これは間違いなく2023年で一番の面白さ😆

本書は刊行時から気になっていたが、じわじわ話題になり無視できない存在に。予想以上に興味深くグイグイ引き込まれた。難解で深遠なテーマをオノマトペの分析でわかりやすくまとめた論考は、子育てから外国語学習まで幅広く活かせるだろう。

考えてみれば、子どもが抽象的な言語体系を身につける過程にはわからない点が多い。気づけば高度な言語運用能力で様々なコミュニケーションを交わしているが、その不思議を解きほぐして深遠な進化を理解できるとは。知的好奇心が刺激されまくり。

最初にあげられるのがオノマトペ。子どもは言語が身体につながらないと理解できないが、オノマトペは音と意味の連結でその橋渡しをする。そこから抽象的な言語をどう身につけるのか。抽象性の理由を考察しつつ、独自の研究が導き出した結論に納得。

AIの言語習得過程と比較することで、人間の言語習得の特徴がよく理解できた。加えて言語が持つ特徴も明らかにされ、言語の本質に迫る力作だ。外国語学習に苦労する訳がわかる気がしたところで、未読の英語独習法の著者であることに気づいた。

言語の学習指導に携わってきた身として、実に学びの多い内容だった。進化の大きな謎に挑んだ一冊によって、改めて言語の世界に強い関心が。新たなスタートにも活かせる知見を与えてくれた真摯な研究成果に深く感謝したい。