とは、
吉田兼好の徒然草。
ハシゴも高いところではなく、最後の一段で踏み外して怪我をすることが多い。
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人生は、自己責任。
毎朝が新しい自分の誕生日、
自分と握手のできる新鮮な日々をお過ごしください (*^_^*)v
この世に生まれるまで母親の胎内に「十月十日」⇒「朝」の字になります。
子曰 朝聞道 夕死可矣 (朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり)
⇒今の自分と握手が出来る、いつ死んでも構わない充実人生を日々歩め!