睡魔に襲われつつ聴き始め、途中で寝ても構わないつもりで・・・。
始まりから間もなく、これは狂気の文章だと思考の半分は、聴くのを止める様に止めようとするが、引き摺られるように最後まで聞いてしまった。
沈鬱と、主人公の精神に巣食う恐怖とに.作品の全體が彩色されている感が有り
物語の最後に、主人公は現実から逃れる為であろうか、死をも厭わぬ苦しみの中に置き去りにされたまま、終わるのだ。
まるで、この瞬間に芥川竜之介が終わるが如く。
凄い。疲れた。
もう、二度とは読んだり聴いたりすまい、と思う位であり〈いったい、これは何なんだ!!!〉
怒れる位に疲れ肌が汗ばみ口渇して、起き上がり、ベッドサイドに置いた冷めたカフェ・オ・レを飲み干し、人心地に戻り、検索した解説をよむ。
私なりに理解したつもりでも、狂気の文章である感は変わらない。
作者の現実の実感を文章に写したのであろうが、であるならば、こんなにも苦しい中で感じる度を越した苦しみを、よくも描けたものだと、
さすがの芥川竜之介であるとも感嘆する。
でも、もう、懲りごり。
最晩年の隠れた名作であると評されているそうだが、もとより文学は、侮れず怖いものだ。
この様な作品に触れ得たのは、崇拝する芥川竜之介の今まで見えなかった、或いは知らなかった、彼の躰の、心の、一部を見られたのかも知れない。
ただ受止める私のキャパシティが余りに不足ではある。