あなたの「人格」以上は売れない!―国際線チーフパーサーが教える好かれる人の「心配り」/黒木 安馬
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黒木さんから

「あのさあ、急いでアレを持ってきてくれない?」
「アレって何をですか?」
「だから、アレだよ、ホラ、え~と、アレ!」
「アレでは分かりませんけど・・・」
「気が利かないねえ、何年一緒に仕事をしているんだよっ! も~・・・」

スチュワーデス(CA)とのやり取りを
ファーストクラスの座席で聞いていた慶応大学医学部教授の坪田一男さんが、
「黒木さん、ド忘れはひどくなることはあっても、自然に良くなることはないから、
早めに治療したほうが懸命ですよ!」
と横からニコニコしながら声をかける。

坪田先生は長年の知り合いで、【3%の会】の発起人もしていただいているが、
もとは私の「出過ぎる杭は打ちにくい!」を読んでお手紙を頂き、
大学の先生方を対象に講演をさせていただいたことに始まる。

出過ぎる杭は打ちにくい!―1万メートル上空から観た人生成功人間学 (サンマーク文庫)/黒木 安馬

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ハーバード大学でも勉強され、眼科の世界ではドライアイや角膜移植、
レイシック手術など、世界的に著名な方々の手術も手がけるほどの
超一級の腕を誇る有名なドクターで、TVでもよく顔を観る方だが、
アンチエイジングなども含めて多数の書籍も次々に出版されている。
活発で常ににこやか、“ゴキゲン”な先生だから、ファンもかなり多い。

「先生、治療とはまた大げさですねえ。
そりゃあ、最近、ど忘れが多くなったことは確かですがね。
立った瞬間に、何のために立ち上がったのかも忘れてしまうこともありますし、
三歩歩いたら、すぐに忘れるのはニワトリ並みですよ」

「脳の働き、“脳力”ですね、これは20才を境に低下を始め、
放っておくと65才を過ぎる頃には、判断力が幼稚園児と同程度になるんですよ。
アレ、ソレとかが多くなって固有名詞がすぐに出てこないなどの物忘れは、
短期記憶の取り込み障害なのです。
最近映画なんかを観て涙を流すことってありますか?」

「そりゃあもう、もともと感受性が人並み以上に豊かですからねえ・・・」

「それはですね、涙もろくなったり怒りやすくなったりするのは
経験や年齢とともに感性が豊かになったのではなく、
明らかに我慢をコントロールする前頭前野の情動障害なのですよ!」

「ジョ~ドウ・ショ~ガイ! まじ・・・ですか?」

「“脳を鍛える大人のドリル”で有名な川島隆太・東北大学教授の受け売りですがね、
バナナとリンゴの共通点を、10個すぐに言ってください」

「え~と、まず、果物、それから食べ物、う~ん・・・」
考えるだけで、すぐにはスラスラと出てこない。

「その考える時間が長くなるほど脳の退化が激しいのです
では、“か”から始まる単語を10個では?」

「“か”から・・・ですか。う~ん、カラス、関係、架空、え~と、それから・・・」
矢継ぎ早に問題が出されると、どんどん情けない自分が露わになってくる。

「赤ちゃんは生きている状態を保つ為に基本的な脳は活動しているのですが、
おでこの部分にある前頭前野は、人間として考え創造する力、
意欲や集中力、行動や情動の理性制御をする最も重要な働きをするので、
18~20才でようやく完成するらしいですよ。
そこは、コミュニケーション・意思決定・身辺自立・短期記憶など、
より良く生きていくために必要な精神活動を受け持つ部分です。
146億個の脳細胞は毛細血管の血栓によって
一日に10万個ずつ死滅しているのをご存知ですか?」


「10万個もですか! じゃあ、直ぐになくなるじゃないですか」

「いやいや、単純に計算してもゼロになるには400年かかりますから大丈夫ですよ。
そんなに生きていないでしょ。
高齢者の脳の断面写真を見れば驚くでしょうけど、死滅した細胞でスカスカになっていますよ。
脳細胞は基本的に蘇生しませんからね

「本当ですか? でも、さきほど治療とおっしゃったのは?」

「年齢と共に脳は衰えて認知症に近づくのですが、鍛えれば老化を防ぐどころか成長するのですよ

「鍛える?」

「方法は3つで、

1、読み、書き、計算をする 
2、コミュニケーションをする 
3、手指を使って何かをする。

同じ読書でも、黙読は勧めませんね。
頭を使うだけでは意味がないのです。だから暗算、パソコンもあまり効果が無いようです。
声を出して一日5分以上新聞や雑誌などを“音読”し、
ごく単純な計算は手を使って筆算をすれば、
記憶力も一ヶ月で30%も上昇するのです!」

「えっ! 5分間、声に出して文章を読むだけで、30日で30%もですか!!」

「黙読や暗算、難しい計算などをしている時の脳をMRIで観ると、
ごく一部だけしか働いていないのですが、
声を出して文章を読んだり、これは声の大小に関係ないのですが、
1+4などの簡単な筆算の計算をさせてみると、脳全体が著しく働いているのが分かります。
だから、脳を鍛えるには、朗読と単純計算が素晴らしく効果的で、
これが脳を活性化させるのです。これが“治療方法”なのです」

「へ~え、声に出すだけで、治療法になるのですか? 
じゃあカラオケなんかも良いと言うことですね」

「いや、カラオケは楽しいモードでしょ。
TVもああちょっと休憩しようかなと言うときに漫然と観ますよね。
ですから、TV・漫画・ゲーム・カラオケは前頭前野をお休みモードにしすぎるので、
脳は逆に退化するのです


「そうかあ、休憩や快楽モードは脳を使わないわけですね?」

会話コミュニケーションや旅行、それに遊びは3人以上でした方が脳をかなり回転させるし、
料理は切ったり炒めたり、盛り付けとかで色々と考えて手を動かすので脳をかなり活性化するのです

例えば、夕食は何を作ろうかなと考えながら冷蔵庫を開ける。
残っている食材を見ながら、そうだ、カレーライスにしようと決める。
すると、まず皆が食卓に着く時間を想像して、そこを基点に作り始めるタイミングを逆算したり、
出来上がりをイメージして、足りないもの、手順、サラダなど、ありとあらゆる映像が頭の中をめぐる。
これは物凄いスピードで脳を働かせることになるわけです。
と言うことは、嫁に台所を明け渡すと、その段階から老化が促進されることになるのです」

「なるほど、じゃあ、婆さんをボケ加速させるには、台所にいっさい立たせないで、
ずっとTVを見せてやればいいわけですね! みごとな完全犯罪!」

「いやいや、ボケられたら、面倒ですよ」

「ハハハ、我が家の娘が、そんなこと言うなら私グレてやる!って怒ったことがありましてね、
それで私は、ああそうかい、おまえがグレるなら、じゃあオレはボケてやるっ!と返したら、
ビビッてしまいましたよ。後に残った者は困りますからねえ」

「なんとも愉快な家族ですねえ。
まあ、いずれにしても書くことは、考えることよりも作業の中身に意味があるわけですね。
指を使うとボケ防止になると言われていますが、それは猿の実験のことであって、
楽器とか絵を描いたり、工作したりと目的を持って指を使うときだけ活性化するということですよ。
人間は一度に7つまでしかおぼえることができませんからね
寝たっきりでまったく反応なしだった重度のアルツハイマー患者の
ビデオを観せて貰ったことがあるのですが、
反応が無くても継続して毎日、耳の隣で朗読、読み聞かせをやっていると
3ヶ月後にはベッドから起き上がるまでに快復し、その後は座って自力学習を始め、
そして、なんと90才近くになってもなお英会話の勉強中のお婆ちゃんもいましたよ。
ビデオカメラに向かって、手を振りながら“See You!!”なんて英語でしゃべるのですよ。
ボケは3~6か月で9割以上の人が、音読と手書き作業で復活するデータもありますからねえ。
集中力や記憶力、創造力とヤル気は、音読するだけで圧倒的に向上させることができる──
日々わずか10分程度の努力だけで奇跡が起きることが医学的に証明されている
これってもっと多くの人たちに知って欲しいですよねえ。


それに心の健康の秘訣はね、何ごともYESで肯定することなんですよ
誉めることも、その場でフィードバックすることに意義があるのであって、5分後では意味がない。
調査の結果では、100才以上の長寿者の共通点は、


“胸に心配事をためないこと”、
早い話が、ネアカが一番ということですね」

「いやあ、長年の国際線乗務は時差ボケ、
今度は人生の大敵であるジ~サン・ボケに向かうのでしょうかね。
呑みすぎてアル中ハイマーにならないように、
人として生まれたからには、ネアカに過ごして、
周りに対しても毒ではなく、素敵な薬になりたいものですよね
いやはや、老化は意外に気づかないところから始まっているのですねえ。
そう言えば、小学校の廊下に書いてありましたね──ロウカは静かに!って」