- リセット人生・再起動マニュアル―人生お一人様一回限り 2000年成功人間学/黒木 安馬
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オードリー・ヘップバーンと言えば、映画“ローマの休日”などに代表される永遠の美女。
その彼女が飛行機に乗ってきた。裏通り?ではない、本物のオードリー!である。
当時の国際線はまだ喫煙席と禁煙席が表示板ひとつで分けられているだけで、
今みたいに全面禁煙ではなく煙草は自由に吸えた。
魅惑の笑みを浮かべた天使が私に聞く、「Are you smoker?」、喜び勇んで答える、「Yes! 一緒にスモ~カ~!」。
満席で仕方なく彼女は禁煙席に座っていたが、どこかで一服したいとのこと、調理場へ案内する。
握り飯をほお張っていたスチュワーデスたちを追い出して、薄暗いカーテンの内側で二人だけに。
ハンドバッグから煙草を取り出して私にも勧める。興奮気味にすぐにライターで火をつけてあげる。
彼女は私の手を両手で覆うようにしてくっつくほど顔を近づけてくる。夢みたいな、とろけるシーン!であった。
が、鼻息も届きそうな距離でハッと目に入ったものが。
鼻下のシワが横だったらまだしも、いじわる婆さんみたいに深い縦ジワたちがライターで克明に照らし出されていた。
それは“老婆の休日”であった。
間もなく世界的風潮で機内も禁煙時代になった。
客から見えない操縦席のパイロットはじっと長時間座っているだけなのでヘビースモーカーが多かったから、
今日から全便禁煙と言われてもなかなか馴染めない。
かといって客席に煙が流れるとすぐにばれる。コックピット火災に備えて天井に排煙バルブがあり、
それを開けて一服しようと話が決まり、私も参加した。
旅客機が飛ぶ一万メートル(10km)上空は、酸素も気圧も地上の半分以下。
窓が破れるなど急減圧が起きると空気は白濁し外に吸い出されるように放り出され、
酸素マスクがないと4分程度で人間は死ぬ。
小さなバルブだから良かったものの、煙どころか耳をつんざく強烈な音で操縦室はパニックになり、
後から分かったことだが一旦開けると二度と閉まらない構造とのことで着陸まで大騒ぎになったことは言うまでもない。
だが、この紫煙が機体整備に大きく役立っていたのである。
空気の無い上空では、エンジンの圧縮空気を機内に送り込んで生活空間を維持している。
かといって地上と同じ1気圧にすると風船みたいに膨らみ、離着陸を繰り返すうちに金属疲労を起こして
機体がもたない。従って富士山頂上と同じぐらいの0.8気圧にしてある。
富士登山で缶ビールを開けると、瞬間に中身が半分ぐらいに泡となって消えてしまう。
機内で酒を飲むと地上で飲む3倍の効果が一気に現れ、新幹線と違って倒れる客が多い。
30年間のフライト生活で、3人の“機上死”客を経験したものである。
機体に微妙な亀裂が入っていると、飛行中に流れ出た機内の煙が黄色いヤニを残し、
着陸後にそれが容易に視認できたというわけである。
煙草はアメリカ・インディアンにとって神から授かった万病を治す霊薬であり、Y字形のパイプをTabocaと呼んでいた。
それを500年前にコロンブスが梅毒とともにヨーロッパに持ち帰って蔓延させた。
新大陸征服者たちが先住民たちに犯した悪事への仕返し、彼らに乗り移って苦しめ、死に至らしめるための
使い“悪魔の贈り物”と記されたこともある。
フランスの駐ポルトガル大使ジャン・ニコがフランス王室に頭痛治療薬として献上して評判になり、
学名ニコチンの語源になった。喫煙によって世の中が安楽怠惰になり、火の不始末で都市が大火になること
たびたびだったため、17世紀始めのトルコ皇帝ムラード4世は喫煙者たちを死刑に処して残忍王と呼ばれ、
ロシアのロマノフ朝はシベリア送りや鞭打ち刑罰で禁煙令を出した。
にもかかわらず喫煙産業は生き残ってCARTIERやDUNHILLなどの名門も残している。禁酒令と同じで、
やれ体に悪いとか懲らしめられても人間の嗜好は簡単に押さえつけられるものではない。
それを承知の上ですでに一箱千円の国もあれば、我が国みたいに2倍の600円にする案を出したりもしているが、シェイクスピアの時代でも格好の税収源であった。
一日一箱300円として一本あたり課税は8.7円、年間納税額は7万円。年間十数万円の煙草代で
海外旅行が可能。税収2.1兆円強、600円にすれば喫煙者減少を見込んでもいきなり1.7兆円の増税、
“困った時の煙草税”が可能になる。国民の健康の為とうたいながら本音は飴と鞭を使い分けている
“精神的弱者”いじめの姑息で手っ取り早い、取りやすいところから取る大衆増税の手法である。
フライト中禁煙になってからは、いつのまにか仕事だから仕方がないかと自分コントロールがいつでも
出来るようになっていた。自由に吸える環境になると、尻から煙とヤニが出るほど吸っている自分がいる。
息子が彼女に貰った禁煙ニコチン・パッチを肌に貼り付けて2週間で禁煙したと誇らしげに言う。
友人の医者が言うに、喫煙や飲酒は依存症だから、精神病院の分野だとか。ナニ!俺は精神的弱者じゃない。
じゃあ、フライト中だと思って、どこまで禁煙できるかやってみるか・・・。
ただし何にも頼らないで、目の前に煙草は置いておく、吸いたくなったらいつでも吸えばよい。
気楽に始めてみたら、あれからやがて一ヶ月、一本も吸わないで平常心のまま。
やはり煙草は、精神的依存症なのか。
日本人男性喫煙率36.8%、5ヵ月後の禁煙成功率は54%だとか。
ポケットの持ち物、机の埃、火の後始末の心配は減ったが、なぜか増え始めたものが。
食べ物が美味い!
面白くなくちゃ人生じゃない!
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成長は、失敗の先にある
感動は、困難の先にある
決意は、迷いの先にある
笑顔は、苦しみの先にある
