人類が育んだ教養の奥深さを噛み締めて🤔

近年の飛躍的な科学の発達で、それまでの常識が塗り替えられる人類史。目まぐるしい時代の変化も伴い、従来の知性にも新たな解釈やフィールドが加わって、学びのアップデートが必要。そんな思いにフィットする一冊と出逢い、果てしない旅に出る思いで読み始めた。

立花隆や司馬遼太郎、井筒俊彦、松本清張といった日本の知性の巨人の紐解きから、多様な歴史解釈を経て新たな哲学や宗教観の模索へ。当初のイメージと違い、文系要素が軸で自分にとっては理解しやすかった。人間性の回復を模索する旅は、深くも楽しさに溢れている。

歴史学者による編纂だから、歴史の踏まえ方がとても理解しやすい。専門家ならではの簡にして要を得た整理で、歴史が苦手な人でも頭に入りやすいだろう。人類の不安や危機は、積み上げた知性を活かさずに解決できないという著者の見解に、心から同意したい。

ただ、第8章の見解には反対意見もあるだろう。そうした場合にも、冷静で建設的な議論ができる環境や社会を構築していく必要がある点には同意できるはず。過去に人類が直面した課題をいかに克服しようとしたかを知ることは、現代の難題に向う上で必須の教養だと思った。