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正統な権力の踏襲はいつの世も難しい🤔
私淑する佐藤優氏が読むべき古典にあげた太平記。ここから尊皇思想が生まれたと知り、手掛けたい意識を持ってきたが、岩波版は古文ベースでハードルが高く、待望の新訳に思わず食指が伸びた。抄訳だが、手軽に概要が理解できるのはありがたい。
朝幕対立は鎌倉期の承久の乱で武力闘争となり、後醍醐天皇による建武の新政で巻き返したつもりが、時代を戻すことはできなかった。一進一退を経ながら権力の座を射止めた足利尊氏により武士の世が確定する中で、天皇への忠節という概念が生まれることになる。
楠木正成や新田義貞は、戦前には忠義の英雄として祀られていた。本巻の最後に二人とも非業の死を遂げるが、武士の鑑として描かれているところを見ると、後の国学にも影響を与えただろう。下巻の流れを把握していないだけに、その後の描かれ方に今から興味津々だ。