”いのちの歌” | おひろのブログ・libe

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思い付くままに…

京都の嵐山、渡月橋の上から見下ろすと、橋のどちら側と、うまく言えませんが、正確に何と呼ぶのか、川の砂溜まりか土溜まりみたいな場所が川岸にくっついて狭い土地が有り小さな公園になっています。
又、そこには1945年に創業の「錦」という料理屋が建っています。
上の案内で判る様に、京都の本格的な和食でも、リーズナブルにいただけて、名古屋三越のデパ地下にも惣菜店を出店している位に味も良く古い建物は、風情もあります。
嵐山で昼食なら、この「錦」に決めています。

裕さんは京都の大学を出ているのに、学生だったから当たり前と言えば当たり前で、あまり京都の事を知りません。
名古屋からは日帰りが出来るので、何回か案内をした事があります。

ある時、嵐山に行くことになり、昼食に「錦」を予約しました。
この店は個室もあり、ゆっくり川面を眺めながらの昼食の予定でした。

ところが前日に大雨と言っても良いくらいの雨量で、小さな個室の窓の外はすぐに川面で、窓から顔を出して覗くと、すぐ下に濁った水が見え、そこそこ流れも有りそうで、部屋ごと流れに持っていかれそうで、私は落ち着きませんでした。
裕さんは意に介してないみたいで、
「アレッ、あんな所にトンボがいるよ」
と、言い、示してくれました。

建物から、30cm位はなれた水面から細い棒が水面から上に1mくらいの高さに出ていて、上に黒っぽいトンボがとまっていました。
名古屋でも、普段からトンボには滅多に出会いません。
というより、見た記憶がありません。

微かな記憶と同じに、この京都のトンボも動かなくて、羽根が有って飛べるのに、何故か全く動かない。
羽ばたきも無くて不思議におもいました。

意志を持って、そこに佇んでいるかに思え、
実際に意志が有るから、そこに「いる」のだろうけれど。

食事が終わり部屋を後にする迄の2時間近くを、トンボはそこから離れず、最後に見た姿も、そのままでした。
もう、何年も前の事ですが、丁度、いま裕さんから電話があり、尋ねたら彼も覚えていました。

大概の虫たちは、いつも、忙しそうに、動き、飛び回るのに、なぜトンボは静止するのか、私には不思議です。