同じ作家の「陰翳礼讃」を聴いたばかりなのに、全く違う感覚の文体.手法と内容で楽しめた。
周到な手段で妻を殺害した紳士的にも思える男性が、更に新たな妻を迎えようとしている。
仕事終わって帰路につこうとする男性に、話しかけるように現れた探偵と散歩を同行するが、道々の軽い会話から徐々に男を追い詰めてゆく探偵の、粘着質にも思える言葉は執拗だ。
という訳で
寝落ちしても、夜半に目覚て聴き終わりました。
私ごときの言える言葉ではないけれども、やはり、文豪ですよね。
彼の短篇では「日記帳」も「大」の付く好きです。
目を閉じたまま名作を楽しめるのは疲れず、朗読者にも感謝。
ところで、個人的な意見ですが、
好きな、或は聴きたい作品が有っても、作品内容とイメージが異なり、甘ったるい、甘えた声(本人は無意識かも知れないが)での朗読は、声に意識が引きずられ本来の作風が壊され楽しめない。
むしろ、淡々と、感情を込めずに無機質に朗読していただいた方が頭に、心に、浸透してくる。
女性の朗読者でも、意識されているのか、そういう好ましい方々も多く、いらっしゃいます。
余り深く引っ張られたくない時によく佐藤春夫訳の鴨長明「方丈記」を聴きますが、今、私のよく聴く朗読者はそんな方ですね。