1 東日本大震災 自粛は2次災害 日光などの観光業者悲鳴 ~ 毎日新聞

 世界遺産「日光の社寺」や温泉など、国内屈指の観光地として知られる栃木県日光市。東日本大震災では大きな被害はなかったものの、直後からホテル・旅館のキャンセルが相次ぎ、街は“自粛ムード”に沈んでいる。隣接する福島県で起きた原発事故も追い打ちとなり、関係者の間からは「2次災害だ」との悲鳴が上がっている


 「全く人が動かない。こんなピンチは初めて。昭和天皇の大喪の礼(89年)の時にもなかった」。日光観光協会の新井俊一会長(62)は危機感をあらわにした。

 日光東照宮によると、震災翌日の3月12日から同31日までの東照宮の入場者数は、前年同期比で実に95%減の計約5000人。過去に例がない落ち込みとなっており、13日から始まる予定だった日光二荒山(ふたらさん)神社の「弥生祭」に加え、徳川家康ゆかりの「百物揃(ひゃくものぞろえ)千人行列」(5月)の中止も決まった。

 新井会長が経営する旅館「鶴亀大吉」(客室数28)も、震災前は稼働率が90%から満室に近かったが、今は10%程度。キャンセルの理由の大半が、福島第1原発事故の影響を懸念したものだという。

 特に外国人観光客が深刻だ。中禅寺湖畔にある「日光レークサイドホテル」によると、フランスやイタリアなど欧州からのツアー客が、各国政府の渡航自粛要請を受け予約を相次いでキャンセル。5月以降は「ぽつぽつ予約が入り始めている」(同ホテル)が、予断を許さない。

 こうした事態を受け、県内六つの観光協会は先月30日、対策を求める要望書を県に提出。福田富一知事は今月5日、「とちぎ観光安全宣言」を発表した。

 世界遺産地区と奥日光は6月から、修学旅行シーズンを迎える。観光協会は放射線測定器を購入して独自に放射線量を測定。ホームページで公開して安全性をアピールする予定だ。

 ■鬼怒川・川治温泉

 大型ホテルや旅館が集まり、計約4000室、2万人の収容能力がある鬼怒川・川治温泉。バブル崩壊に続き、地元の足利銀行破綻(03年)やリーマン・ショック(08年)など幾度も危機を乗り越えてきたが、あるホテルの幹部は「今度は半端じゃない。足銀破綻以上の影響」と声を落とす。

 このホテルも稼働率は10%程度。震災からの1カ月分だけで、約5700人の宿泊がキャンセルされた。パートを含め従業員約100人は、ワークシェアリングでしのいでいる状況だ。幹部は「まだ減るかもしれない。5月の予約も3日間で500人のキャンセルがあったばかり」と嘆く。

 ■湯西川温泉

 福島県境に近く、16軒の温泉宿が肩を寄せ合う湯西川温泉。創業345年の老舗旅館「本家伴久(ばんきゅう)」も例外ではない。45室、150人を収容できるが、すでに3、4月の予約をすべてキャンセルされ、今月28日まで休業中だ。5月からの予約客から確認の電話が入ると「大丈夫です」と懸命につなぎ留めている。

 それでも、24代目の大女将(おかみ)、伴玉枝さん(77)は「小学6年で迎えた敗戦、旅館が全焼したことに比べれば、大したことはない」と意気軒高だ。

 伴久旅館では、料金を一律で1人1万3000円(1泊2食)に設定し、1000円を被災地への義援金に充てるプランを作成。ダイレクトメールなどで会員4800人に知らせている。従業員30人の雇用も維持する。

 「ピンチはチャンス。こういう時こそトップがしっかりしなきゃ」

2 震災関連倒産17件以上 帝国データ集計 ~ 産経新聞


 帝国データバンクが発表した全国企業倒産集計によると、東日本大震災関連の倒産件数が少なくとも17件にのぼったことが明らかになった。負債総額は192億5700万円。被災地では、直接被害を受けた企業の把握は困難な状況で、夏以降に倒産件数が急増する懸念が指摘されている。

 百貨店経営の中三(青森市)は、消費低迷による売り上げ減が続く中、震災の影響で3月単月の売り上げが大きく落ち込んだことから、月末の支払いに行き詰まり、3月30日に民事再生法を申請した。

 旅館経営の佐藤旅館(福島県二本松市)は、債務超過が続く苦しい資金繰りの中、震災の影響で客室や露天風呂に被害を受けて休業していたが、新たな設備投資は難しいと判断し、3月23日に事業を停止した。

 また、経済的な打撃は、被災地以外にも広がっている。業務用食器・厨房(ちゅうぼう)機器販売のホクト(石川県川北町)は震災で大口得意先など顧客が被災し、4月以降の受注がほとんど見込めない状況となり、自己破産申請の準備に入った。

 一方、全国の3月の倒産件数は前年同月比9・3%減の1041件で2カ月連続の減少、負債総額は同1・8%減の2910億7500万円で5カ月連続の減少だった。

3 街角景況感、最大の下げ幅=震災で「急激に厳しい状況」―景気ウオッチャー調査 ~時事通信


 内閣府が発表した3月の景気ウオッチャー調査によると、街角の景況感は、3カ月前と比べた現状判断DI(指数)で前月比20.7ポイント低下の27.7と急落、過去最大の下げ幅を記録した。2~3カ月先の見通しを示す先行き判断DIも20.6ポイント低下の26.6と最大の下げ幅。内閣府は景気の基調判断を、「東日本大震災の影響で急激に厳しい状況になっている」と下方修正した。
 調査は3月25~31日までで、有効回答率は90.1%。政府の経済統計で初めて震災の影響が本格的に表れ、津波や原発事故が日本経済に大打撃を与えている実態が経営者や従業員らの生の声とともに示された。特に被災した東北地方では、物流がまひ状態に陥り、工場損壊や計画停電で生産活動が停滞。自粛ムードの中で、全国的に買い控えや旅行のキャンセルなどが続いている。 
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