吉村昭
世界1の巨艦をつくるために
実験・検証を重ね、寝食の間を削って取り組む姿勢
その集団の統制力に驚く。
日本人の生真面目さをみるよう。
そこには、不可能を可能に転化することが要求される不合理が
存在し、その不合理こそが戦争そのものなんだな。
失敗すれば、死してお詫びを、の心意気が怖い。
あくまでも客観的に書かれているので、逆に滑稽さすら浮き彫りになる
当時の日本の状況。
結局、日本の勝ち目はなかったのに、
熱っぽい集団のエネルギーが、戦争を長引かせたという
著者の言葉は興味深い。
武蔵が、燃料の石油が充分にないために、結局たいした功績を
残すこともなく、厖大な人命と物資をただ浪費しただけで終焉を迎えたこと。
とくに進水式を迎えるあたりの担当者達の狂気じみた心理状態が
戦争に対する国民の心理の象徴のよう。
磯田光一氏の解説に、巨大な歳月の流れの前には、壮大な人間の事業も、
一片の水泡でしかない。壮大な愚行もまた、それに専念する人間にとっては、
抜きさしならぬ人生の一齣・・
そうなんだよな~
巨艦に賭けられたエネルギーの大きさと、その現実的な戦闘力が一致しない。
動機と結果の不一致こそが、人生そのものの宿命をあらわす。
でもそれが人生。
面白かったな~
